見出し画像

どこよりも遠い場所にいる君へ 読了 〘読書感想文⑤〙

ある秘密を抱えた月ヶ瀬和希は、知り合いのいない環境を求め離島の采岐島高校に進学した。
采岐島には「神隠しの入り江」と呼ばれる場所があり、夏の初め、和希は神隠しの入り江で少女が倒れているのを発見する。病院で意識をとり戻した少女の名は七緒、16歳。
そして、身元不明。
入り江で七緒がつぶやいた「1974年」という言葉は? 
感動のボーイ・ミーツ・ガール!
----忘れない、未来より遠い場所にいる君を。

どこよりも遠い場所にいる君へ

ある秘密を抱えた『王子』というあだ名のついた  月ヶ瀬和希つきがせ かずき

神隠しの入江に倒れていた琥珀色の瞳の  秋鹿七緒あいか ななお

温厚で少し恥ずかしがりなお人好しのクマのような 修治しゅうじ

眼光が強く凛々しい武家っぽい常にきっぱりはっきり潔い 顕光あきみつ

背が高くて笑っていても腹に一物隠してそうな公家っぽい世渡り上手な 幹也みきや

学級委員長で和希に好意を寄せる 三島みしまたまき

嘲りを相手に伝えるのが絶妙に上手いたまきに好意を寄せる 須賀すがヨシキ

ぶっきらぼうで若干こわい彫刻家の 高津椿たかつつばき

和希、修治、顕光、幹也は男子寮の同じ部屋で生活しているのだが、僕がシェアハウスや寮生活など未成年の共同生活シュチュエーションが、好きだということにこの本で気付かされた。

今持っているシェアハウスへの憧れは読書によって美化したイメージと、妄想が積み重なった故なのだと自分の思考に気がついた。

和希はとてもぽやーーっと、ふわふわーーっとしていて、そういう性格がとても魅力的だと思うし愛おしいと思う。
繊細な部分だったり考えを強くもっていたりももちろんしている訳だけど、基本は幹也に和希は魂が高貴だと言われるほどに自由なところが友達になりたいなーー。
と思わせる。

幹也はある1件で和希に対して責任を感じていて、とても世話を焼く。
それはもう『執事』『乳母』と呼ばれるくらいには。
余計なお世話という感じではなく和希にとっては普通にありがたいレベルなのだが、周りからみると
お母さんじゃん、、、、
ともなる。見てて心落ち着くいいペアだから、2人セットで友達になりたい。

七緒は1974年から2017年にきたマレビトで、最初はこそこそと高津の家で過ごしていたが、表に出てきたあとは割と物事をはっきり言ったりしてその強さが素敵だと思った。

頭の中の言葉や会話の中の言葉が
今どきという括りをしていいのか分からないが、今どきな言い回しや素早い言葉のキャッチボールが特に好きだった。

神隠しやらマレビトやらで時間軸が問題になってくるが、過去と未来を激しく反復横跳びするような場面転換ではないから、頭の切り替えも必要ではなくそこまで頭の中がこんがらがることも無かったのがありがたかった。
(頭の中で整理しようとするとどうしても意味がわからなくなって頭がパンクしかける)

終盤に手紙が出てくるのだが、初めて読んだ時、手が空を切るような切なさと寂しさを感じた。
ラストさぁ、これから。とエンジンをかけ直すようなところでENDなので、何回読んでも
あ、終わっちゃった、、、
という気持ちになる。

いろんなところで伏線も張ってあってそれも綺麗に回収され素敵な1冊だった。

この本の続きに
また君と出会う未来のために
という本もある。





この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?