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「年金」#07:知っておきたい年金用語

※このコンテンツでは年金=老齢(基礎・厚生)年金を指します。

年金シリーズ目次
#00:後悔しない老齢基礎年金と老齢厚生年金
#01:年金に対する考え方と受給のタイミング
#02:税金と社会保険料
#03:年金受給の条件と計算
#04:年金に関する制度
#05:繰上げ・繰下げ受給
#06:年金増額大作戦!!
#07:知っておきたい年金用語
#08:年金がさらにもらえる?!年金生活者支援給付金制度
#09:付加年金最高説


これまでいろいろな用語が飛び交ってきましたが、ここでおさらいの意味を込めて、年金に関する重要な用語を解説していこうかなと思います。簡潔にかつ適度に細かく解説していきますね。



あ行

い:iDeCo

個人型確定拠出年金ともいいます。加入できる方は、国民年金被保険者(任意加入含む)で、企業型確定拠出年金でマッチング拠出をしていない方。なので、国民年金第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号の方も加入できます。

主な特徴として
・年金のため、基本60歳以降に受給開始となる
・月の掛け金の下限額(5千円)が決められている
・月の掛け金の上限額が国民年金被保険者の第〇号か、また2号の場合DC・DBの実施状況による異なる。(最大は国民年金第1号被保険者の月額68,000円)
・毎月の口座維持手数料、掛け金拠出ごとに手数料がかかる
・掛け金拠出時、運用益および年金受給時に所得税が軽減(運用益は非課税)される
上記特徴はすべてNISAと異なります。特に受給開始年月の縛り、所得税の軽減部分は要注目です。


か行

か:確定給付年金(DBとも呼ばれる)

企業が行う年金制度です。給付(=年金)額が決まっており、拠出年金のように運用結果に年金額が左右されず、確実に老後資金計画が立てられるところがメリットです。

か:確定拠出年金(DCとも呼ばれる)

企業が行う企業型と個人で行う個人型(=iDeCo)があります。確定給付は給付額が確定確定拠出は拠出する拠出額(=掛け金)が確定しています。
また企業型にはマッチング拠出という制度があり、会社の掛け金額を上限に、個人(=社員)でも掛け金を拠出することが可能です。なお、マッチング拠出をしている個人はiDeCoに加入できません(どちらかひとつのみ)。

き:強制加入

国民年金は、日本在住の20歳~60歳到達するまでの方は、全員加入しないといけません。上記条件に該当する方で「国民年金保険料払ってないよ?!」っていう方は、厚生年金に加入している「国民年金第2号被保険者」とその被扶養配偶者である「国民年金第3号被保険者」の方、そして保険料納付猶予・免除を受けている方になります。また日本在住が加入の条件ですので、海外移住されている日本国籍の方は、強制加入とはなりません。

く:繰上げ・繰下げ受給

老齢基礎・厚生年金は、年金受取の基準となる65歳から、年金受給のタイミングを早めたり遅らせたりすることが可能です。またそれに伴い年金受給額の減額・増額が行われます。
※詳細は#05:繰上げ・繰下げ受給をご覧ください。

こ:公的年金等控除

年金による所得は「雑所得」という種類に分類され、所得税・住民税の課税が行われますが、公的年金等については、税金の軽減措置(年金収入から公的年金等控除された金額に税金がかかる)が行われます。ちなみに公的年金=老齢基礎・厚生年金です。なお、公的年金以外に、iDeCoや確定給付年金もこの控除が適用されます。

実際の控除額は、年齢が65歳未満では年金収入が130万円未満の場合の控除額が一律60万円。 65歳以上では、年金収入が330万円未満の場合の控除額が一律110万円。つまり65歳以上の方で、公的年金等の収入が110万円以下ならそれらには課税されません。

逆に年金から税金取るの?!と思われた方もいらっしゃると思いますが、老齢年金は課税されます。(障害・遺族年金は課税されません)ちなみに、社会保険料もしっかり徴収されます…。税金や社会保険料については、#02:税金と社会保険料をご覧ください。

