【書評・要約】アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」: 銀座の画廊オーナーが語る
今回は銀座、「翠波画廊」の高橋芳郎の本、『アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」: 銀座の画廊オーナーが語る』について書こうと思います。
結論を一言で
この本の結論は
「アートに関する6つの力は現代のビジネス環境を突破するカギである」
です。アートがビジネスと結びついているとは直感的には理解しにくいでしょうが、以下引用を交えて説明します。
アートに学ぶ6つの法則
著者の高橋さんによるとその6つとは、
1、遊び力
2、物語力
3、俯瞰力
4、観察力
5、共感力
6、類推力
であると書かれています。この中でも「アートから学ぶべき一番の精神」と高橋さんも書かれている、「遊び力」を本記事では取り上げ解説しようと思います。
遊び力とは
そもそもアートとは実用的なものではありません。合理性と対極に位置しているものといっても過言ではありません。
ではなぜそんなアートに人間は惹かれるのでしょうか?
それは、アートには遊びが含まれており、人間がその遊びの力に惹かれているからだと書いています。
実際、これだけ生産物がコモディティ化していくデフレの世界で、なぜ美術品だけが際限なく価格を高騰させていくのか。 それに対する一つの答えは、人間がアートの中にあるパイディアの「遊び力」に強く惹かれているからではないでしょうか。
*パイティア=「規則から自由になる力」
なぜ惹かれるのかというと、人間の本質は遊びであるからです。これはグレッグ・キューマンの『エッセンシャル思考』にも書いてありました。広い意味ではビジネスも遊びだと著者は語っています。
ではその「遊び力」とはどのようなものなのでしょうか。
個人的に定義するならば、「自由に創造し、笑いを生み出す力」だと思います。
本書では例としてGoogleのトップページのロゴ、「グーグル・ドゥードゥル」が挙げられています。ちなみにドゥードゥルとはいたずら書きを意味します。
グーグルのトップページは、グーグルのロゴと検索窓だけが表示されるシンプルなものですが、ときどきこのトップロゴの形が変わっています。世界の記念日や祝日や偉人の生誕日にあわせてロゴをつくり、クリックすると簡単な紹介アニメが流れるようになっているのです。
独創的で斬新なオフィスからも読み取れるように、あの世界的企業もアートな考え方を大事にしているのが伺えます。
なぜ「遊び力」が今必要なのか
遊び力というものが分かったところで、なぜ今現在その力が必要なのかという疑問が浮かびます。
それは上にも書いた通り、合理性の対極に位置しているものだからです。
昨今よく耳にするAI。これによって仕事が奪われると焦っている人もいるかもしれません。しかしAIは学習したロジックに基づき、最も効率的もしくは最良と考えられる選択肢で判断していく、いわば合理性の塊です。
つまり合理的なものは全て代替される可能性がありますが逆に合理的でないものにはまだまだ余地があるということです。
これからの人間は「遊び力」を活かした創造的活動にシフトせざるを得ません。
合理的な判断はAI、創造的活動は人間という分業体制が近いうちに訪れます。だから今「遊び力」は必要とされているのです。
1番刺さった言葉
この本で1番印象深かった言葉は
1973年に亡くなったピカソは、現代のIT文化を知りませんが、それでも初期のコンピュータを見て、次のように言っています。 「コンピュータなんて役に立たない。だって答えを出すだけなんだから」
です。これからの人間の在り方を考えさせられる言葉ですね。
まとめ
・アートに関する6つの力は今後必須
・なかでも「遊び力」という自由な発想の重要性は増していく
以上が高橋芳郎さんの『アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」: 銀座の画廊オーナーが語る』の感想と要約です。
この「遊び力」は、激化する競争社会でも差別化するのに有用なのでもう少ししっかり勉強して身に着け、ビジネスに応用できる形を模索したいと思います。
情報量の観点から本文には書きませんでしたが、「笑い」って人間にしかないらしいですね。ここも人間とは何かの定義を考えるきっかけになると思います。
アートシンキングに関する本でおすすめがありましたらコメントやツイッターで教えてください。
これからも本の要約をメインに発信していこうと思うので、おすすめの本や要約してほしい本がありましたらコメントください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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