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スタートアップ退職の有休消化中、尖っていた心⚡︎が丸くなった本◎『誰もいない場所を探している/庄野雄治』

5年半勤め、最後には執行役員をしていたベンチャー企業を辞める決意をし、有休消化中の夏休み。こんなに長く何もしない(無職)なのは久しぶりなので、自分に何かを課す意味も込めて、心境の変化や日々の過ごし方について書いておこうかと思ったり、今だけ思ったり。

五反田駅前の喫茶店に入り、読んだ。
コーヒー1杯飲み終わるころにちょうど本を読み終えて、尖っていた自分に気が付いた。

仕事ができる自分、よく気がつく自分、気が遣える自分、EQが高いと言われていい気分になる自分、未経験から役員になったことを内心自慢に思っている自分、人のことを批評してすべて自分の考えが正しいと思っている自分、周りはみんな自分よりポンコツだと思っている自分、なんであの人はこうしてくれないんだろうと押し付けがましい自分、外出先で他人のビジネスのあり方に心の中でコメントをする自分、当事者ではない素人が外野からどうしたらよくなるかとあーでもない・こーでもないとかいう自分。

こういう奢った歪んだ疲れ切った自分が、おおすごい。
マイルド化していく。
まるくまるく、心がまるく。

自分の不安や弱みも、そして好きなことも理解して、できることに誠実に向かい、そして人に喜ばれる存在に徐々になっていくなんて、なんとシンプルで素敵なことなのだろうか。
もともとが特別な人でもなくてもいいのだ、ただまっすぐまっすぐに実直に、というのが心地よくて、どのページも涙が出そうになった。ちょちょぎれていた。

この本は徳島のアアルトコーヒーという珈琲店の店主の庄野氏の本である。

コーヒーは好きでよく飲む、外でも、家でもよく飲む。
アアルトコーヒーは有名だし、徳島のコーヒー屋さんにも関わらず、東京のレストランやカフェやジェラート屋さんで、「アアルトコーヒーの豆です」というのも多く見かける。
自分しか知らないのかと思っていたら、みんな大好きアアルトコーヒー、というのが、嬉しくも、嫉妬したりも、謎の感情である。
通販で豆を買っていたから、身近なところで手に入ることは嬉しい。
手頃で、とても美味しい。
ちょっと特別なものを飲んでいる気持ちにさせてくれる、いいコーヒーだ。

オーナーの庄野氏は本を何冊か出しておられるのは知っているが、読んだのははじめてだった。
独立系書店で、最初に背表紙が目に入り、((そうそう、誰もいない場所を探している))なんてことを思って手に取ったら、著者が庄野氏で((あら))となって買った。

イラストも素晴らしく、ちょうどいい主張で文を邪魔しないし、持っていたくなる装丁である。

人生のバイブル入りをした。


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