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火災現場はうるさくて何も聞こえない

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地方公務員として町役場職員になって、最初に与えられたメインの仕事が「消防主任(消防団担当)」でした。
4月1日に辞令を受け、3日の日曜日には「消防団長・消防主任会議」に出席するよう言われ、右も左も分からずに出ていました。
会議の後には懇親会があると課長から事前に聞かされており、日曜日にもかかわらず課長がわざわざ私を懇親会場まで送迎をしてくれました。

消防団長を務めるような人は、急な火災等にも対応できるようにするため、たいてい自営業で地域の顔役のような人です。
消防団長からは「新採で何も分からないだろうから、とにかく会議も懇親会も全部ついてこい。懇親会のお金も全部持ってやるからとにかく最後までついてこい」と言われ、消防行事の度に懇親会も日付が変わるまでお付き合い。
懇親会の翌日は、机から動けず、じっとしているだけでしたが、同じ課の人も事情を知って何も言わずにそっとしておいてくれました。

そんな消防団の団長を始め、各班の班員の人も、火災や水災となると、自主的に消防の服に着替え、出動できるように待機してくださってました。
自分たちのまちを自分たちで守る、という想いに溢れた人達だったと感じます。

五月のGWも開けた頃から、消防団長や課の人から言われるのが「ポン操」
もちろん略称なので最初は何度聞いても頭の中で変換ができませんでした。

正式名称は「消防ポンプ操法大会」
可搬型の小型動力ポンプの部と車と一体になっているポンプ自動車の部があります。
決められた手順に従い、指揮者と隊員が消防現場さながらに動き、的に水を当ててタイムを競います。
手順や動きが決められた内容に則っているかを減点方式で採点し、タイムは基準時間を元に加減します。

大会優勝を目指して熱心な班と、それなりの熱意で頑張る班がありましたが、5月以降はほぼ毎日夜の仕事終わりに集まって練習されていました。
この毎夜毎夜続くポン操の練習が夫婦げんかの元になるなど、負担が大きいとの新聞記事がありました。

記事の内容のうち、負担が大きいとか家族の理解がなかなか得られない、というのはその通りだと思います。
ただ実際の火災現場で役に立たないかというと、実際はポン操に熱心な班ほど的確にスムーズで機敏な動きを見せます。

例えば、消防現場では指示を手信号で出しますが、それは実際の現場がうるさくて口答指示が届かないためです。
消防や警察のサイレンの音、誰も彼もが怒声で話し、火そのものも大きな音になります。
ポン操で訓練した班同士なら、現場で必要な指示を確実に手信号で伝えていきます。

県域の消防団参加の防災訓練に出た時です。
昼日中で机上の火事を想定しての訓練の時でしたが、こちらの街の団員が手信号と大きな声で伝達しても、別の市の消防団員はキョトンとしてノロノロとした動きをしていました。
あの消防団が実際の火災現場に行っても戦力にならないだろうな、と感じました。

大会のために毎夜毎夜練習に出るのはもう時代に合わないと感じます。
ただこの練習が火災現場で役に立たないわけでなく、実際は役に立ちます。
今どきの忙しいみんなのために動画等で基本を確認して、週に一度か二度、みんなで集まって確認するなどの方法が考えられるのではないでしょうか。

消防団も昔と同じようには出来ない組織になってきていますが、やはり各地域にポンプの扱いに長けた人達が点在しているといざという時に助かります。
出来る形で続けられる道を模索したいものです。

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