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#小説

いくつもの生、愛、痛、死を乗り越え、
私たちは「人生の冬」を迎える「冬の日誌(ポール・オースター著)」

いくつもの生、愛、痛、死を乗り越え、 私たちは「人生の冬」を迎える「冬の日誌(ポール・オースター著)」

TEXT by MOMOKA YAMAGUCHI

ポール・オースター(著)/ 柴田元幸(訳)
「冬の日誌」あらすじ
繊細な言葉たちによって綴られる「呼吸の現象学」
アメリカ文学を代表する作家の6歳から64歳までの人生を「現在のポール」の視点から振り返る本。本人が「呼吸の現象学」というとおり五感から得られたデータと当時の感情を彼の繊細な言葉たちがリンクさせることで、私たちは彼の人生を「読む」のでは

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「モンテロッソとピンクの壁」が伝える生き甲斐と自由とは?

「モンテロッソとピンクの壁」が伝える生き甲斐と自由とは?

TEXT by MOMOKA YAMAGUCHI

江國香織(著)/ 荒井良二(絵)
「モンテロッソとピンクの壁」あらすじ
 うす茶色の毛並みをした猫・ハスカップは楽天的な性格。港のそばの西洋館で婦人と暮らしていた。彼女はいつでも寝ているので周囲の人間から怠惰な猫と思われていたが、寝る度に「ピンクの壁の夢」を見ては、「行かなくちゃ」という強い思いに駆られていた。
 ある日、夢の中の住人に「ピンクの

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「猫を抱いて象と泳ぐ」から見る言葉のあり方

「猫を抱いて象と泳ぐ」から見る言葉のあり方

TEXT by freepaperSTAR* editorial department

小川洋子(著)「猫を抱いて象と泳ぐ」あらすじ
 口を閉ざした状態で生まれた少年は、生まれて間もなく脛の皮膚を口に移植され、口を付けられる。しかし、脛の皮膚は年を重ねるにつれて毛が生え、それがきっかけでいじめを受けた少年は口にコンプレックスを持つようになり、寡黙になった。
 ある日少年は、廃バスの中で大柄な男「

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