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数学センスゼロのマーケターが考えた、仕事で本当に必要な因数分解

「大きすぎる仕事や、難しい課題が目の前にあるときは、因数分解をして小さく分けて考えてみよう。」と、多くのビジネス書が言っている。

もちろんその通り。「売上が伸びないのはなぜですか?」「インスタのフォロワーを増やすにはどうしたらいいでしょう?」「このサイトのコンバージョン率が……(以下略)仕事をしていると、日々大きすぎる課題との出会いがたくさんあります。そんなときは、分解して考えてみる。

でも数学センスのない私は日々仕事をしていく中で、だんだん分からなくなってきました。「果たして私の因数分解の仕方は正しいのだろうか?因数分解って、細かく要素に分けて考えようってことだと(勝手に)思っていたけれども、本当にこれでいいのだっけ…………?」

調べれば調べるほど、「まずは分解をすること」「分解は5回繰り返せ」「できる限り小さく分解せよ」 など、書かれている情報は様々。


「因数分解する意味って何ですか?」


中学も高校も泣きながら試験勉強をするほど数学嫌い(そしてセンスもゼロ)な私ですが、「因数分解」の言葉が一人歩きしている感が気になり、仕方なく、かなり本当にとても仕方なく元々の数学の因数分解を思い出してみました。

因数分解とは、共通項を見つけて括り、積の式の塊を作って問題を解ける形にすること。因数分解の本質は、「適切な形に分けて、問題を解ける形にしていくこと」です。

これを別の分け方をして、

としたところで問題を解いていくことができないのです。(とサラッと書きましたがエックスとかワイとか久しぶりに見たので10回くらい見返して私はやっと読み込めました。)

もう一度書きますが、因数分解の本質は「適切な形に分けて、問題を解ける形にしていくこと」。つまり、ただ闇雲に小さく分けたり、間違った分け方をしたりすると問題は解けません。

大事なことは、「その因数分解によって、問題が解決に向かっているのか?」。私が冒頭で抱いていた違和感は、このあたりとのギャップにあったのかもしれません。


ビールのうまさの因数分解


では本当に必要な、美しい因数分解とはどのようなものなのか?

先日訪れた佐藤可士和展では、メッセージに独自性と説得力を持たせるための「価値の因数分解」という展示がありました。

売る力= 引き出す力 × つなぐ力 × 市場を創る力 × 付加価値力

という式に辿り着くために各ブランドの因数分解をした、といったもので、たとえばビールブランドの場合、

としたそうです。

これを問題の解決という視点から離れただ小さく分解すると、

ブランドXのビールのおいしさ =大麦 × 製麦 × 麦芽 × ホップ ×水×・・・・・

という美しくない因数分解になり、どこの水をつかうだとか製麦方法だとかの枝葉の沼にハマっていき元々の目的の「メッセージに独自性と説得力を持たせる」から離れていってしまいます。

因数分解はあくまでも問題解決のための一つの手段であって、「とにかく細かく分解する」が目的となってしまったり、分解すれば解決していける、と言い切ってしまうのは違うのかもしれません。

確かに、実際に仕事をしていても「原因を特定するためにセグメントごとの結果に分けてみました!」と分解しても結局どのセグメントも変わり映えのしない結果で、一発で原因を特定できることなんて稀ですよね。


数字も数式も、扱う目的をはっきりさせること、デカルトの言葉


数字があると何となくそれっぽく見えてしまい、特に数学センスのない私は説得された気になったり、自分が説明をした気になったりしてしまいます。

今回の因数分解もそうですが、数字も数式も、あくまでも手段の一つであるので使いこなすにはやっぱり目的をはっきりさせることが必要です。

よく「困難は分割せよ」といったメッセージとして捉えられることの多いデカルトの言葉がありますが、

わたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。(「方法序説」デカルト著・谷川多佳子 訳

この言葉は「問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に」という部分あってこそなのでは、と思いました。



読んでいただきありがとうございました😊 素敵な一日になりますように!