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指先の小説(ときメモGS3二次創作)

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ときめきメモリアル Girl’s Side 3rd Story を基にした掌編小説をまとめています。
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記事一覧

紺野先輩への恋文

いつも優しくしてくれてありがとう。 あなたは私が尽くした以上のこと返してくれます。受け止…

森井啓衣
1年前
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向き合うのはチェスではなくて

小学2年生にして難易度とドラマ性の高さが光るシミュレーションRPG『王国の紋章』シリーズ第1…

森井啓衣
1年前
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ペダルを踏むか踏まないか

「あ…設楽先輩は結構踏むんですね。モダンピアノではやはりそのくらい必要ですか。」 俺の右…

森井啓衣
1年前
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ジェットコースターはダメよ

生徒会室に向かう道すがら紺野は廊下で彼女を遊園地に誘った。 「……お断りします。私、ずっ…

森井啓衣
1年前
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家庭教師ふたたび

彼女の高校卒業と同時に交際をスタートさせた紺野玉緒。進学した大学も同じであった。彼は工学…

森井啓衣
1年前
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ターンテーブルとふたり

夕飯後にコウは部屋の照明をは少し落とした。室内の空気を甘やかにさせてゆく。食器の片付けと…

森井啓衣
1年前
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セイちゃんちのピアノ

二人暮らしをしながら高校に通っているコウとルカは両親のいる実家に帰省していた。しかし居間にいるのもなんとなく退屈な気分になり近くの勝手知ったる邸宅を訪ねた。そこには本格的なグランドピアノが置いてあった。 ルカは猫ふんじゃったを嬉々として弾き散らかす。音を外しても無邪気そのもの。鍵盤の反応の良さを本能的に察知しながら挙句の果てに大声で歌い出す始末である。 コウは棚にあるレコードを気にしながらルカをとおくで嗜める。おい、ほどほどにしとけ。 この部屋の主は設楽聖司という。彼ら

歌うよりも面白いこと

設楽が繁華街を久しぶりに歩いていた。何気ない散歩。そこにどこからともなく出くわした柔道部…

森井啓衣
1年前
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うまく弾けたしるし

遺作嬰ハ短調を終えた彼はソファーのほうに進む。限られた観客のうちひとりは澄んだ聴覚を立て…

森井啓衣
1年前
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もっとくれないの?

「ルカくん、はい、バレンタインのチョコレート」 幼馴染の彼女は手渡す。だがどう見ても少な…

森井啓衣
1年前
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フランスといえば……

パリに留学中のピアニストである友人設楽へ、紺野のメールに彼女は続けた。「アサス城にはもう…

森井啓衣
1年前
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華と地味のあわいに

「設楽先輩のショパンは透明感がずば抜けていると思います。」と彼女は感嘆する。 「…まあな…

森井啓衣
1年前
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意外なプレゼント

(作者より)下記リンク「拍手の代わりに」の続編的内容です。 2月17日は設楽先輩の誕生日。…

森井啓衣
1年前
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拍手の代わりに

屈折した天才ピアニスト設楽先輩は紺野先輩の長い友人なので、表向きの性格がかなり尖っていても無視は良くないと彼女は思っている。遅いお歳暮的に高級なバレンタインチョコレートを贈ることにした。 「なあ紺野、おまえはチョコレートを貰ったのか?」と図書室の机で勉強している背中に尋ねた。 「いきなりなんだよ、設楽。」機嫌のナナメはいつものことかと呆れながら応じる。 「……おかしいんだよ、そもそも。」言い淀みつつ怒りを滲ませる。 「誰のことを言っているんだい?」紺野は毅然と向き直る。 「