50人の壁を突破するには?ブランディングエージェンシーが取り組んだ、人事制度リニューアルの裏側:後編
皆さんこんにちは。FRACTA CSV局です!
FRACTAがリブランディングの最終段階として行った人事制度改定についてご紹介する記事、後編です!
▼FRACTAのリブランディングについて
前編では、私たちFRACTAが人事制度改定に取り組もうと決めた背景や狙い、そしてFRACTAが目指す組織の姿であるPolicyとその実現のために一人ひとりに求める要素であるValuesについてお伝えしました。
▼前編はこちら
後編では、Policy&Valuesを中心に据えたうえで実際に各制度をどのように固めていったのか、また制度の内容とそこに込めた思いをお伝えします!
FRACTAの人事制度の全体像
FRACTAの人事制度は、Policy&Valuesを中心に等級、評価、報酬制度の3つの柱で構成されます。それぞれの役割とともにご紹介します。
①FRACTAでの成長の道筋、キャリアパスとしての等級制度
業績貢献と組織貢献の両方から、期待する役割を明確にしています。成長段階ごとに求める仕事への向き合い方やFRACTA Valuesの実践レベルを整理して定義しました。
②個々の成長を支援するための評価制度
等級制度で提示される期待役割の発揮レベルを高めていくための仕組みとして設計しています。この評価の観点は等級制度と接続しています。
③FRACTAへの貢献度の大きさに応える報酬制度
等級、評価制度との一貫性を持たせ、それぞれの貢献の大きさと報酬とのつながりを明確にしています。
制度設計の方針
あわせて、制度設計を進めるにあたっての方針を3つ決めました。この方針に沿って各制度をまとめていきます。迷ったときはここに立ち返り、運用のことも考えながらまとめます。ブランディングと一緒ですね。
ブーケさんのファシリテーションのもと、制度の全体像はこのような形にまとまってきました。
次はそれぞれの制度の詳細についてご紹介します。
成長の道筋をつくる等級制度
まずは等級制度です。FRACTAでの成長の道筋、キャリアパスとして「コース」と「グレード」を定義。コース、グレードはキャリアパスを形成する上で特に重要なので、この部分は策定にとても時間がかかりました。
※ちなみにグレード定義の構造までFRACTAのロゴに沿って作られています笑
期待値を明確にしないと具体的なアクションに結びつけることができないので、それぞれのグレードに対して「仕事への向き合い方」「Performance 業績貢献」「Development 組織貢献」の期待役割を定義しています。「FRACTA Values」については、全社員に求める要素であるため全グレード共通としつつ、発揮基準については評価制度で定めます。
コース設定にはこだわりがあります。「Player」のあとのキャリアパスとして「Master」と「Leader」という2つのコースが設定されています。フラクタはクリエイティブやテクノロジーの実装において自ら手を動かして「創る」ことを生業とするメンバーも多くいます。
評価システムのよくある議論で「創る技術を磨いていきたいが、ある地点からはマネジメント側に回らないと給与が上がらないので、仕方なくマネジメントをせざる得ない……」という話があります。
この問題において私たちが考えた事は「技を磨き続けるか、マネジメント能力を上げていきたいかは、個々人のキャリアプランによって変わるし、ライフステージ時によっても変わる可能性があるから、一定水準を超えた時点でどちらにでも行けるオプションを用意すべきだ」ということ。これがリーダーとマスターというコース分岐です。
リーダーはマネジメントや経営に関わっていくことになるので、その方向でのスキルアップを図る体制を用意しています。マスターはより一層の技術力向上と裁量向上を実現します。あらゆる権限、裁量を渡し、自由に能力を発揮して戦ってくれ!というコースですね。ちなみに現在は弊社内でもまだ少数しかいないので、これから期待です。
リーダーとマスターは、ライフスタイルの変化で行き来ができるようになっています。マスターでゴリゴリ成果を出してくれていたプレイヤーであっても、結婚、出産、子育て、介護、闘病、価値観の変化などで、「最前線で能力を発揮し続けていくよりも、後輩や部下を育てていく、次世代を支えていく道筋を学んでいきたい」ということもあるでしょうし、その逆で「今までマネジメントとして自信を持ってやってきたけど、自分の個人の力をどこまで発揮できるかまた最前線で試していきたい!」というシーンもあるかなと。
常にオプション(選択肢)を用意できるようにし、そこで自分らしい、真剣に考え抜いた道を選択してほしい、という思いがあります。社員対して「絶対に正しい道」の提示は会社からだけでは難しいので、少なくとも可能性はたくさん用意したいという経営陣の思いを反映しています。
成長を支える評価制度
それでは次は評価制度です!
