見出し画像

在宅Webライター、底辺からの脱却を企てる

人生、しょせん一人きり。

在宅ウェブライターというレアな仕事をチョイスしてしまった私は、ここ数ヶ月、なんとなく『孤独』を相手に仕事するのが当たり前になっていました。

仕事には、必ず依頼元のクライアントがいます。
とは言っても、連絡はすべてメールやチャット。
顔を合わせることはありませんし、声を聞くこともありません。

ウェブ上で案件に応募をして、採用されれば業務開始となりますが、いくら応募をしてもまったく返事が来ないことも。
ウェブの世界は、なんとも希薄なやり取りなのです。

案件に応募する際も、その反応は健在です。
一般的なバイトや派遣の仕事であれば、募集人と応募者が相対し、直接言葉を交わすことが出来ます。
応募する側も、される側も、相手の熱意や姿勢、目には見えない雰囲気のようなものを感じ取ることが出来ます。

ところが、ウェブではそれすらも無機質な文字列に終始せざるを得ません。
メールで伝わる情熱も、みせかけなのか本意なのか。
そして、それは相手から見る私についても同じこと。
すなわち、こちらがいくら情熱を持って「お願いします!!」と伝えても、まったく響かないこともあるということです。

それが淋しきウェブの世界。

在宅ライターを続けて半年経つか経たないかの頃、私はかなり、やきもきしていました。
自分のやっていることが正しいのか、正当に評価されているのか、記事は本当に必要とされているのか、スランプと相まって、すっかり疑心暗鬼になってしまったのです。

求めた世界と現実の狭間で

そもそも、なぜ私はウェブライターになったのか?
答えは簡単、家から出ずにお金を稼ぐ必要があったから、ただそれだけです。

それだけと言ってしまえば、なんとも夢のない話。
まあ、更に言及するならば、その前まではちょっとしたバイトをしていました。
総合病院内にある、クリーニングの受付業務です。

病院勤務の看護師さんたち専用のクリーニング受付のため、開所時間は限られており、お金のやり取りもありません。
これで時給1000円だったのですから、条件さえ合えばかなりおいしい仕事でした。

しかし、勤務時間帯が子供の食事の時間とモロにかぶっていて、続けるのが困難に。
短時間勤務で効率良く稼げるバイトを、泣く泣く手放すことになったのです。

致し方無し、次なる仕事を探そうと思ったのですが…これが困難を極めまして。
私の場合、義母の体調のことや子供の送り迎えなどを考えると、外で働ける時間は思った以上に限定されてきます。
さらに、子供と高齢者という2大放っておけない要素を抱えていることは、パートであろうとなんであろうと就業にあたって、ただただマイナス要素にしかなりません。
急病、通院、看護・介護…。
日常的に想定される、予定がガタガタと崩れる姿。
諸事情を考えると短時間勤務も難しく、どう考えても外で働く道には活路が見いだせませんでした。

私自身が望む、望まないにかかわらず、外で働くのはあきらめざるを得なかったのです。

私の中の理性が『外で働くのは、夢のまた夢。在宅ワークを探せばよかろう』と、厳かに告げたその日、私は在宅ワーカーの道へ飛び込む決心をしました。

良いのか悪いのか、スマホ一つで何でも出来る時代。
在宅ワーカーへの道も、スマホがすべて示してくれました。
はじめて覗く、在宅ワークの世界。

想像以上に、ありとあらゆる求人情報が溢れています。
しかしながら、いざ応募しようと思ったら、残念ながら応募条件に満たないような案件がほとんどです。

高校在学中、プログラミングの勉強をしていましたが、私の持つ知識は学生のお遊び程度のもので、SEには遠く及びません。
OL時代、本社経理部勤務で簿記の知識と実務経験はありましたが、申告も決算も「??」だらけの私。
だから「簿記の有資格者で実務経験あります!」なんて、口が裂けても言えませんでした。

武器らしい武器もなく、あるのは融通のきかないスケジュールとスマホが一台。
劣悪な作業環境、小間切れの作業時間。
在宅ワークなら活路が見いだせると思っていた私は、在宅の求人を見るほどにどんどん自信を失いました。

数日間、在宅求人情報サイトを徘徊した結果、私が選んだのはクラウドソーシングサイトの単発の仕事でした。
アンケートへの回答、指定動画の閲覧、誰にでも出来る非効率的な仕事。
収入と呼ぶには程遠い、一件数円程度の作業。

違う。
私は、こんなことがやりたいのではない。
やりがいもなく、効率的でもない。
なにより、これでは稼げない!!