こ:国民年金基金

国民年金第1号被保険者の方が拠出できる年金の上乗せ制度です。同じく国民年金第1号被保険者の方が拠出できる付加年金がありますが、どちらか一つしか拠出することができません。なお、iDeCoは同時に拠出することが可能です。
※詳細は 国民年金基金 のページにてご確認ください。

こ:国民年金第1,2,3号被保険者

国民年金の被保険者(任意加入者含む)は以下のいずれかに区分されます。
■国民年金第1号被保険者
 下記2号、3号以外の方全員。主に会社勤めしていない学生や自営業者、任意加入者等
■国民年金第2号被保険者
 70歳未満の会社員や公務員で厚生年金の被保険者の方
■国民年金第3号被保険者
 国民年金第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者

上記の内、国民年金保険料を払うのは1号だけです。2号は厚生年金保険料を払うことで、国民年金も納付済となります。また3号は、3号期間中、国民年金保険料を払わずとも、全期間納付済期間となり老齢基礎年金が減額なく給付されます。なお年金受給額は1.2.3号とも変わりません。


さ行

さ:在職老齢年金

厚生年金の制度で、会社に勤め厚生年金に加入し、給与を得ながら、老齢厚生年金を受給することができ、かつ厚生年金の加入期間と保険料納付額に応じて、将来の厚生年金受給額も増額されます。※老齢基礎年金には、この制度はありません。

ただし、受給年金額と給与・賞与額の合計額により、厚生年金受給額が減額または停止される場合があります。
※詳細は日本年金機構の この ページをご覧ください。

さ:雑所得

所得税が課税される所得の区分は10種類あり、そのうち公的年金やiDeCoの収入・所得は、雑所得になります。なお、老齢年金やiDeCoは、公的年金等控除の対象となり、所得税が軽減されます。

し:時効

保険料を納付するのも、年金受給するのもある一定期間を経過すると行えなくなります。これが年金に関する時効です。例えば保険料納付は2年、年金受給は5年の時効があるため、保険料未納は納付日から2年以内しか納付できませんし、年金の請求は5年以内に行わなければ、5年超過した期間分の年金は貰えません。なお、繰下げ受給時はこの時効は関係なく、最大10年まで繰り下げることが可能です。

し:受給資格

老齢基礎・厚生年金を受給できる資格のことです。
保険料納付済期間+保険料免除期間(+合算対象期間)が10年以上あれば、受給資格を得ることができます。受給資格がないと年金は1円も貰えません
※詳細は#03:年金受給の条件と計算の「年金がもらえる条件とは」をご覧ください。

せ:請求

年金は受給資格を満たしただけじゃ貰えません。「ください!!」と請求する必要があります。年金の請求は、受給開始年齢(通常65歳)に到達する3カ月前に、年金請求書が郵送されてくるので、これに必要事項を記入して年金事務所に提出することで、年金が受給できます。

なお、繰下げ受給する場合は、繰下げ受給開始時に請求します。通常請求を行うことで老齢基礎・厚生(厚生年金加入者のみ)同時に受給可能ですが、繰下受給時は基礎・厚生別々に請求することが可能です。最後に時効のところでもお話ししましたが、繰下げ受給時を除き、受給可能開始時期から5年を経過すると、時効が成立し5年経過分は年金受給できません。


た行

つ:追納

国民年金保険料の納付が猶予・免除(一部免除も含む)された場合、猶予・免除分の国民年金保険料を後から納付することが可能です。これを追納といいます。追納は払おうとしたときから遡った10年以内の猶予・免除分国民年金保険料を納付することが可能です。※未納とは異なります。未納は納付期限から2年までしか遡り納付できません。
※詳細は#04:年金に関する制度の「追納」をご覧ください。

