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「ビジネスモデルは変わっても、CEOは変わらない。CEOの魅力は大事」である

5年半勤め、最後には執行役員をしていたスタートアップ企業を辞めて、転職した先は、桁違いの大きな企業。はたしてこれでよかったのか、あんまりよくないかも、など考えたことの記録。

年明け早々、見ず知らずのスタートアップのCEOから突然、「ビジネスの形成を手伝ってもらえないか」と連絡をいただくという(自分にとっては)珍しい体験をした。

結果として入社を断ったのだが、その理由は、「ビジネスモデルは変わってもCEOは変わらない」「CEOの器以上にはビジネスはスケールしない」というのをどこかで目にし耳にし、「まさにそうだな」、と思ったからである。

シード期でまだまだこれからなのでビジネスモデルも収益化の構想もふわっとしており、それについては仕方ないと思ったが、それより何よりも、CEO自体が最もふわっとしていた。

数回お会いしたCEOは、会話していてもハリがなく、言っていることもふわふわしており、投資家への説明の仕方(アーカイブを見た)も頼りなく、話している内容や構想が甘い。言い換えれば柔らかく穏やかな人柄なのだが、最初に会った時は髪に寝癖がついていて、フリース姿の普段着で、チノパンのポケットに手を突っ込んでオフィス案内をされ、「人を迎え入れるときそういう感じなんだ」とあまりいい印象を持たなかった。言葉を選ばずにいうと、人として、経営者としての魅力がなかった。

甘さには、良い甘さもあると思っていて、「ビッグなことを思いつく超アイデアマンだけど、詳細を詰めるのはちょっと甘いんだよね、でもそれは周りががっちり固めればいいよね」っていうのが良い甘さ。この超アイデアマンはそれほどおらず貴重な存在でこういう人が世の中に面白いものを投下するのだけど、悪い甘さは「平凡な人が平凡な発想で、ただ物事を知らない世間知らずなだけ」という場合。
残念ながらお会いした人からは後者の甘さを感じたのである。

CEOに不安を覚えたものの、「ゼロベースから関われるのは楽しそう」、「将来事業が化けたらいっぱい利益が得られそう」、「自分の力で事業を化けさせることができるかもなんてワクワクする」、「やろうとしていることに対して少なからずこれまでの経験は使えそう」「二人目社員はまともな人だった」などもあり、オファーを受けるかは結構悩んだ。

ただ結果として「何をやったとしてもCEOは変わらないんだよな、CEOに対して最初からこのネガティブさはダメだよな」というモヤモヤが払拭されず、辞退した。何回か会っても印象は良くならなかったし、自分の人に対する直感もそこそこあたるのだと思い出した。
そういえば、前職のベンチャーもビジネスモデルの変遷はたくさんあったが、CEOは変わらなかった。当然だけど。そしてそのCEOのことは人としてすきだったから、激動の日々を乗り切れたんであった。

今はビジネスモデルにちょっと興味と知見があるからいいけれど、途中でうまくいかなくって「これからはこれをやる」ってCEO特権の鶴の一声発動で方針転換されてそれが興味なかったとしたら、すぐ辞めそうだ。CEOに魅力があればそんなこともないだろうけど、CEOもいまいち、ビジネスモデルにも興味持てない、とかなったら地獄でしかない。そのとき自分に残っているのは、年収を減らして転職した後悔と、また1からやり直しの長い道のりだけ。

大企業つまんないなと思っているところに急に来たお声かけだったので、これはもしや運命もしくは救いの手かと思ってしまったが、飛び付かずによかったと思う今日である。

もしかしたら、将来この会社が化けたときは後悔するかもしれないけど、そうならないようにこの数年を大事にいろいろ伸ばそうと思えているので得たものもあった。

ちなみに、よく「MVVに共感してこの会社に決めました」っていうのを目にするけど、MVVも長い経営の中では変わることもあるのを知っておいた方がいいと思う。
前職のベンチャーは数回変わっている。
共感した企業のマインドセット(を表現したMVV)は、事業のフェーズによって変わっていくこともあるので、MVVに絶大なる共感を寄せて入社すると(つまり夢みちゃうと)結構苦労するんじゃないかなと思ったりしている。







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