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若手社員の気配なき退職にどう対応するか

滋賀県高島市の住職・行政書士・FPの吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬・終活
のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
詳しくはこちらのホームページから。

先日、県内大手企業の総務部長の方と研修の講師としてご一緒した際に、最近の新卒の採用状況や定着についてお話を聞きました。
最近は、給与や一般的な福利厚生などは求人情報に書かれているため、面接等でもほとんど聞かれないそうです。

一方でよく聞かれるのが、「入社後にどのように成長できるか」という話だそうです。
その企業では、年次ごとに目標となる資格の取得を設定しており、資格取得に合わせて一時金の支給や毎月の給与のアップを行っているそうです。

ただ定着という所では近年難しくなってきているということで、特に転職系のサイトやアプリに簡単に登録することで、より条件の良いところに転職する若者が増えたとおっしゃっていました。

別の機会に、お子さんが昨年の春に就職されたという方のお話も聞きました。
まだコロナの影響が残っているため、研修は全てオンライン。
少しでも体調が悪いと、すぐに「休みなさい」と言われる環境だったそうです。
また業務もテレワークの導入が進んでいる会社であったため、対面で同僚や先輩や上司と会うことが非常に少ないそうです。
ホワイトさは感じているものの、お子さんは何か物足りなさを感じているようで、ひょっとしたら辞めてしまうかも、と心配されていました。

若手職員に退職の気配がないまま、突然、退職の申出がある「気配なき退職」が増えていると記事がありました。
それも給与水準や労働環境も悪くない会社で起こっているようです。

記事の中で、人事担当者が退職以降の若手に理由を聞くと、大学時代の友人が別会社で新しい事業に取り組んだり、忙しくしている姿を見て、自分が取り残されているように感じるようです。
人事としては段階的に成長していくステップを作り上げてきたつもりなのに、それでは物足りなさを感じているようです。
こちらの記事では、この若手に次はどんなチャンスを与えようか、と考えていたと書かれており、それなりに期待していた様子がうかがえます。

しかし、別のネット記事を見ると、退職を申し出るのは、上司からの評価で上位層や下位層でなく中間層だと書かれています。

この記事ではイマイチな人材が辞めていくのだ、と書いていますが、評価上位や下位は誰が見てもそういう評価になるでしょうから、この中間層に対して本当に適切な評価がされているのかな、と感じます。
記事中でも、「退職者はなんとなく上司が評価してくれていない、どうしたら評価してくれるのかもわからない、と感じていることが多いようだ。」
「評価する側の上司にもコミュニケーションやフィードバックが苦手な人が増えており、低い評価を付けたときに、納得させるような説明ができていないという話もよく聞く。」とあります。

これまでの終身雇用制度で、一つの会社だけに勤め続ける時代であれば、若手の将来への希望などを確認しなくても、ずっと会社に居続けるので問題ありませんでした。
しかし、いまや転職も容易になった時代、若手が将来に向けてどんなビジョンを持っているのか、会社は社員と共にどんな企業となっていきたいのかというビジョンを共有し擦り合わせていかなければいけないのでしょう。

前述のコミュニケーションやフィードバックが苦手な上司と真逆な上司であればどうでしょうか。
日頃からコミュニケーションを取っているため、部下や若手との信頼関係が築かれているでしょう。
高い目標を提示しても、部下のビジョンと会社のビジョンからなぜその目標になったのかが理解してもらえるはずです。
そして、部下の結果が出ず目標に対する評価が厳しくても、そもそものビジョンからの評価であると理解されると思います。

つまるところ、気配がないというのはコミュニケーションの不足から来ると言えるのかもしれません。

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