和楽器バンドのこと

　単刀直入に言って、素晴らしいバンド。かなりいい。応援したくなる。

〈https://www.youtube.com/watch?v=jrSg3_OpR0Y〉

　ロックと和の融合は何十年も前からずっと試みられてきた。自分もそんなバンドを組みたいと思ったことがある。でも、ここまで見事で大胆な融合はなかっただろう。和楽器が我が物顔でロック、というかもはやヘヴィーメタルに入り込んでいる。そして違和感がないどころか、そんじょのバンドより断然カッコいい。それぞれ思い切りやって、共通の溶け合う地点が見えたというようなアレンジ。ここまで徹底するとは……。想像を絶してました。負けましたｗ

　和楽器の、というか『和』の概念が気持ちよくぶっ飛んだ。和楽器などは時代錯誤なものという通念があって、だから演奏者からも自虐や遠慮がなんとなく感じられた。しかし、こんなに堂々とやられると普通にカッコいい――やっぱり自信は魅力につながる。和楽器でのロックに愛や確信が感じられる。もっとやってくれ、と思う。

〈https://www.youtube.com/watch?v=DD6LHfm5AZY〉

「なんで日本人は、ずっと自分の文化に対して自虐的だったのだろう？」と考えてしまった。まあ、植え付けられた劣等意識だろうな……。

　ヴォーカルは詩吟やら民謡やらの技法で、本来、演歌以上に和風なのだが、ロックに馴染んでいるし、かつ、やはり『和』を感じる。これも凄い。

　全員のスキルが高い。さすがプロ、と安心して聴ける。最近は、スキルが低くて安心して聴けないミュージシャンも多い。スリルではなくて、ただ不安。しかし、和楽器バンドはスキルの高さがスリルになっている。ライヴなどではその辺りが際立つだろう。

〈https://www.youtube.com/watch?v=UyuzfQkUlyY〉

　ともかく、もっと評価されて然るべきだ。自分も何年か前初めて聴いたときは、「アニソンぽい」とか「キワモノか」などと感じた。バンド名がドストレートすぎるとも思った（これは未だに思うが慣れたｗ）。和楽器を入れていて、かつゴシックで大人な独特の曲が多いから、慣れていないと初めは拒絶反応に似たものがあるかもしれない。しかし、ちゃんと聴けば質の高い楽曲だと分かる。何より、『和』がロックに溶け込んで、クールに響いているのが斬新だし快感だ。

　彼らは、海外では高く評価されている――日本では紅白に呼ばれていないようだけど。『和』を一番評価していないのは日本人なのではないか、と思う。と言うか、最近の紅白がちいとなあ……。

『和』を評価すると言っても、彼らは右翼的になるわけではないようだ。それは聴いていて分かり、安心した。アートとしての和とロックの融合で、ただただ美しい。以前は、政治性のないロックバンドはダメだと思っていたクチだが、ひたすら美を追求するのもありだと思うようになったし、それこそアーティストが第一にすべきことで、それによって世界はむしろ良くなるかもしれないと感じはじめている。

　日本のアーティストで、YouTubeの再生回数一億回を超えているのは、スピッツと他にいたっけな？　で、ここにもいる。和楽器バンドは世界中から視聴されている。いやあ凄い。あまり報道されないし、認知されていないようだけど、実際凄い現象だ。avex もやるなあと思った。昔は『和』なんかに眼も呉れなそうだったから。和とロックの大胆な融合を実際に行ったことで、こんな奇跡も起こるし面白いもんだ。重ね重ね、もっと評価されてほしいバンドだ。

〈https://www.youtube.com/watch?v=K_xTet06SUo〉