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読まなきゃ損!人はなぜ無料が好き? 予想どおりに不合理#2

今回は『予想どおりに不合理』の3章、ゼロコストのコストについて紹介します。ただほど高いものはないとよく言いますが、人はなぜタダに惹かれてしまうのでしょうか…

タダ!の力

著者は、無料は無料は不合理のスイッチだと語っています。いくら無料につられるとはいえ、不合理に行動してるかと言われれば納得しない人もいます。そこで本の中の実験を少しわかりやすく変えて紹介しましょう。

チョコレートの商売を始めることにした。チョコは2種類で、1つは小粒の一般的なキスチョコ、もう一つは1粒で30円ほどのゴディバのような高級チョコだ。おひとり様一つまでという条件のもとどうなるか観察した。

まず高級チョコを15円、キスチョコを1円とした結果どうなったか。客は合理的に行動し、73パーセントが高級チョコを選んだ。それもそのはず、本来は30円のものが15円で買えるのだから。

では次に高級チョコを14円、普通のキスチョコを1円ではなく無料にしたらどうなったか。なんと無料にする前は27%だったのに69%の人が無料のキスチョコを選んだのだ。それも格安の高級チョコを手に入れるチャンスを棒に振って。

驚きの実験ですが、自分に当てはめてみても多くの人が同じような行動をとると思います。古典的な経済学の目線からでは、値下げ後でもどちらも1円ずつ下がっているため状況が変わらないと考えます。単純に味-費用でどちらのほうが満足するかを考えるだけですから。つまり私たちは無料がかかわってくるだけで不合理な選択をしてしまうのです。

なぜタダ!は魅力的?

ではなぜ無料は不合理な行動をさせるほど魅力的なのでしょうか。本書ではこのように解説しています。

それは、人間が失うことを本質的に恐れるからではないかと思う。 無料! のほんとうの魅力は、恐れと結びついている。

つまり、無料のものを選べば損をすることはないですが、その逆を選んでしまうと何かまずいことをしてるのでは?と考えてしまうようです。

これはいわゆるプロスペクト理論損失回避ですね。コインを使った有名な実験があります。知らない方は下の2つの質問を是非一緒に考えてみてください。

質問1:あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。

質問2:あなたは200万円の借金を抱えているものとする。そのとき、同様に以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
選択肢A:無条件で負債が100万円減額され、借金が100万円に減る。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら借金は変わらない。


どうでしたか?

この実験では多くの人は、質問1では選択肢Aを選ぶ一方、質問2では選択肢Bを選ぶと言います。これは、質問1では得られる利益を逃すという損失を回避し、質問2ではリスクを負ってでも自分の損失をなくしたいという願望からくるそうです。損失は嫌だという思いは確かに人間の心に強くありそうですね。

余談ですが、この場合は期待値が同じなのでどちらの選択肢を選んでも変わりません。これが例えば50%の確率で201万円もらえるとすれば、その勝負に人生をかけてやり続けましょう。

話を戻します。

つまり人間は失うことを恐れているので、無料というチャンスも失いたくないがために合理的に動けない、ということになります。確かに思い当たる節は私自身も多いです。

例えば送料無料のために余分に1ついらないものを買ったり、結果的に使いづらくても手数料無料のクレジットカードを使ったり、今だけセールでいらないものを買ったり…

こういった不合理な行動、無駄遣いを回避するためには無料という条件をいったん置いておいて他で比較する必要がありますね。もっともその時冷静な視点があれば、の話ですが…

無料を味方に

ここまで無料という罠、暗い側面を紹介してきましたが、最後にそれを利用して日々の生活を楽しくする方法を教えます。これは友人や恋人とレストランなどに行くときに使える技なのでぜひ使ってみてください。

それは、食事の会計は割り勘ではなくだれか一人がまとめて払い、他の人は別の機会に払うというものです。

これは、私たちはお金を払うときに、金額に関係なく精神的痛みを感じることと関係しています。社会科学的には「出費の痛み」といいますが、これは最初の100円が一番大きく、そこからだんだん減っていきます(逓減する)。

なので、無料の興奮と合わせて考えると一人が会計を引き受けるほうが合理的で精神的にも満足感が高まります。ごちそうになったときは、たとえ次に自分が払うとしてもすごく気分がいいですよね。これは無料の力と出費の痛みで説明できるのです。


まとめ

・人間の持つ損失回避バイアスは時に判断を狂わせる

・無料だけに引っ張られて判断してはいけない

・食事での割り勘は効用を下げる。かも。


以上が『予想どおりに不合理』の要約になります。ちなみに本書では損失回避とは言っていないので間違っていたらすみません。

本のほうもぜひ買ってみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。





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