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ドイツワイン輸出市場としての日本



(データ出典:Deutscher Wein Statistik `20/`21
, WANDS誌2020年4月号)

日本への輸出

ドイツワインの日本向け輸出は、2019年には金額ベースで1,200万ユーロ、数量ベースで27,000ヘクトリットルと、いずれも2018年の1,100万ユーロ、23,000ヘクトリットルから増加した。

増加率は金額で9.1%、数量で17.4%と、ドイツワインの輸出全体の伸び(金額△0.7%、数量3.2%)を大きく上回り、ドイツワインの輸出先として日本の重要性が高まっていることが伺える。

※ ドイツワイン・インスティテュートがソーシャルメディアで展開するアジア料理とのペアリングのプロモーションの中で、2019年の日本向け輸出が50%増えたと記載している(下のイラスト二つ目の最下部参照)が、何と比較したものかは不明である。
(追記;WANDS誌2020年4月号によれば、ドイツからのスティルワイン輸入量は2018年の278,409ケース=25,057ヘクトリットルから2019年には413,794ケース=37,241ヘクトリットルに48.6%増加している。ただ、これはあくまでも輸入側のデータである。)


世界への輸出(総額、総量)

ちなみに、ドイツワインの最大の輸出先はアメリカであり、オランダ、イギリス、ノルウェーといったヨーロッパ諸国が続き、日本は第8位(金額面。数量ベースでは第12位)である。

アジアで見ると、日本よりも中国が上位(金額第5位、数量第10位)にあり、2019年には1,700万ユーロ、33,000ヘクトリットルとなっている。中国の対前年比は、金額で0.0%、数量で△2.9%と横ばい以下であった。

世界への輸出(ボトル単価)

ドイツワインの輸出先については、輸出ワインのボトル当たりの単価で見ると、また少し違った景色が見えてくる。

※ 以下、いずれも2019年の数値。統計データの€/hlの数値からボトル1本(750ml)当たりに換算し、為替は1€=125円で換算して試算している。

ドイツワインの輸出全体の平均で見ると1本275円、最大の輸出先であるアメリカは1本370円であり、オランダやイギリスは170円~180円にとどまるのに対し、日本向けは430円である。中国は485円とそれを上回り、輸出総量は少ないものの、韓国は500円、台湾692円、香港に至っては724円と、アジア各国は相対的に高価格のドイツワインの輸出先となっている。ちなみに最も高いのはオーストラリアで738円であった。

このボトル当たりの単価は、ドイツワイン愛好家の感覚からすると安く感じられるかもしれない。
もちろん、この価格は輸出時のものであって、日本で購入するときには、これに輸送費や関税、保険料、倉庫代等のコストや、インポーター、小売店・レストラン等のマージンが上乗せされるわけだが、それを考えても安く感じられる。
その理由としては、日本に入るドイツワインのかなりの割合をマドンナや黒猫といった低価格帯のワインが占めており、平均が押し下げられていることが考えられる。
WANDS誌2020年4月号によれば、日本でのドイツワイン販売業態の49%(数量ベース)をスーパーが占めており、価格帯で見ると、国内販売全体の42%が1.000円未満、1,500円未満だと実に85%を占めているのである。

(了)

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