外で働くことが難しいから選んだのに、在宅ワークさえも私を拒んでいるのだろうか?
一件1円〜50円程度の仕事を数時間こなし、ようやく数百円の稼ぎになったところで、意味がないのです。

舐め回すようにサイト内を検索した結果、今の私のスキルでもなんとかこなせそうで、かつ一定の収入に結び付けられそうだったのが『在宅ウェブライター』の仕事でした。

底辺の景色

在宅ライターと一口に言っても実績がなければ、仕事などほとんどありません。
「初心者OK」「主婦歓迎」そのような求人を探しますが、それはそれは嘘みたいに低単価の案件ばかりうじゃうじゃ出てきます。

ここでもやはり、稼ぐなんてことにはさっぱり結びつかなさそうで、己の無力さを呪いました。
そう、無力。

いくら文章を書くのが好きでも、本を読むのが好きでも、しょせん遊びでしか無い私。
そんなものはスキルとは呼べず、どこへ行っても「初心者」「はじめまして」という状態が続きました。

「一人きりの在宅ワークにも、しっかり底辺はあるのだな」と、現実の厳しさと襲いかかる孤独に容赦なく頬を殴られながら、一人ため息をつく日々。

在宅ワーカーなら、誰もが通る道かもしれませんね。

そんな私に転機が訪れたのは、ある育児サイトに投稿した一つの記事でした。

目標よりも今だけの子育てを楽しもう

書き初めをテーマに書いた、育児記事。
別に話題になったわけでも何でも無いし、注目を集めたわけでもありません。

でも、気持ちよく書ききることが出来ました。
読み返しても「よし!」と、納得できました。
専門知識も何もない、100%体験談ベースの記事は、素人の作文というほかありませんが、はじめて伝わるものが書けたと思えたのです。

以来、案件に応募する際は、実績として上記のURLを添付するようにしたところ、採用率が大幅に上昇。
10件応募して半分返事が来るか来ないかだったものが、3件に2件は『採用』の返事が得られるようになったのです。

仕事は選べるようになりました。
しかし、私の作業環境は相変わらずで「スマホ一台、小間切れ作業」という現実は変わりません。
納期にある程度自由がきき、かつスマホ可の仕事はそう多くありません。

元からそんなに広くないはずの仕事の幅をさらに狭めることは、他の諸条件を我慢するということです。
相変わらずの低単価、効率の悪い仕事ながら、私はそれらを一切合切、黙って飲み込むことにしました。

一件一件、実績を積み上げることに終止する。
実績こそ、私に足りないもの。
信頼を得て、高待遇を獲得するには、それしか方法がなかったのです。

あれから、半年以上が経ちました。
私は未だウェブライターを名乗り、さらなる壁を超えるために日々努力をしています。

少ないながら、実績も徐々についてきました。
クライアントから得られる反応も、概ね良好。

私自身のやることはおおよそ何も変わっていません。
作業環境もスケジューリングも相変わらずで、めっぽう使いづらいライターであることには代わりありません。
それでも、重ねた実績は紛れもなく私自身が積み上げたものであり、世間一般に広く認められるというには程遠いながらも、一定の評価を得ています。

今こそ、変革のとき。

掲げる課題と、信頼を勝ち得るための戦略

私の最大の弱点は、なんといっても扱いづらさにあります。
私は、私自身がスケジューリングの成り立たない、ウルトラ遅筆ライターだと知っています。

3,000文字の記事は、仕上げるまでに最低3日かかります。
月間の納品数は、だいたい3000文字記事を10記事かければ良いところ!
聞くところによると、業界では3000文字を1時間で仕上げるのは普通とのこと。
比較は為にならないと、わかっていますがね。

スマホのフリック入力の限界を悟り、8月から無線キーボードを導入し、記事作成のスピード向上に努めました。
結果として、記事を作成するスピードは短縮され、フリック入力にかかるストレスともおさらばすることが出来ました。
それでも、まだまだ納品スピードが向上したとは言えません。

また、私が掲げるライティングジャンルは、現状『妊娠、育児、注文住宅、ライフスタイル』この4つが主です。
しかし、注文住宅は仕様の変更や関係法令等の変化、トレンド等を追いかけ続けなければいけません。
一介の主婦ライターである私にとっては、そろそろ語るに足りない分野。

それは、妊娠、育児も同じことが言えます。
「乳児の日向ぼっこ」について、今と昔では意見が正反対なように、時代に合わせて変化していく正解を正しく発信できなけばいけません。

時代の変化、流行や関係法令、時事問題、季節の話題…。
アンテナは広く、敏感でないと正しい情報が手に入らない!
そこは、今後の課題として大きく改善しなければいけない点です。

私は、底辺から脱却する。
半年前の私は、なんの足がかりもなく宙ぶらりんなまま、在宅ライターの世界に飛び込んでしまいました。
半年後、なんとか足がかりができ、底辺で居場所を得ることが出来ました。
次の半年は、底辺からの脱却を目指します。

そして、今がそのターニングポイント。
スキルアップ、ステップアップを進め、目指す次のステージへ。

書くことは大層ですが、今がジリ貧のどん底なので、手をかければ次のステージには届くはず。
見てろよ、待ってろよ、と誰にともなく呟きます。
描く夢の完成形は、まだ遠いのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?