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今さら会場を変えられない、と思わせる

遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
詳しくはこちらのホームページから。

誰もが人生最後に迎えるのが葬儀です。
国民生活センターに葬儀社の葬儀サービスの料金に関する相談が多数寄せられているようです。
当初見積よりも最終の金額が高額になっているようですが、その原因として説明なしにオプションが付いていたり、説明があったとしても追加料金が高額だったことによるものです。

・毎日新聞 シニアのくらしセミナー「見積もり時に総額意識を トラブル防ぎ、安心な葬儀社を選ぶには」 2023/08/22

ネットで葬儀料金を検索すると「小さなお葬式」をはじめ低額のプランが沢山出てきます。
棺を高価にする必要は無いと思いますが、あまりに安価なものを使うと、故人の体重が重い場合、底が抜けることがあると聞きます。
祭壇や花飾りについても、人によって「通常」のレベルが異なるので、少し華やかにしようとすると途端に価格が上がったりします。

関東では、タイミングによっては火葬が数日待ちになることがあるそうで、その分の安置場所やドライアイスの料金なども必要になります。

また、プランの中に含まれない料金もあります。
例えば火葬料金です。
私の住む地域であれば火葬代金は市民なら2万円なので大して気にする必要も無いでしょうが、東京で東京博善の火葬料金を見ると7万5千円かかります。

身近な人が亡くなってから葬儀の段取りをすると、時間がほとんどありません。
そして多くの方は葬儀の知識もあまり無いため検討するための基礎知識がありません。
高いのか安いのかを判断できるのは結局、基準となる内容と金額の知識があるかどうかです。

田舎では今や農協系かセレマ、公益社などの大手系ばかりになりましたが、全国的には家族経営型の葬祭業者が比較的誠実に仕事をされると聞いています。
ただ、そういうところだからと安心せずに、事前に葬祭ホールの会場見学や各プランで提供される具体的な棺や花などの見学をして、見積を取っておくことをオススメします。

記事では、おとりの見積と正直見積があると書かれていますが、結婚式などでも同様のことを感じます。
見学会などに行って、見積を見せられ仮予約をして内金を入れますが、見積の内容は花でも食事でもお酒でも最低限の内容で、実際は話を進めていくうちにより高額な内容へと移っていきます。
そのためプランナーとの打ち合わせも、ある程度、式が近づいてからでないと始まらないように組まれており、日を決めたから、今から式場を変更できない、と思わせます。
葬儀にしても、亡くなってすぐに段取りをする必要があるので、通夜葬儀の日時を決めてから見積が出てきて、やっぱり違う所にします、とは言えないようになっています。

遺族にとって心理的に非常に助けられるのは、故人がお葬式についての希望を伝えておいてくれることです。
誰に連絡するのか、どの式場で行うのか、どの宗教宗派でお葬式をするのか、規模をどの程度にするのか、できれば予算枠と財源も示してくれると有難いところです。

そこまで細かな内容となると遺言書とはちょっと違うものになるので、エンディングノートが向いています。
しっかりとしたエンディングノートであれば、上記の内容についてあらかじめ項目を立てておいてくれるので、書き進めていくうちに自然と書くことになります。
また、エンディングノートを書く際に思い出したり、色々と考えたり、家族と相談するうちに漠然と考えていたものが、具体的にまとまってきます。
さらに、故人本人がその事前見学や見積を元に内容を決めて、エンディングノートなどに文字として遺しておいてくれると、葬儀の準備をする時に口を出してくる親族へのストッパーにもなります。

最近、遺言の相談などでよく聞くのは「葬儀は家族だけで簡素でいい」といった話です。
しかし、その家族だけに親戚関係は含めなくていいのか、簡素はどのレベルで考えているのか、そのレベルは遺される家族と感覚がズレていないか、など、実際はトラブルの元になりそうな話が沢山あります。
方向性としては、家族だけ、簡素、といったものでもいいのですが、その具体的な内容まで伝えてあげていただきたい、と思いますし、具体的な内容が何なのか知るために、まずは本屋でエンディングノートをいくつか手に取ってみてはいかがでしょうか。

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