等級制度で定義したグレードごとの期待役割について、発揮レベルを高めていくための仕組みとして評価制度を設計しています。「Performance 業績貢献」「Development 組織貢献」「FRACTA Valuesの発揮度合い」を半期ごとに評価します。
特にFRACTA Valuesは、グレードごとにより具体的な発揮基準を示しています。この基準をもとに、日々のアクションを評価していきます。
ちなみにFRACTAでは「HR Brain」というタレントマネジメントシステムを使っており、社員やマネージャーはそのシートに沿って目標設定から途中経過の確認、最終評価までできるようにしています。
評価制度の中でよく「成果主義」という言葉がでてくると思います。これは「売上が一番」とか「顧客獲得数一番!」のようなものを想像されることが多いのですが、実際には単なる成果だけなく「目標設定」と「そこへの到達プロセス」が当初の想定通りに実行されているかを併せて見ていくことが重要になります。
これは「なんかよくわからないけど、お客さまのブランドの売上が上がった。そもそもの目標設定もしていなかった。でも売り上げ上がったからいいよね?」ということだと評価できない、ということです。
FRACTAでは「なぜ売上が上がったのか?」「何かのアクションによって改善されたのか?」「それは予測できていた(仕込んでいた)のか?」「予測とのずれが発生したのはなぜか?」まで含めてちゃんと考えられていたかが重要だということになります。
(もちろん実際には等級が上になればなるほどこれらのプロセスはできていることが前提になるので、目標値に到達しているかどうかの指標に重みがつきます。)
評価時にマネージャーごとで基準に差異がでないよう、定量・定性ともに評価段階と評価の目安を設定しています。
評価の細かいポイントについてはここでは割愛しますが、評価におけるFRACTAらしいポイントをご紹介します。
FRACTAでは、マーケティングまわりのプラットフォームのハックスキルを学ぶ事の重要性や習得している人へのリスペクトは強く感じているものの、それに依存することは避けるようにしています。プラットフォームは日々ルールをガンガン変えてくるので、依存しすぎるとある日突然ゲームが変わって負けが続いてしまう、ということが起こり得ます。
例えばSEOなんかもずっとその戦いの連続だと思っています。そういったスキルは上手くハマれば会社にとって大きな利益になるものの、日々アップデートに注視し、次のパターンを見極めて先手を打ち続けていく必要があるためFRACTAの業務のような幅広いことをカバーしなければいけない状態とは相性が悪いです。そのため、プラットフォームハックの技術は外部のプロフェッショナルとパートナーシップを組み、自分たちのやるべき事に専念するというスタンスを持っています。
私たちがやるべきは抽象度を上げた領域。ナレッジの新規性や総需要の変動の影響を受けにくい領域こそが、難易度は高くてもやっていくべきこととして捉え、その部分を評価の重要基準に置いています。
逆にいうとプラットフォームハックの技術を日々最前線で追い続けているプロフェッショナルなみなさまには頭が上がりません。。。(なのでFRACTA自身では爆発的に売上や利益は上がらない笑)
グレードごとに期待役割が変化していくため「Performance 業績貢献」「Development 組織貢献」「FRACTA Values」のウェイトが変わります。一つ一つの項目ごと評価を行い、グレードに合わせたウェイトと掛け合わせて、最終的な評価にまとめていきます。
このような流れでS〜Dまでの総合評価を決定します。このように評価フローを明確に可視化することで、多様な職種のメンバーがいるFRACTAでもフラットに評価ができる仕組みになっています。
※ちなみに以前は代表が一人一人を直接評価し給与も決定していたので、正直ブラックボックス化している状態だったので、これらが定量的にも定性的にも可視化されたことはとても価値があると感じています!!
最終的な総合評価に合わせて、今度は報酬が決まっていきます。次は報酬制度を見ていきましょう。
貢献に応える報酬制度
報酬制度はなかなかシビアなお金の話が続くので、一部モザイクをかけさせていただいてますが、これは各社によって大きく変わってくるのでぜひ自社の報酬制度と掛け合わせて読んでもらえると幸いです!
