【書評・要約】合コンの必勝法 モノの価値は相対的に決まる 予想どおりに不合理#1
今回はダン・アリエリーさんの『予想どおりに不合理』の1章、相対性の真相について紹介したいと思います。この本は行動経済学を、たくさんの面白い実験を交えてわかりやすく紹介している本です。行動経済学を学ぶきっかけには最適な本だと思います。
新聞の購読
いきなりですが質問です。皆さんが新聞を購読するとして、以下のようにプランがあるとしたらどれを選びますか?読み進める前に少し考えてみてください。
・電子版のみの購読 5900円
・印刷版のみの購読 12500円
・電子版と印刷版のセット購読 12500円
恐らく多くの人が1番下のセット購読を選んだと思います。選ばなかったとしても魅力的には映ったはずです。これはなぜでしょうか?本書ではこのように書いています。
人間は、ものごとを絶対的な基準で決めることはまずない。ものごとの価値を教えてくれる体内計などは備わっていないのだ。ほかのものとの相対的な優劣に着目して、そこから価値を判断する
つまり新聞購読の例ではセットは比較的お得に見えるので魅力的だったわけです。このお得さを引き立てるための選択肢(新聞購読のケースでは印刷版のみ)は本書の中で「おとり」と呼ばれています。
比較しやすいものだけに注目してしまう
加えて、人間は比べやすいものを一生懸命に比べる一方、比べにくいものは無視する傾向があるようです。パッと見て定量的になっているものだけを比べ計算が煩雑なものや定性的なものは無視するといった感じです。例を見てみましょう。
例えばあなたが海外旅行に行くために旅行代理店に訪れたとします。そこではパックが2つありました。それはパリ行きかローマ行きかというものです。どちらも交通費、宿泊費、朝食無料サービス付き。あなたはどちらを選びますか?
これはどちらかによほど思い入れがない限り難しい選択肢だと思います。なぜならどちらも魅力的ですから。そこでもう一つ選択肢を追加してみましょう。
・パリ (交通費、宿泊費、無料朝食サービス付き)
・ローマ(交通費、宿泊費、無料朝食サービス付き)
・ローマ(交通費、宿泊費込み、朝食サービス無し)
これで一気に選びやすくなったと思います。2択だと甲乙つけがたかった朝食付きのローマが、比べやすい選択肢によって魅力的に映りますよね。
このように行動様式を理解していれば選択を誘導することもできてしまうのです。もしこの旅行代理店が利益率の高いローマを勧めたくてこのように提案してきたらと思うと少し怖いですね。
合コンの必勝法
もう1つ具体的な例を紹介しましょう。それは合コンです。ここまで読んだ方はわかったかもしれませんが合コンで相手に選んでもらいやすくするには、自分と似ているが少し劣った「おとり」の選択肢を連れていくことです。
例えば顔つきや身長、雰囲気などは似ているけど少しだけ自分より話がつまらない人など、引き立て役を連れていくことで成功率はぐんと上がります。本の中には実際の実験データもありますので気になった方は読んでみてください。
しかしこれを知ってしまったら、これから合コンに誘われたときは純粋に誘われたのか、おとりなのか考えちゃいそうですね。
相対性の悪い面とその解決策
ここまで面白おかしく相対性を紹介してきましたが、相対性は決断を助けてくれる一方で自分をみじめな気持ちにもさせます。自分の境遇と比べることで嫉妬やひがみが生まれるからです。
例えばあなたが月に20万円給料をもらっているとして、これだけでは高いか低いかなんてわかりません。あなたの周りがバリバリの経営者ばかりなら相対的に低いですから惨めになりますし、反対に働いていない人だらけなら相対的に高いですから誇らしく感じるでしょう。
ではこのように感じないためにはどうしたらいいのでしょうか?
人は持てば持つほどいっそう欲しくなる。唯一の解決策は、相対性の連鎖を断つことだ。
本書ではこのように書かれています。
ここからは個人的な解決方法なのですが相対的惨めに陥らないようにするには、自分がどういうときに幸せを感じ、何がしたいのかをハッキリさせることが大事だと思います。
自分と向き合い、絶対的な価値観を持つことで相対的惨めにならないことはもちろん、人生における選択でもブレなく進むことができます。
いわゆる自己分析ですが自分と向き合う時間、マインドフルネス的な考え方は周りに振り回されないようになるのですごくお勧めです。ちなみに私は禅の思想を日常生活に取り入れようとしてます。先人のように立派ではないですが…。下の本はその考え方を学べる本です。興味がある方は是非。
まとめ
・人は価値を相対的にしか測れない
・比べない絶対的な自分を持つことが大事
以上が『予想どおりに不合理』の一部の要約になります。
データや実験も知りたい方は、一般的な本に比べて安いので是非こちらから本を買ってみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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