未熟な起業家ほど行動量を減らすべきだと思う理由
私は未熟で能力も高くない起業家です。
謙遜ではなく、たいした能力を持っていないと自覚しています。難しい日本語もあまり知りませんし、社会の常識も身につけていないでしょう。
また、集団に属して周囲に合わせて、その中でうまくやっていく、というのもどちらかというと苦手です。もっと能力的な余裕があれば、そういうことも上手にできるのかもしれませんが。
18才最後の日に起業し、それから起業家としては1年と少しですが、ギリギリですが自分のビジネスからの収入だけで生活できるくらいになりました。その程度のことしか成し遂げていません。
そのくせして、「新しい流通のパターンを作る」「若い起業家が増やしたい」というような大きな目標を掲げていて、できるなら達成したいと思っています。
だからといって乱暴に「とにかく当たってくだける」という姿勢で挑もうとは思っていません。
そこで、自分が持っている数少ない資産である「時間」について考えました。
「自分でコントロールできる時間が多い」という点が、若い起業家の1つの優位性だと思います。
ただ、せっかく手に入れている「自分でコントロールできる時間」も、結局は有限です。その使い方を間違ったら、有能な人のような成果を出すことは難しくなります。
そこで「自分の時間をどのように使うか」ということを真剣に考えました。弱者の戦い方に近いと思います。
まず、しっかり8時間は睡眠を取りたいですし、健康でいたいです。計算間違いなどを防ぐためにも頭もできるだけクリアでいたいです。
そのためにも時間の使い方を考えて、行動量を減らしたいと思っています。
そして、私のように体力もさほどなく、すぐに眠たくなる人でも起業してうまくやっていけることを証明できれば、と思っています。
.成果と行動量の関係式
成果はこのような式で表すことができると思います。
成果=行動の質×行動の量
行動量が0なら、成果は0になるはずです。ですが、かけ算ですので、成果を増やすには、行動の質も高める必要があります。
質の低い行動(時間の使い方)を100回しても成果は低いはずです。
さらに私が行動の質が低いことを怖がるのは、「行動の量は0が下限でも、行動の質はマイナスのときもある」からです。
ですので、行動の質が低くなったりマイナスにならないように、慎重に行動すべきだと思います。そのためには行動量を減らすのが一番有効だと思っています。
また、行動量は無限には増やせませんが、行動の質は、どこまでも高めていけます。たとえば「素晴らしいアイデア」「人を引きつけるビジョン」などがその例です。
私のような弱者が、レバレッジをかけて一発逆転できるのは、そのような「行動の質」(仮説の質)しかないと思います。
.「行動の量」が重要になるとき
「何かの試験に合格する」「100万円ためる」というような一定のラインを超えることが目標でしかも、毎年多くの人が合格して到達する方法がある程度見えているような場合、行動の質よりも行動の量が重要になることも多いと思います。
ただし、その目標が「人類初の何かを発見する」「無一文から1年で1億円ためる」というような性質である場合は、まずゴールへの道筋がはっきりせず、行動の量だけに頼るのは限界があると思います。
「起業して成功する」ということが目標の場合は、まず多くの人は「何からやればいいか?」で躓くと思います。このようなときに「まずは行動」であることも有効性がまったくないとは思いませんが、やはり得るものが少ないと思います。
試験の場合は出題範囲が急に変わることはまずありません。だから多くのケースで長時間勉強が有効とされます。ですが、ビジネスでは、急に競合が出てきたりするのです。
「起業の科学」のような良書も出ていますので、まったく方法論が確率されていないこともないですが、試験の出題範囲のように動かないゴールを目指す場合ではなく、消費者の抱える課題が変わったり、競合が出てきたり、社会環境が変わったり、常に動くゴールを目指しているわけですから、やみくもな行動ではゴールにたどり着けないのが当たり前です。
ゴールが動くとそこにたどり着くための道筋も変わるはずです。
フレームワークでいうと「PEST分析」「5フォース分析」「VRIO」などを活用して、常に自分の立ち位置を把握していく必要があります。
そこで、常に情報を仕入れ、思考して、未来を読んでいく必要があると思います。
ですが、いつも行動していると、今どこにいるか、周囲はどう変わったかがわからなくなります。
.時間を何に使うか
私の場合、行動量を減らすことによって余った時間は、「情報の吸収・整理」や「思考」に使うようにしています。
全体の時間を10とすると、これくらいの時間配分になっていると思います。
情報の吸収・整理:思考:行動=4:3:3
この比率が最適だという自信はありませんが、そこそこいい線だと思っています。
「情報の吸収・整理」や「思考」によって、先人の知恵も学びながら、フレームワークとして整理していくときに自分のものに変え、「いつ」「どこで」「だれに」「なにで」「なにをするか」などを思考して「行動の質」を高めます。
「行動の質」を「仮説」ということが多いと思います。
ある程度レベルの高い仮説を立ててテストすれば、失敗から得られる情報の質も高くなるはずです。そして、さらに行動の質が上がっていきます。