と:特別支給の老齢厚生年金

性別・生年月日・厚生年金1年以上加入等の条件をクリアすることで、通常の老齢厚生年金(原則65歳から支給されるのも)とは別に貰える厚生年金です。とはいえ、男性だと昭和36年4月2日以降、女性だと昭和41年4月2日以降生まれの方は支給対象外となります。
※詳細は日本年金機構の この ページをご覧ください。


な行

に:任意加入

国民年金の強制加入対象外の一部の方は、本人が希望すれば、国民年金に加入することができます。(もちろん国民年金保険料の納付は必須)これを任意加入といいます。
※国民年金の納付済期間が最大の480か月ある方は加入できません。

任意加入の主なメリットは
・受給資格を得ていない場合、納付済期間として受給資格期間に加算される
・任意加入月数分、未納、猶予、免除期間を納付済期間に換えることができ、老齢基礎年金額が増額される
・加入期間中に障害を負った場合に、障害基礎年金の支給対象となることがある
・加入期間中、iDeCo、付加年金、国民年金基金など他の年金制度に拠出でき、将来の受け取れる老後資金を増やすことができる。
※詳細は#04:年金に関する制度の「任意加入」をご覧ください。


は行

ひ:標準報酬月額

毎月の厚生年金保険と健康保険(国民健康保険は除く)の保険料は、「等級」に対して保険料額が決められています。「等級」は金額の範囲(例えば1~3万円未満は1等級、3~5万円未満は2等級のような感じ)があり、簡単に言うと給与の総支給額(=報酬月額)がどの等級の範囲に当てはまるかで、皆さんの「等級」が決められます。

この「等級」に対して、健康保険や厚生年金で用いる数値が定められており、これを【標準報酬月額】といいます。イメージしやすく言うと、給与の総支給額を一定の範囲に収めて切りのいい数値に変換したような感じです。(上記の例に当てはめると、標準報酬月額は1等級→20,000、2等級→40,000)

この【標準報酬月額】が厚生年金保険料、健康保険料、老齢厚生年金額計算、健康保険の傷病手当計算時などに用いられます。
※詳細は日本年金機構の この ページの2.標準報酬月額をご覧ください。

ふ:付加年金

国民年金第1号保険者のみ(猶予・免除中の方は対象外)が拠出できる年金で、受給受給開始タイミング、繰上げ繰下げ時の増減額率、受給資格などすべてが老齢基礎年金とセットになっている年金です。※国民年金基金と併用不可。iDeCoとは併用可能。

毎月の保険料は400円、年金受給額は一か月200円、これは終身で受給できるので2年以上受給できれば掛け金を回収できる、めちゃお得な年金です。保険料も安いので、第1号の人はとりあえず掛け金拠出しておくのをおすすめします。

へ:併給

併給とは、異なる2つ以上の年金を同時に受給すること。老齢・障害・遺族は一人一年金の法則といって、原則2つ以上の年金を受給(=併給)することができません。なお、これの主な例外(ようは併給可能)は以下の通りです。
・同じ種類の基礎と厚生 (例:老齢基礎年金と老齢厚生年金)
・老齢基礎年金と付加年金
・65歳以降、老齢基礎年金と遺族厚生年金(遺族厚生年金が、老齢厚生年金より受給額が多い時のみ)
・65歳以降、障害基礎年金とすべての厚生年金 (例:障害基礎年金と遺族厚生年金)

ほ:保険料納付済期間

国民年金保険料を納付している期間です。なお、国民年金第2号・3号被保険者は2・3号期間中納付済期間となります。この納付済期間は減額なく基礎年金受給額に反映・加算されます。また産前産後保険料免除期間もこれにあたります。

ほ:保険料免除期間

国民年金の第1号被保険者としての加入期間のうち、保険料を納めることが免除された期間をいいます。保険料が免除されるのは、自動的に免除される法定免除と、本人の申請による申請免除があります。

法定免除:障害基礎年金または障害厚生年金2級以上を受給している方、生活保護の生活扶助を受けている方などが免除対象となり、国民年金保険料が全額納付免除。
申請免除:収入の低下や退職などにより、国民年金保険料を納めるのが困難な場合、申請し承認を受けることで、保険料の納付(一部・全額)免除を受けることができます。

