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Workaway ネパール農村滞在記 vol.18【山間のバザール~下山】

(トップ画像は https://www.treksbooking.com/nawalpur-travel-guide/ より)

18-1. 山間のバザール

山間部では2ヶ所のバザールに立ち寄った。

この2ヶ所といい、市街地といい、商店はすべてほぼ同一サイズに区切られており(4畳~4畳半くらい)、所狭しと商品が陳列されていて、店内には店員1名の他には、客2名が入れる程度。
大抵は、道端から店の中を見て商品を選び、店員にオーダーする「キオスク」スタイルだ。

多く目についたのは、八百屋、雑貨屋(加工食品と日用品)、仕立て屋、布地屋、家具屋、コンピュータ修理、語学スクールといったところ。
雑貨屋の店先には、ガスボンベも置いてあり、Ncellのチャージカードも売っている。

店ごとの特徴はほとんど見られない。
まさしく日本の駄菓子屋のようなサイズ・品揃えの店は、バザールから離れた場所にも点々と存在していた。
店先には、常に何人かの人が座ってコーラを飲んだりしながらゆっくりしている。

18-2. 下山

Kattikeには9泊滞在した。
高度のせいか、なんとなく常に若干頭痛がし、貧血気味な感じはあったものの、大きな問題もなく生活していた。

8日目の昼食後にひどく体調を崩し、夜中まで七転八倒状態になった。
9日目は終日動くことができず寝て過ごしたが、夜になって「早めに帰国しよう」と決断した。

体調の心配だけが原因ではなく、ホストもまた体調を崩してカトマンズ市内の病院にいることや、ここで学べる内容の限界など、いくつかの要因を考えての選択だった。
悔いは全くない。2週間、みっちり楽しみ、できる限りのことは吸収した。

思い立ったら即、ホストに連絡。
返事はすぐに来て、カトマンズに出る選択肢をいくつか提示してくれた。

もっとも周りに迷惑をかけない方法を、と選んだのが、自力でNawalpurまで徒歩下山して、ローカルバスに乗ってカトマンズに戻る方法。

早速荷物をまとめ、翌朝8時にDikki一家に別れを告げて下山を開始した。
Dikkiの説明では、私の足だとNawalpurまで2時間半はかかるとのこと。
途中何か所かの分岐を説明してくれて、あとは道中すれ違う人に確認しながらいくようにと教えてくれた。

背中に18㎏、胸前に8㎏のバックパック。
集落の45度傾斜の棚田を降りきるまでの最初の10分が既にキツい。
何度もバランスを崩して転落しそうになる。

降りきると、どこからかDikkiの飼い犬と近所の飼い犬の2匹がやってきて、そこから20分ほどは彼らが先導してくれた。
Dikkiが2匹に頼んだのだろうか?犬は賢いなぁと感心する。
ちょうど近所のおじさんが庭にいて、ひとつめの分岐を下に行くように教えてくれた。
かろうじて草が払ってあるだけの小路だ。
傾斜は緩めだが、狭く、石と岩だらけ。

犬と別れ、なんども足をとられながらさらに20分。
道中2軒目の民家が見えてきた。
既に膝が笑っている。
彼らが指差した方向を見誤り、2分ほど違う道を進むと、後ろからその家にいた少女が追いかけていた。

15歳くらいだろうか。
英語は話せず、アイコンタクトとジェスチャーのみでのやりとり。
荷物をひとつ持ちますよ、正しい道を教えます、と言っているようだ。
信用して後を追い、正しい道に出ると、今度は「先導するのでついてきて」と言っている様子。
少女は物静かで、はにかんだような笑みを浮かべた純真な雰囲気だ。
そもそもこの2週間、常に警戒して疑ってかかるも、ネパール人からウソをつかれたことも騙されたことも、ただの一度もなかった。

後ろを振り返ると、少女の家族が笑顔で手を振っている。
どのみち、一人でたどり着ける気がしない。
彼女についていくしか選択肢はないと覚悟を決め、彼女に荷物を一つ渡して一緒に進むことにした。

はじめの40分近くは、それまで同様、道なき道を歩いた。
下水路を歩いているようなイメージで、水が流れ、あらゆるゴミが散乱している。
ケガしないよう足元を見ながら歩くので、ゴミを見ながら歩かざるを得ないのが辛い。

大通りに出てしばらくすると、上り坂になった。
さすがに疲れも溜まってきて、息を切らしながら歩いていると、少女が「休もうよ」と言った様子。

既に家から40分も離れている。
心配になって「帰ってもいいよ」と伝えると、「まだ大丈夫」と言う。

大通り沿いでは、10分おき位に、バイクや徒歩の人に出逢う。
念のため、都度都度「Nawalpur?」と進行方向を指差して確認するが、みな「Yes」と言う。
さらに通りを進み続ける。

大通りとは言っても未舗装。
山肌沿いに作られているので、かなり遠くまで一望できる。
カラフルな旗がはためくバザールも見えたが、「Nawalpur?」と少女に聞いてもNOと言う。

さらに20分ほど歩くと集落が見え、そこで再び足をとめ休憩。
少女が、「あとはこのまままっすぐだから」といった様子。
そのまま荷物を置いて家路に着こうとするのを止め、1000ルピーを渡した。
60分、荷物を運んで先導してくれたお礼だ。

集落には人があちこちにいる。
挨拶すると、全員が立ち止まって笑顔で返してくる。

歩いていると、突然路肩から、制服を着た子供たちが飛び出してきた。
「どこに行くの?」
「Nawalpurだよ、あなたは?」
「私たちも一緒だよ。学校に行くの」
英語で話しかけてくる。
(写真は http://www.wwfnepal.org より)

まるでさっきまでの少女とバトンタッチしたかのような、絶妙なタイミングだった。
ここからはバス停まで30分、子供たちと談笑しながらの、それは明るく幸せな旅路となった。
子どもの数は道行くごとに増えていき、最終的には15人ほど。
ヒンズーの子とタマン(多分)の子がごちゃ混ぜだ。

13-15歳の中学生。
学んでいる英語を使うよい機会を得た、と思っているようだった。
あれやこれやと質問攻めに会う。
質問するのは主に女子。
男子たちは少し離れて歩いて、しっかりそば耳を立てている。
時折横やりを入れたり、奇声を発したり、つばを吐いてみたり、
「カネは持ってるの?」と冗談っぽく聞いて来たり。
典型的な中学生男子、といった風で笑えてくる。

学校が見えてくると、子供たちの目がいっそう生き生きしてきた。
「ここが学校なの。学校が大好きです」
そう言う子供たちが、なんだかとても羨ましく思えた。

子どもたちと別れてすぐ、分岐をあてずっぽうで歩いていると、前から学校の先生が歩いてきて、「バス停は逆の方向ですよ」と英語で教えてくれた。

「お宅の学生さんたちがさっきまで道案内してくれたんですよ。
良い生徒さんたちですね」と告げると、先生はとっても嬉しそうだった。

かくして総時間2時間10分の徒歩下山。
前日からほぼ飲まず食わずで歩き続けたため、Nawalpurに着いたときは、八百屋に直行し、バナナとオレンジを購入。ゴミが散乱したバス停に座り込み、貪り食ったのだった。。(笑)。

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