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意外なプレゼント

(作者より)下記リンク「拍手の代わりに」の続編的内容です。

2月17日は設楽先輩の誕生日。高級バレンタインチョコに次いで彼女は引き続きお歳暮のつもりで念押しに「古い楽譜」を贈った。

「紺野、昨日おまえが親しくしている女子から誕生日プレゼントをもらったぞ。古い楽譜な。音楽、分かるやつみたいだな。」まんざらでもないらしい。
「僕はよくわからないけど、お父さんがクラシック好きで小さい頃からコンサートに連れて行ってもらってたって。」そうだったのか。
「ふぅん…。」と視線を虚空に泳がせてから顔を近づけて「紺野、連れてこいよ。」と誘いかけてみた。
「設楽、コンクールも近いのに練習の邪魔にならないか?」真面目な紺野は聞き返す。
「違う。練習なんだよ。人に聴かせるのも。」これだからわかっていないと見下ろしながら反論した。
「そうか。きっと彼女も喜ぶと思う。助かるよ。ありがとう。」このような時も紺野は実直である。そのストレートさに腹が立つのが設楽のクセでもある。
「……おまえは寝ていていいからな。」

彼女とより近づきたい紺野に新たなデートスポットができたらしい。ぶっきらぼうな設楽なりの粋な計らいであろう。