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『右』を説明してください。

『『右』を説明してください。』と言われたらあなたはなんと回答しますか?

アニメ『舟を編む』に出てきたやり取りを初めて見たとき、思わず考えさせられてしまいました。すぐには答えられない質問だと思います。

このNOTEでは、アニメ『舟を編む』を見て考えたコミュニケーションにおける重要な要素について書きます。誰かとコミュニケーションをとるときにズレが生じる原因が見つかるかもしれません。

✅1、『舟を編む』の概略

アニメ『舟を編む』は、三浦 しをんの小説『舟を編む』が原作となっています。実写映画化もされている小説で、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

主人公の馬締光也(まじめ みつや)が出版社の辞書編集部で辞書を作るという物語です。アニメの説明文を最初に読んだとき『ん?このアニメ本当に面白いのか?』と正直不安になりました。

Amazon Prime Videoにてアニメが無料で視聴することができた時期に暇つぶしで見始めたアニメです。アニメは全11話しかなく、軽い気持ちで見始めました。

ところが、このアニメは、バカにできないぐらい面白かったのです。
Amazon Prime Videoのレビューは200件近くあり評価が4.5でした。
『そのレビュー値の高さが妥当だな』と納得する面白さでした。

特に、印象に残った部分がこのNOTEのタイトルに記載した『『右』を説明してください。』です。

✅2、『舟を編む』における『右』

主人公の馬締は、辞書編集に適性があるかどうかをテストされたときに、『『右』を説明してください。』と言われます。

主人公の馬締はこのように答えました。
『『ペンや箸を使う手のほう』と言うと、左利きのひとを無視するし、『体を北に向けたとき、東にあるほう』とでも説明するのが、無難ではないでしょうか。』

主人公の馬締が回答する直前、アニメを一時停止して自分でも考えてみたのですが、いい答えは出ませんでした。

主人公の馬締の回答は非の打ち所がないほど良い回答だと思います。
『すごいなぁ』と感心すると同時に、どうしてこんなにも『良い答えだ』と思ったのか考えました。

そしてたどり着いたのが、『すべての人とコンテキストが一致している回答』ということです。

✅3、コミュニケーションにおいてはコンテキストが重要

誰かとコミュニケーションをとるときには、その前提となる知識や共通認識、つまり、コンテキストが重要になってきます。

例えば、口頭で『みておいて。』と誰かに言われたとき、状況によってその『みる』は『注視する』という意味にもなるし、『考えて意見をまとめておく』という意味にもなってしまいます。

コンテキストがあっている場合の方が少なく、仕事でもプライベートでもコミュニケーションにおいてはコンテキストを合わせるという作業が重要になってきます。

右の説明においても、受け手とのコンテキストが重要になってきます。

主人公の馬締が言った『『ペンや箸を使う手のほう』と言うと、左利きのひとを無視するし、』という発言にもあるように、『ペンや箸を使う手のほう』は、読み手の属性を右利きの人だと想定しており、左利きの人とはコンテキストが合いません。

しかし、『体を北に向けたとき、東にあるほう』は誰の場合でもコンテキストが合います。人によって東西南北の方向が変わることはありえないからです。

『『右』を説明してください。』という質問は、辞書の読み手を想定している質問です。辞書の読み手の属性は無数に存在します。
書の読み手というコンテキストが合わせづらい人とコンテキストが合う説明をすることができる主人公の馬締は『すごいな。』と純粋に感動しました。

✅仕事への転用

発する言葉、その言葉の言い方などコミュニケーションにおいて言葉そのものや言い方は、もちろん重要な要素です。

しかし、それ以上にコミュニケーション相手とコンテキストが一致しているかが重要です。言われた通りにやったのに『違う』と言われてしまうとき、もしかしたらコンテキストが一致していない可能性があります。

誰かとコミュニケーションをとるときは、コンテキストが一致しているかにしっかり意識を向ける必要があります。共通認識/前提条件が合っていない会話が嚙み合うはずはありません。

では、どうすればコンテキストは一致するのでしょうか。
主人公の馬締が『『右』を説明してください。』で回答していたように、誰にとっても共通している事象(今回の場合は方角)をもとにコミュニケーションをとることでコンテキストが一致します。

相手が知らないであろう言葉を使わない、ということもコンテキストを一致させるうえで重要です。

私の場合は、コンテキストを合わせるために紙に図を描き、お互いそれが見えるようにしながらコミュニケーションをとっていました。お互い見ている図が共通認識になるのでコンテキストが一致しているのか、ずれているのかが分かります。

✅4、まとめ

『『右』を説明してください。』と言われたらあなたはなんと回答しますか?

コミュニケーションにおいて一番重要なのは、コンテキスト(前提条件や共通認識)が相手と合っていることです。コンテキストを合わせるには、コミュニケーション相手と自分の共通項を探す(方角などの揺るがない前提)か、共通項を作る(紙に図を描いてビジュアル的に理解する)ことが必要です。

これができるだけで、他者とのコミュニケーションが一歩前進するかもしれません。

いかがだったでしょうか。
『舟を編む』自体とても面白い作品なのでぜひ小説を読んだり、アニメ・映画を見てみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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