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五反田の喫茶店で周りを見ながら「喫茶店って何だっけ?」って思ったときのこと

5年半勤め、最後には執行役員をしていたベンチャー企業を辞める決意をし、有休消化中の夏休み。こんなに長く何もしない(無職)なのは久しぶりなので、自分に何かを課す意味も込めて、心境の変化や日々の過ごし方について書いておこうかと思ったり、今だけ思ったり。

面接の所感を、社内の人とのオンラインミーティングで話す若い男の人がいる。
窓側の席に座り「光通信」「2年以上の経験があるから」という会話が耳に入る。Tシャツにジーンズのラフな服装で、右足を左の膝上に乗せていてスニーカーの底が見える。手振りをつけながら話す自信ありげな様子からは、マネージャーポジションなんだろうな、とうことがわかるし、身なりや場所柄からスタートアップの人かなと思った。

喫茶店で何をするのもその人の自由、店の自由だが、目には楽しいものではなく、"ああ、じぶんもいままでこうだったんだ"  と気づいて、がっかりした。私もこの店で、社内ミーティングをしたことがある。

私が喫茶店にきたのは、静かに本を読むためで、ビジネスの話を耳に入れたいからではない。まして退職有休消化中の身である。
それが嫌なら家のがいいのでは、ということになり、結局また喫茶店から足を遠のけてしまうことになる。

目の前の会社人と思しき2人組の男性は、常連のようで、店員とも朗らかに会話をしている。うちひとりが電話をしはじめて、その声が耳にはいる。仕事の話のようで、話し方が好きではないなと思った。
さらにその先の奥の席から聞こえる笑い声と、その主の関西弁に眉をひそめる。

喫茶店って、変わったよね、って思う。

リモートワークになって、自分のノートパソコンがあればどこでも仕事ができるようになって、どこでも仕事をしてもいい風潮になって、喫茶店も、PCやオンライン会議OKにするのが当たり前になった。
Wi-Fiやコンセントがあるかが喫茶店を選ぶ理由になっていて、他の人がPCを立ち上げているかどうかを入店時に確認する。
GoogleMAPの口コミも「Wi-Fiあります」「コンセントあります」。
喫茶店の入り口ドアにも、同じようなステッカーが貼られている。
これらがないと、むしろがっかりされる存在になってしまっているよねえ。

そんな自分も、つい先日まではそういう側にいたわけで、コーヒーはおまけで、場所を確保のために喫茶店に行っていたものである。
コーヒーは好きだから、コーヒー飲みたいときは、美味しいと思うお店にそのためだけに行くこともするけど、大半は、とりあえず場所があればいい目的でのチェーン店。

喫茶店ってなんだっけ。

周りの声をきいてあれこれ思ったり、こんな「喫茶店とは」みたいな考察とか、そんなことがしたくてここにいるわけではないので、耳にイヤホンをはめて、そろそろ音楽をかけながら本を読むこととする。

最近行くようになったネイル店の店員さんが、素敵な人で、「美術館では他の人の感想が耳に入ってくるのが嫌だから、イヤホンでピアノを聴いてる」と言っていたのをたびたび思い出す。
なるほど、それは素敵だなと思って、真似しようと思うんだけど、まだいいのが見つかっていない。
とりあえず耳によく知る、久石譲にした。



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