見出し画像

エンゲル係数ならぬコスメ係数について考える: みんなの化粧品支出はいくら?FPの節約術

『エンゲル係数』
”生計費内に占める食費の割合。一般にこの係数が高いほど生活水準は低いとされる。” (引用:広辞苑)

ではコスメ係数は?
皆さんは支出のうち、何%をコスメが占めていますか?

化粧品は、食料品のような最低限生きていくために必要な要素ではないため、趣味や嗜好品に分類されます。趣味・嗜好品にお金を費やしているということは、コスメ係数が高い方が生活が豊かなのでしょうか?
例えば、人に見られる職業の人にとっては外見を清潔で素敵に保つことは重要ですし、化粧品を一様に嗜好品・贅沢品とカテゴライズしていいのか、難しいところです。
一方で、自分の許容度を超えてお金を使いすぎるのも良くありません。
では、化粧品への支出はいくらが妥当なのでしょうか。


コスメ係数

コスメ係数(%) = 化粧品の出費 ÷ 合計支出 × 100

みんなの化粧品支出額はいくら?

毎月、もしくは毎年、お化粧品にどのくらいのお金を払っていますか?
世間ではどのくらいが一般的かというと、年間平均約4万円だそうです。
内訳は基礎化粧品で約2万円、ベースアイテムに約7,600円、ポイントメイクに5,100円、その他約6,900円です。

年代別で見ると、
20代 31,167円
30代 37,639円
40代 48,243円
50代 35,588円
60代 47,387円
(出展:NTTコムリサーチ, 化粧品購入行動に関する調査結果, 2022年)

皆さんの支出はこの平均値と比べて高いでしょうか?低いでしょうか?
年間の平均約4万円の化粧品出費。1ヶ月あたりにすると約3,300円程度です。この金額を商品に例えるならば、エリクシールの化粧水1本分です。
この平均値よりも高いと、化粧品にお金を使いすぎということになるのでしょうか。

相談の中に潜む、無自覚の出費

お金がたまらない、という相談の中には、無自覚のうちに些細な出費がチリツモになっているケースがあります。コスメ(他にもおしゃれなカフェ代、ちょっとしたコンビニのお菓子代など細々した出費)に必要以上にお金を使いすぎてしまっていて、それを自覚していないケースです。可愛くて素敵で、持っているだけで気持ちがアガったり、自分を綺麗に見せてくれる大切な化粧品ですが、無自覚で必要以上にお金をかけすぎている場合は少し危険です。

上で引用したデータを基準値にすると、毎月3,300円の化粧品代に加えて、例えば美容院やネイル、まつげパーマ、エステなど美容に係る維持費を足していくと月々の美容代は数万円になってきます。

自分の支出とその内訳を把握していますか?

美容や化粧品にいくらお金を使っているか、スラスラッと言えますか?
すぐに回答が出てこない場合は、現状の収支を把握していないのかもしれません。そんな時は、FPの立場で以下3点のアドバイスをしています。これは化粧品に限りません。

<支出額をすぐに答えられない人へアドバイス>
・クレジットカードの明細を必ず確認する
・毎月の収支をトラッキングする
・毎月の予算を決めておく(月半ばで変更しても良い)
・欲しい商品、買う商品に優先順位をつけておく

化粧品にお金を使いすぎ、の基準は

自身の支出額が把握できたところで、現状が使いすぎなのどうか、どうやって判断すれば良いでしょうか。
収入によって使えるお金の金額は変わりますし、同じ収入でも素肌を好む人と、毎日ガッツリ化粧をしなければいけない仕事をしている人とでは必要な化粧品の種類も量も異なります。かわいいデパコスを買うことがモチベーションやご褒美になることもあります。満足感やハッピーな気持ちは現代社会を生きていく上で必要です。このように、化粧品はとてもパーソナルなものだけに、基準は自分で判断することになります。

そこで、使用期限内に使いきれないコスメがどのくらいあるか、を基準にしてみるのはいかがでしょうか。

化粧品には使用期限があります。
・未使用・未開封の状態で製造から3年
・開封してからは1年

ただし、目に直接つけるマスカラなどは衛生面上3ヶ月、リップグロスは6ヶ月で使いきるべきだと言われています。
(参考:日本化粧品検定1級対策テキスト, 2016年。ELLE.com, 2022年。 )

使用期限内に使いきれない化粧品がたくさんあるということは「必要以上に買いすぎている」目安になるかもしれません。

後々使うからと思ってセールの時に買い溜めすることもあるでしょうが、よほど毎日使うアイテムでない限り、大量ストックには注意が必要です。
まず、トレンドは四半期ごとに入れ替わりますから、4ヶ月後にはまた新しいトレンドが来て新製品が欲しくなってしまう可能性があります。
次に、肌の変化によって突然化粧品が合わなくなることもあると心得ておく必要があります。特に、大人になると自由に使えるお金に比較的余裕があり、ワンランク上の化粧品を揃えることもありますが、年を重ねるにつれてホルモンバランスに影響されて肌タイプが変わってきます(特に妊娠・出産、それ以降は肌タイプが変わりやすいと言われています)。以前よりも季節の変わり目に敏感になってしまい、半年前に使っていたものがもう合わなくなってしまった、なんてこともあります。

お金や知識を貯めていくのとは違って、化粧品には使用期限があります。いずれ必ず使用期限がやってきて、使いきれなかった分を破棄しなければいけません。

普段使わない化粧品や、特別な時に使おうと思っている高級美容液など。「そういえばこんなの持ってたな」というものはありませんか?眠ってしまっている化粧品達を取り出して是非使ってください。

新しいコスメが欲しくなった時に考えてみること

すでに自分の手元にあるコスメの新しい使い方を考えてみるのは如何でしょうか。

☆マルチ使いに挑戦する
・チークをアイシャドウやアイブロウとして使う(最近はピンク系の眉毛が流行っているので挑戦しやすいですね)
・アイシャドウをチークに使う
・リップをチークとして使う(成分によっては注意が必要、特にティントタイプ)

☆混ぜる
・リップやアイシャドウを混ぜて新しい色にする
・重ね塗りして新しい色にする、ニュアンスに変化をつける

☆技術とツールをアップデートする
・とにかくスキルを磨く
・スポンジ、筆、指、チップ、などいろんなツールを使い分ける
同じアイテムでも、ツールや塗り方によって色や質感、見た目の印象がかなり変わります。

1つ1つのコスメを堪能する

素敵なコスメはワクワクします。化粧品は外見を美しくする以上の効果がありますし、自己投資としての美容は必要です。しかし、過度な出費によって生活に不安がある、目標としている資金が貯まらないなど、少しでも家計に支障が出ているならFP観点では黄色信号です。もちろん美容代以外に問題があることも多いので、支出全般を見直し、自分の生活レベルに適した予算を立てなければいけません。

合わない化粧品を無理に使うのは良くありませんが、ご縁のあったコスメを最大限、堪能するのはどうでしょうか。まずはドレッサーやポーチを見て、普段使っていなかったコスメに目を向けることです。

※個人の意見です。
※化粧品業界での勤務経験あり。
※コスメ好き。特にリップが好きで、使用期限内に使いきれるか怪しいものが8本あります。

参考:
NTTコムリサーチ, 化粧品購入行動に関する調査結果, 2022年
日本化粧品検定1級対策テキスト コスメの教科書, 2016年
化粧品の「使用期限」に注意!専門家が教える、捨てどきの見極め方, ELLE.com, 2022年

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?