このようなかたちで評価の結果が報酬に反映されていきます。
グレード、ランク、給与額の設定は各社いろいろな方針があると思うので各社の最適解を探していただくことになるのですが、ブランド組織としては「持続可能性」がとても重要になるという点だけ注意が必要です。というのも、ブランドは行動の総和なので日々の活動一つ一つの繰り返しが重要になってきます。半ば習慣化しなければならないですし、ここまでやったら完了!というものがありません。そのため、簡単に上限値に到達してしまうと「ブランドらしい行動」を実行し続けるインセンティブが失われ、結果的にブランドらしさは達成されないということになりかねません。
VISION、MISSIONの定義と併せて、そんなに簡単には天井には到達しないグレード、ランク、給与額の設定を実施していくことが重要になります。
未来に向けて踏み出す第一歩
ここまで長々と書いてきましたが、このような人事制度の全体像を見たときに「目標」や「バリュー」に設定されている内容ってよく見るワードだし、案外「普通」だよな……。と思われた方もいらっしゃると思います。よくぞ思ってくれました!笑
ブランド組織において、ここで役に立つのが「WHY」や「PURPOSE」です。
目標設定や行動指針は、本来「本質的」なものであり「普遍的」なものになっていきます。なぜならば「正しい」とわかっていながらも実現が難しい、継続が難しいものが目標としてふさわしいからです。ただ、それだとありきたりになってしまう……。そこで必要なのが「なぜやるのか?」「どんな意義があるのか?」です。これを会社全体として常に説明できるようになると、全ての当たり前の行動に「意義」がオーバーライドされます。
結果、当たり前の行動を当たり前のように持続できるというわけですね。これは私たちもまだ完全には実現できていないので、今後継続的に実施していかなければならない課題としても捉えています。
このような仕組みによって、FRACTA のVISIONを実現しMISSIONを遂行するために必要なアクション「FRACTAらしい行動」を実行し続けられるスタッフがしっかりと評価され、結果それがさらに「FRACTAらしい行動」を促し、結果的にMISSIONが遂行され、VISIONの実現に向かう行動の総和がブランディングになるということが実現されるロジックといえます。
もちろん、口で言うのは簡単なのでこれから成功に向かってこの制度を全力で稼働させていかなければならないのですが、その報告はまた次回笑。
ただ、今回の制度改定はその先の未来を見据えた第一歩だとFRACTAは考えています。その先の未来とは「ステークホルダー資本主義」と「自律分散型のマネジメントモデル」を目指すことです。
「ステークホルダー資本主義」とは、株主だけでなく、お客さま、スタッフ、地域社会、パートナー、環境、未来など、企業に関わるさまざまなステークホルダーの視点で経営のあり方を考え、彼らと有機的な連携を図っていきながら、社会の利益と企業の利益の両立を目指す思想です。
そして「自律分散型のマネジメントモデル」はWeb3.0でも提唱されている「中央集権型からの脱却」を目指し、「利己的な利他主義」を個人レベルで実現すること。
これらの実現への道のりはまだまだ長く険しいですが、まずはその第一歩として、今回の人事制度改定を実行しました。これからもフラクタをぜひ注視してください!
さてさて長くなりましたが、今回はここまで。
ブランド組織における人事制度改定とは一体どういうことを行うのかを身をもって語ってきましたが、皆さんいかがでしたでしょうか?少しでもお役に立てたなら幸いです。
最後に、今回のプロジェクト全体をマネジメントし、コンサルティングし、アクセラレーションし、自走を促してくれたブーケさんの小野寺さんと髙橋さんに改めてお礼申し上げます!
▼bouquetさん
そして、今後ブーケさんと一緒にブランディング・リブランディングと人事制度改定をセットでご提供するサービスも開始予定なので、ご興味ある方はぜひお問合せくださいませ!
それではみなさま、最後まで読んでいただきありがとうございました!
▼FRACTAについて
FRACTAはブランドの立ち上げから強化、DX、体制構築まで企業の成長に寄り添い伴走するトータルブランディングパートナーです。ブランドの挑戦をテクノロジー、クリエイティブ、ビジネスの力で支えます。
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