※レベルの高い仮説の立て方はまた別の機会に書きたいと思っています
※フレームワークの例は「クラウドファンディング実行前チェックリスト78」などです。
睡眠時間を削ると全体の総和が10から12に増えたりするかもしれませんが、思考力が低下すると思います。であれば、もっと寝ていたいです。
.行動量を増やすべきときは増やす
しっかり準備できて、あとは行動あるのみ、というタイミングになれば、しっかり行動します。そのためにも日頃から体力を蓄えておきたいです。
また、受験勉強の例のように行動量がものをいうときは、そのようにすべきだと思います。そこから逃げていたら、できることはますます少なくなります。
私の場合、語彙力が乏しいと思ったので、「現代用語の基礎知識」を数百ページ丸写ししていったことがあります。このときは行動量でなんとかすることがベストだと判断しました。おかげで日本語力については少しはましになったと思っています。
ほかにも、自分の味覚を鍛えるために「ふりかけ」を一粒ずつピンセットで分けていく「ふりかけ分析」を何度か行っています。体で覚える必要があるときは、そうするのが近道だと思っています。無心になれるので以外と楽しいですが。
いずれも「動かないゴール」を目指したものですので、行動量を増やしました。
.行動量を減らす方法
具体的には、行動量を減らして、行動を質を高めるために、このような工夫をしています。
・自分の思いをnoteやWEBサイトで伝える
口頭で自己紹介するという行動にかかる体力、時間がもったいないので、打ち合わせ前にURLなどを送り読んでもらうようにしています。
そうすると実際にあって商談する時間がより濃いものになっている気がします。
・フレームワークを活用する
「リサーチ方法」「迷ったときの思考手順」「質問リスト」「商品の魅力シート」などを作っておき、穴埋めするだけでいいようにしています。
・言葉で伝えるかわりに動画を撮って公開する
ただし、動画はあまり見てもらえないので、文章でも公開しています。
・少ない労力で拡散が期待できるSNSを活用する
ほとんど放置していたツイッターを2019年1月から本格的に活用し始めました。思っていたより時間がかかりますが、時間対効果は悪くないと思っています。
・メディアには積極的に出演する
メディアは1対他の効果が期待できますので、時間を使ってでも出演させていただきたいです。多くの人から反応を得ることもできますし、勉強になります。
・読む本は厳選する
能力が高い人は速読しても理解していけると思いますが、私は理解が追いつかないので、たくさんの本を読めません。ですから、読む本はジャンルを問わず厳選しなければいけなくなります。
また、関連したジャンルの本を同時期に読むのも、頭には行ってきやすくなるのでいいと思います。
・「自分ルール」を作りそれに従う
判断に迷う時間ももったいないので、細かいルールをたくさん作って、効率よく行動するようにしています。同じミスを何度も繰り返さないためにもルールを作り、読み直すことは有効です。
・なるべく人に会わない
商談や取材を除いては、リサーチなどの目的が達成できそうな場合など以外は、まず人に会わないようにしています。会っていただいた時間以上の価値を提供できる自信もありません。公式サイトにこのあたりの説明を掲載して理解を求めています。
・道具に頼れるときは頼る
人力よりも効率がいいときは道具に頼るようにしています。
・外注スタッフさんを活用する
自分でやることにこだわらず、信頼できる外部のクリエイターさんなどに作業をお願いしたりしています。得意な人に任せる方が良いと思います。
ほかにも工夫がありますので、まとまったらまた追記していく予定です。
.最後に
社会問題となっている長時間労働、ブラック企業も、やみくもに行動量を増やすことを求めた結果であることが多いのではないかと思います。
こんな会話をしたことがあります。
「坂内さんは、若いのに起業して、ほとんど寝ていないでしょう?」
私「いいえ、普通に寝ています」
「いやいや、本当は寝ていないと思いますよ!」
若い起業家は寝ないで頑張って欲しい、寝ていてはだめだ、苦労するべきだ、というような考え方なのか、もしくはお世辞のようなものかもしれませんが、「寝ない=がんばっている」というような考え方なのかなという印象を受けました。
私は自分の能力の限界が低いと思っていますので、「きちんと睡眠を取りつつ、あくまでストイックに」という起業スタイルでいいと思っています。
また、若い起業家を前にして「行動量を減らせ!」とか「行動の前にやるべきことがあるのではないかな?」とアドバイスしてくれる人がもっと増えてくれてもいいと思います。
そういうスタイルもあった方が、より多くの人が起業という道を選び、人々の生活が豊かになったり楽しいものになっていくと思っています。
もちろん、行動の質も高くて、行動の量も多いのが最強だとは思いますが、行動の量を増やすにはチームで仕事をしていくことが増えていきますので、人が増えたときの諸問題も起きそうな気がします。AIの発達にも期待したいです。
フォーチュンファクトリー株式会社 代表取締役。新潟出身。東京在住、20才。「CAMPFIRE AWARD 2017【特別賞】灯火賞」受賞。「フォーチュンボックス」や自社ブランド「五感プレミアム」シリーズを販売中。