エンタメ業界の弁護士を目指す理由 〜初心表明〜

法学部に入学するも、法曹を目指そうとは全く思わず就職した社会人がなぜ今更弁護士を目指そうと思ったのか、という話です。
何のために勉強してるんだっけ?と自分を見失ったときに読み返す用として作ってみました。


私がエンタメ業界で問題視していること


日本のアニメや漫画といったコンテンツを海外展開して、しっかり収益化することで、日本のコンテンツ産業を盛り上げたい!
引いては日本の経済を支える大きな柱にコンテンツ産業がなることで、日本の経済をよくしていきたい。
そう思って私はこのコンテンツ業界に飛び込んだ。

実際に業界に入ったことで、やっぱり日本のコンテンツは海外にとって需要の塊であり、思っていたことは全く間違っていなかったと確信した。

一方で、業界の構造をはじめとしたあらゆる課題も発見した。

⚪︎業界の構造
コンテンツ産業では出版社と広告代理店が絶大な権力をもち、アニメで儲けた収益の多くを持っていく。結果、クリエイターには十分な額は反映されていない。
中抜きはどこの業界でも起こっていることではあるが、正直日本が唯一と言っていいほど海外に誇れる業界がこんなことでいいのだろうか。
優秀なクリエイターは給料の高い中国にいく人が増え、中国のアニメクオリティがどんどん上がっている。
天下のディズニーも昨今は優秀なクリエイターが少なくなってしまい、クオリティの維持に苦労しているように見える。日本のアニメは大丈夫なのか。。。

⚪︎口約束の世界
この業界は契約書を重要視することがないのか、口約束だけ物事が進んでしまうことが多々ある。
実際蓋を開けてみたら思わぬ方向に進んでしまうことも。
「セクシー田中さん」の痛ましい事件でも、原作者さんの希望を反映した契約書に則って作品化していたらもしかしたらこのような悲劇は生まれなかったかもしれない。
決して原作者さんを責めているわけではなく、そもそもこうした慣習がないのが明らかになった事例だと思う。(私自身この事件には思うところが大変ありまして、納得できる説明がされるまで日テレと小学館のスポンサーへの不買運動をしています。影響力が小さすぎますが、私にできることをやろうと思い….)

⚪︎プラットフォームを持たない危うさ
今ではアニメもドラマも映画も、配信サービスで視聴するのが当たり前になりつつある。
一昔前であれば海外は海賊版サイトで日本のアニメを視聴するのが当たり前だったが、NetflixやAmazon Prime等のサブスクサービスの台頭により、公式で視聴する人の数もかなり増えた。
しかしこうした配信サービスは全て海外産であり、日本はそうしたプラットフォームを持っていない。持ってはいるがグローバルではない。
となると、必然的にコンテンツ営業は海外を相手にしていかないといけない。
特にアメリカはなんでも契約主義で、どんどん交渉していくスタイル。
相手が出してきた契約書をそのまま鵜呑みにしたらどんな恐ろしいことになるか。(ハリウッドの日本の漫画実写化は毎回契約書の交渉が大変らしい)
今、日本の漫画・アニメ作品が世界中で大人気で、世界中のプラットフォームが日本作品を狙っている中、日本側の利益をしっかり守りながら世界中の多くの人に作品を届けることが隅々までできるのだろうか。

私がエンタメ業界で携わりたかったこと~現実的問題 それって違うのでは?~

これらは業界にいなくても自明ではあるが、恥ずかしながら私はやっと認識し始めて、自分に何ができるか考えた。
元々は日本のコンテンツのプロモーションに携わりたかった。
それはより多くの人に作品を届けて、収益が入るかたちで楽しんでもらい、コンテンツ産業をさらに潤わせたかったからだ。
でも実際にはプロモーションをせずとも、この情報社会だと海外のアニメ好きは自分で自分好みの作品をみつけてくる。
エンタメの特徴としてファンが自発的に行動することが多いのだ。
例えば、アフリカのザンビア共和国でファンが署名活動をしたことで、地元の映画館で呪術廻戦0の映画が公開になったという事例がある。

BTSがアメリカで大ヒットしたのも、アメリカのBTSファン(ARMY)が組織的にアメリカの各ラジオ局に売り込んだことがきっかけだったのは有名な話だ。このように、ファンを動かせる最高の作品があれば、届けるところはファン自身に頑張ってもらうこともできなくはない。

ただ私は作品創りの才能はないし、またプロモーションにしてもファンを動かすという仕事はあるが、そちらは中抜き代表の広告代理店が専門家である。
彼らは最近は金のなる木と化したアニメに目をつけて、躍起になってSNSでバズるOPを作ったり、収益性の高い声優イベントを企画したりなどしている。

例えば最近だとマッシュル2期のOPが世界中で大バズリしているが、マッシュルの宣伝にADKが入っているので、SONY(ANNIPLEX)×ADKのプロモーション戦略が大当たりしたことによるのだと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=210R0ozmLwg

私もプロモーションについて、セミナーなどにも参加して日々勉強してはいるが、さまざまな意味で残念ながら私には勝ち目がないと思った。
しかも、結局そこで得た収益は広告代理店に中抜きされてしまう。
私が潤わせたいのは、コンテンツ産業そのものだけでなく、クリエイターなど現場で頑張っている人たちなので、プロモーションを頑張っても根本的な解決ややりたいことには繋がらないかもしれないとも思った。

エンタメ業界専門の弁護士との出会い


ではどんな分野であれば、私自身がこの市場で価値を発揮できて、さらにこの業界構造の改善にも寄与できるだろうか。
そう思って、この業界の仕事を躍起になって探しているうちにEntertainment Lawyerなる職業を発見した。
そう、エンタメ業界専門の弁護士だ。
そんな弁護士なんているんだと思って調べるうちに、この仕事こそが、私がこの業界で課題に思っていることに真摯に向き合う分野だとわかった。
この口約束中心の世界で、テレビ局、出版社、制作会社などからクリエイターを守るために、法律を武器に戦うことができる。
第三者として、業界構造に異を唱えることもできなくはない。
また何より、海外のプラットフォーム相手に、しっかり日本側に利益が落ちるような契約書に仕上げて交渉することで、日本側に有利なかたちを維持しつつ、世界中の人に日本のコンテンツを楽しんでもらうことができる。

私は幸運なことに、実際にこの分野の弁護士として活躍している人に会うこともできて、ますますなりたい気持ちが強くなった。
自分が好きなコンテンツをこんなかたちでサポートできるのは理想的だ。
コンテンツを創る側でもなく、届ける側でもなく、守る側…!
守りにみえて、攻めの交渉に必須の立場でもある。
日本のコンテンツ産業の発展やクリエイター保護の観点でも、今後確実に重要性が高まる仕事だと思う。

法学部で一緒だった友達たちと比べると、スタート時期があまりにも遅いかもしれない。
でもまだ20代。世間でも若い方なので、これから始めたっていいじゃない!という前向きな気持ちと、弁護士になってやりたいことへの初心を忘れずに、勉強に励んでいこうと思う。

...とここまでなんだか堅苦しく書いちゃいましたが、次回からはもっと短くカジュアルに書く予定ですw

このnoteは、こんな思いをもっている社会人が予備試験に受かるまでを記録していこうと思います!
こんな動機で弁護士になりたい人ってそう多くは無い気がするので、面白がってもらえれば!笑
よろしくお願いします!

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