齋藤 通雄

退職国家公務員。現役時は、国債発行、PE・VCファンド業務(出向)や、金商法の企画立案…

齋藤 通雄

退職国家公務員。現役時は、国債発行、PE・VCファンド業務(出向)や、金商法の企画立案・執行など、マーケット周りの経験が長い。ハイデルベルク大学留学、ドイツ滞在歴通算7年。ワインエキスパートエクセレンス、ドイツワイン上級ケナー。小型船舶1級、レスキューダイバー

最近の記事

新ドイツワイン規則の施行

5月7日のドイツ連邦法令官報(Bundesgesetzblatt)において、新しい(第24次改正)ドイツワイン規則改正の内容が公布された。 「この規則は、公布の翌日から施行する。」と書かれており、新しいドイツワイン規則は5月8日から効力を発することとなった。 改正部分を織り込んだワイン規則の全体は、連邦法務消費者保護省が運営する政府の法令公開ページで公開されている。 【参照】※いずれもドイツ語のみ 連邦法令官報(改正部分のみ。PDFファイルは印刷不可となっていることに注

    • グローセス・ゲヴェクス等の基準管理組織について

      ワイン規則改正に関する連邦参議院修正で、グローセス・ゲヴェクス(Großes Gewächs)等の規定が追加されたが、この規定の中で、ドイツワイン法・ワイン規則でこれまであまり用いられることのなかった用語が登場している。 すなわち、"Schutzgemeinschaften"(:複数形。単数ではSchutzgemeinschaft。直訳すれば「保護共同体」)と"Branchenverbände"(複数形。単数ではBranchenverband。直訳すれば「業界連合団体」)であ

      • ドイツワイン規則の最終的な改正内容

        1.序 3月26日、ドイツ連邦参議院本会議においてワイン規則改正案への同意が決議された。ワイン規則(Weinverordnung)は、ワイン法(Weingesetz)の下の行政府が定める規則(日本でいえば政令とか省令)だが、ドイツでは、州レベルの行政に影響がある場合、連邦参議院(ドイツの参議院は各州の代表によって構成されている)の同意が必要とされる。 今回のワイン規則の改正については、原案作成段階から色々と議論があり、議会においても、政府(連邦食糧・農業省)が連邦参議院に提

        • ワイン法令におけるグローセス・ゲヴェクス等の規定の新設

          ドイツワインにおいて、特級、一級に相当するグローセス・ゲヴェクス(Großes Gewächs)、エアステス・ゲヴェクス(Erstes Gewächs)の表示については、これまで、有力ワイナリーによって構成された業界団体であるVDPによってルール化されてきた(エアステス・ゲヴェクスについては、州法レベルではヘッセン州で規定がある)。 現在進められているワイン規則(ワイン法の下の行政規則)改正によって、これらの表示は法令上の位置付けを獲得する見込みである。 ワイン規則改正案に

        新ドイツワイン規則の施行

          赤ワインが中心のドイツの産地

          【ドイツワインの白赤比率】 ドイツのワインといえば、リースリングを中心とした白ワインのイメージが強い。 実際、ドイツ全体の品種構成を見ると、白ワイン用のブドウが約3分の2(66.9%)を占め、赤ワイン用のブドウを大きく上回る。また、ドイツワインの輸出を見れば、実に82.3%が白ワインである(いずれもDWI統計資料の2019年の計数)。 しかしながら、ドイツに13ある指定生産地域(bestimmte Anbaugebiete)の中には、赤ワイン用ブドウの生産が白ワイン用ブド

          赤ワインが中心のドイツの産地

          VDPによるゼクトの新しい格付け

          (2020年12月にFacebookで一部既報の内容) VDPが新たに、ゼクトの格付けとその基準を定めたようだ。 ドイツワイン法では、ゼクトは9カ月以上の熟成でタンク内二次発酵も可であり、その上級のものとして瓶内二次発酵が義務付けられたWinzersektとCrémantが位置付けられている。 VDPは、更に厳格化して、自家栽培のブドウを原則手摘み、全房圧搾で、瓶内二次発酵を義務付けた上で、熟成期間別に、最低15ヵ月熟成(ヴィンテージ・ゼクトの場合最低24ヵ月)のVDP.S

          VDPによるゼクトの新しい格付け

          ドイツワイン法及びワイン規則の改正

          今次制度改正の狙い ドイツワイン法(Weingesetz)改正案は、2020年11月26日に政府案を一部修正の上連邦議会で可決され、同年12月18日に連邦参議院の同意を得た。 この法改正に伴い、その下位法令であるワイン規則(Weinverordnung)も改正が行われる。 (訳注:Verordnungは日本でいえば政令(○○法施行令)又は省令(○○法施行規則)に当たるが、「令」の訳語を当てると戦前に制定された勅令(「○○令」の名称だが法律相当)との紛れが生じる恐れがあるため

          ドイツワイン法及びワイン規則の改正

          ドイツワイン輸出市場としての日本

          (データ出典:Deutscher Wein Statistik `20/`21 , WANDS誌2020年4月号) 日本への輸出 ドイツワインの日本向け輸出は、2019年には金額ベースで1,200万ユーロ、数量ベースで27,000ヘクトリットルと、いずれも2018年の1,100万ユーロ、23,000ヘクトリットルから増加した。 増加率は金額で9.1%、数量で17.4%と、ドイツワインの輸出全体の伸び(金額△0.7%、数量3.2%)を大きく上回り、ドイツワインの輸出先とし

          ドイツワイン輸出市場としての日本