なお、正確には、保険料が納付猶予されている期間(学生納付特例・納付猶予)もこれに含まれます。


ま行

み:未納

国年金保険料を猶予・免除の承認なしに、勝手に納付しないことです。この期間を未納期間といいます。未納期間は、猶予・免除期間とは異なり、年金受給額にも受給資格期間にも含まれません。なお、国民年金保険料の支払期限は納期限の翌日から2年以内となっていて、これを過ぎると納付できません。

未納は絶対にダメです!!家計の急変なので、保険料支払が難しい場合は、必ず市役所の国民年金窓口に出向き相談しましょう。相談し申請した結果、猶予・免除受けられる可能性があります。実際私も免除を受けていたことがあります。手続きも簡単なので、保険料支払がしんどかったら絶対に相談しましょう。
未納については、#3の「受給資格期間について」 #4の「年金にかかわる主な制度について」 #06:年金増額大作戦!!もご参考ください。

め:免除

保険料免除期間というと正確には、法定免除・申請免除・学生納付特例・納付猶予などがあげられますが、私の解説する年金シリーズではわかりやすように
免除=法定免除・申請免除
猶予=学生納付特例・納付猶予
としています。

重要なのは未納と違い、免除は受給資格期間にカウントされ、さらに納付分に加え1/2か月基礎年金受給額(補助分)に反映されます。法定免除は、保険料全額免除のみですが、申請免除は前年度の収入により全額・3/4・半額・1/4免除があります。
(例)国民年金保険料が16,000円で 3/4免除を受けている場合それぞれの一か月分
納付保険料:16,000✖1/4(免除分を除くと納付は1/4)=4,000円
受給資格期間反映:1か月
基礎年金受給反映:5/8か月分(1/4✖1/2(納付分)+1/2(補助分))

免除については、#3の「受給資格期間について」 #4の「年金にかかわる主な制度について」 #06:年金増額大作戦!!もご参考ください。
※詳細は日本年金機構の この ページをご覧ください。


や・ら・わ行

ゆ:猶予

め:免除での解説の通り、正確には保険料免除期間は法定免除・申請免除・学生納付特例・納付猶予などがあげられますが、私の解説する年金シリーズではわかりやすように猶予はこのうちの学生納付特例・納付猶予を指しています。

学生納付特例:年齢問わず学生の方は、本人の前年度の所得が一定以下で、申請し承認された場合、保険料の納付猶予を受けることが可能です。
納付猶予:50歳未満で本人及び配偶者の前年度の所得が一定以下で、申請し承認された場合、保険料の納付猶予を受けることが可能です。

免除同様、猶予期間は受給資格期間にカウントされますが、免除と異なり基礎年金受給額には一切反映されません

猶予については、#3の「受給資格期間について」 #4の「年金にかかわる主な制度について」 #06:年金増額大作戦!!もご参考ください。
※詳細は日本年金機構の この ページをご覧ください。

ろ:老齢基礎年金

受給資格を満たした国民年金の被保険者であった方に対し、老齢に伴う収入減を支援するために給付される年金が、老齢基礎年金です。老齢基礎年金については、色々説明しているので、#03:年金受給の条件と計算 #06:年金増額大作戦!!をご覧ください。

ろ:老齢厚生年金

受給資格を満たし、厚生年金の被保険者であった方に対し、老齢に伴う収入減を支援するために給付される年金が、老齢厚生年金です。なお、厚生年金に加入していた場合、同時に国民年金第2号被保険者になるため、老齢基礎年金も給付されることになります。老齢厚生年金については、色々説明しているので、#03:年金受給の条件と計算 #06:年金増額大作戦!!をご覧ください。



最後まで読んでいただき、まことにありがとうございます。もし何かご質問等ありましたら、お気軽にコメントくださいね!!

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