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ブラッド・ピットから学ぶ具体的な目的

(このNOTEは3分で読めます。約2,800文字)
『パーパス経営』という言葉を最近よく耳にするようになりました。

※後で用語の説明を入れます。※
20世紀型の『MVV』をベースにした経営モデルではなく、『PDB』をベースとした21世紀型の経営モデルが良いという風潮があります。

新しい横文字がどんどん出てきていますが、結局シンプルで具体的な分かりやすい目的が1つあればいいのではないかと考えています。

このNOTEでは、ブラッド・ピットが立ち上げた財団の目的を紹介します。『MVV』や『PDB』ではなく、シンプルで具体的な分かりやすい目的が良いと考える理由について説明していきます。

✅1、『MVV』から『PDB』への移行が世の中的な潮流?

1-1、『MVV』とは

『MVV』とは、『ミッション』、『ビジョン』、『バリュー』の3つの頭文字をとった言葉です。多くの会社は、自社のMVVをホームページで公開しています。

こちらでは、有名大企業の『MVV』が記載されています。
これを見ると、『MVV』とは具体的にどんなものか分かります。

また、『MVV』の作り方がネット上に公開されていますし、『MVV』を作成することをサービスとしている企業もあります。

1-2、『PDB』とは

『PDB』とは、『パーパス』、『ドリーム』、『ビリーフ』の3つの頭文字をとった言葉です。社会的な背景により21世紀型のモデルとしては『MVV』から『PDB』へ移行していると説く書籍もあります。

こちらの記事は、『PDB』の内容や、『MVV』からの変遷が分かりやすく説明されているので一読する価値があるものです。

社内でも『パーパス経営』という言葉を聞くようになったため、浸透していっている概念だということを実感しています。

ただ、正直に言って、私はあまりピンと来ていません。
結局『MVV』も『PDB』も抽象的な話をしていて具体性がないため、自分自身の仕事を判断する基準になりえないと思うからです。

✅2、財団『メイク・イット・ライト』の目的

具体性のある目的・ビジョンとして良く引き合いに出されるのが、ブラッド・ピットが立ち上げた財団『メイク・イット・ライト』の目的です。

「ニューオリンズの下9区に住む世帯のために、手頃な価格で、環境にやさしく、ハリケーンへの耐久性を持つ家を150戸建設する」
https://www.dhbr.net/articles/-/2604?page=2

これが財団『メイク・イット・ライト』の目的です。とても具体性のある分かりやすい目的です。

財団『メイク・イット・ライト』で働いていると仮定してみてください。
自分の仕事が目的に沿っているかどうか判断するうえで、「ニューオリンズの下9区に住む世帯のために、手頃な価格で、環境にやさしく、ハリケーンへの耐久性を持つ家を150戸建設する」はとても判断しやすいものではないでしょうか。

✅3、全部盛り込もうとすると抽象的になる

3ー1、抽象的になる目的・ビジョン

目的やビジョンを定めるときによく陥ってしまうのは、その目的やビジョンが抽象的になってしまう問題です。

『より良い社会』や『より良い世界』というキーワードが入った目的やビジョンが溢れかえっています。大切なのは分かりますが、結局どんな仕事もそれに該当してしまい、自分の行動が目的やビジョンに沿っているかどうか判断する上で意味のある判断基準にはなりえません。

しかし、実際作っている側や目的・ビジョンを評価する側は『漏れ』の怖さからどんどん抽象的なものにしていってしまう傾向があります。

『あれ、この目的だと日本だけが対象だ。じゃあ日本以外の人はどうでもいいかといわれると、そんなことはない。『世界』というキーワードを入れよう。』とどんどん抽象的な目的になっていきます。

3-2、『他者性』ゆえに完璧な定義をすることはできない

1つだけ新しい単語を出させてください。『他者性』という言葉です。実は、何かを定義するときにはこの『他者性』ゆえに完璧な定義をすることはできません。

例えば、『物理』とは何か定義しようとします。学問としての『物理』はこの世の物理現象を探求する学問です。『物理』を定義しようとすると、必ず定義できない部分が入ってきます。

何かしらの物理現象を観測しようとします。その結果は数値によってあらわされます。ということは、数値で表すことができないことは表現することができないのです。『暗黒物質(ダークマター)』がその一例です。

このように、何かを定義しようとすると必ずそこには『漏れ』が発生します。簡単に言うとこれが『他者性』です。

目的・ビジョンにも当然『他者性』があります。例えば、『より良い世界』の世界とは何でしょうか。『世界』を定義するときには必ず抜け落ちる何かが存在してしまいます。ゆえにそもそも『世界』を完璧に定義することはできないのです。

『『他者性』ゆえに目的・ビジョンを完璧に定義することができないなら、そもそも目的・ビジョンを定義する必要はないよね。』と悲観的なことを言いたいのではありません。

『『他者性』ゆえに目的・ビジョンを完璧に定義することができないからこそ、『他者性』があることを受け入れて、具体的な目的・ビジョンを作ろう』ということを言いたいのです。

3-3、『他者性』を受け入れる勇気

ブラッド・ピットが設立した財団『メイク・イット・ライト』の目的を思い出してください。

「ニューオリンズの下9区に住む世帯のために、手頃な価格で、環境にやさしく、ハリケーンへの耐久性を持つ家を150戸建設する」
https://www.dhbr.net/articles/-/2604?page=2

『他者性』盛りだくさんではないでしょうか。

『ニューオリンズだけでいいのでしょうか。』
『価格や環境、耐久性だけを良くすればいいのでしょうか。』
『150戸の場合、そこに住めない人のことは考えなくていいのでしょうか。』
などいくらでも指摘を入れることができます。

しかし、それを繰り返していくと抽象的になるばかりです。
必要なのは『漏れ』があることを受け入れて、具体的な目的・ビジョンを立てる決意ではないでしょうか。

具体的な目的を立てることができれば、結果を評価することができます。
今の仕事が目的に沿っているか判断することができます。具体的な目的・ビジョンの持つ意義は大きいです。

✅4、まとめ

世の中的に『MVV』モデルから『PDB』モデルに経営モデルが移行しつつあります。私には、抽象的な話から抽象的な話に移り変わったようにしか見えません。

経営モデルとして必要なのはこうした抽象的な話ではなく、シンプルに『具体的な目的・ビジョン』なのではないでしょうか。抽象的な大義名分を掲げるよりも、評価できる、行動指針になる『具体的な目的・ビジョン』の方がよっぽど価値があると思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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