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卒業式を終えて 〜その1〜

先週、昨年度担任していたクラスの学生と今年度担任していたクラスの学生が社会へと旅立っていきました。それぞれについて、少し振り返ってみようと思います。
その1は昨年度担任したクラスについて。前年度の教育課題を考えたときに、クラス内で学習習熟度の差が広がることで、成績下位層のモチベーションが下がるのではないか、と言う仮説を立てました。
この課題解決のために学年全体の学習モチベーションを上げて、全体の成績評価の底上げを図ることにしました。そこで『学び合い』を新たに導入して、これを中心に据えた年間計画を立てました。学び合いはグループ学習なので、その素地づくりとして、クラス内の安心安全な居場所づくりから始め、楽しいクラス、相互理解、相互信頼へと段階的に進めていきました。クラス内に相互信頼の関係を構築した段階で『仲間のために頑張る(勉強を教える、自分の知識をアウトプットする)こと』が『仲間や自分のためになる』こと、つまり『学び合い』の概要を説明します。同時に臨床心理師の先生にお願いして、これまで学習経験が少ない学生が多いため、自分に合った学習方法を知るために認知特性を明らかにしました。これを前期4月〜8月に実施。ここまではある一定の成果が出たと思います。
9月、後期からは専攻別のクラス替えが実施させると状況が一変。それまで楽しく学び合いをしてきた仲間と離れて、新しい仲間との学び合いが成立しなくなりました(翌年はこの課題を克服するために、年度途中のクラス替えを無くたところ、この課題は克服された)。もちろん、ある程度は予想していたことなので、新たな仲間たちでチームビルディングをしたり、対策は取りましたが、大人でも新しい環境で新しい仲間と働くのに時間を要することを考えれば、Z世代の学生たちにとっては我々の想像以上に高いハードルだったのかも知れません。
結果的にソーシャルスキルが高い成績中位層の学生たちは『学び合い』を通じて自律学習につながり、成績を上げることはできました。具体的な成果として、難関試験の合格者が対前年の約3倍になりました。一方で成績中位層でソーシャルスキルの低い学生たちにとっては学習モチベーションを下げる結果につながり、総じて自己評価は成功6失敗4ぐらいかなぁ、と思います。
『学び合い』導入までの課程での改善点は2つ。
1つは認知特性を明らかにする部分について、自分の特性が明らかにならなかった学生が一定数存在したので、ここに対してもう少し丁寧なフォローが必要だったなぁ、と感じました。
もう1つは、グループ学習に入る前段階で、グループでの協働の楽しさや、問題解決する方法(成功体験)について、もう少し丁寧に時間をかけて実施するとこで、先述のソーシャルスキルの低い成績中位層の学生を救うことができたのかも知れない、と思います。

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