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【介護日記】#14 翻弄される姉妹に新たなる神降臨

◎母、救急車を呼ぶ

2023年6月5日(月)

仕事を終えてあと数歩で自宅の玄関というときに、携帯電話がなりました。

見ると、知らない番号からの電話でした。

普段、知らない番号からの電話には絶対に出ないのに、なぜかその日は電話に出たのです。

「どちらさまですか?」と尋ねると、救急隊員でした!

どうやら母が救急車を呼んだらしく、大したことはなさそうだけど本人がどうしても病院に行きたいというので、これから搬送しますとの連絡でした。

隣に住んでいる叔父(父の弟)が付き添ってくれているらしいのですが、「娘さんも病院に行ってください」と言われました。

「えーーー! たったいま帰宅したばかりなのに!」

グループメッセージで母が救急搬送されて、これから病院に行かなくちゃならないと告げたところ、娘が

「行かなくていいよ!」と。

保険証も持っていないし、現金も持ち合わせていないようなので、行くしかない状況だと告げ、急いで支度をしました。

我が家は駅から遠く、しかもバスが1時間に2本しかないという不便さ。

運び込まれた病院は、最寄りのJR 駅の1つ先でしたが、最寄り駅まで行くバスが2本しかないため、バスの時間に合わせて慌てて家を出ました。

急な坂があり、歩くと速足で片道25分かかるので、仕事終わりで疲れた私は歩く気力はありませんでした。

そしてほんの30分ほど前に同じ道をバスで帰ってきたというのに、また駅に向かっている虚しさを感じながらバスに揺られていました。

病院は駅から徒歩10分ほどでしたが、やはり上り坂で疲れた体には応えました。

受付に声をかけると待合室迄案内してくれ、衝立の向こう側に車いすに乗って点滴を受けている母がいました。

叔父がついていたので、多少は心強かったのではないでしょうか。

小一時間ほど待っていると、診察室に呼ばれました。

先生の話では、急性胃腸炎ということでした。

病院に運ばれたときは38度ちょっとの熱があり、吐き気と下痢症状があったようですが、食事をとっていないので吐いてはいなかったようです。

2日分の薬をもらって帰宅という運びになったのですが、「夜一人でいるのが心配だから入院したい」と駄々をこねて大変でした。

先生に「入院するほどではない」と言われ、帰されることになったのですが、車いすに乗って「押して」などと言うようになっており、なんだか嫌な予感がしました。

点滴がなかなか終わらず、よくみると母が背中で管を踏んづけていたために流れていなかったようで、直してやると急に点滴液が減り始めました。

「簡単に救急車を呼んではダメ」と言うと

「じゃあ、どうすればいいのよ!」と喧嘩腰。

「近所のかかりつけの先生にいきなさい」というと「ああそうか」と。

呆けているのか、とぼけているのかわかりません。

しかし、叔父が言うには、どうやら近所のお宅に「救急車を呼んでほしい」と頼みに行ったようなのです!

近所のお宅まで歩いていける元気があるのに、救急車ってどういうこと!?

そりゃ、救急隊員もためらうわけです……。

でも、もしかして119番を思い出せなくて、自分では呼べなかったのか?

それとも誰かに心配して欲しかったのか?

真相は藪の中。

◎母、ついに入院

月曜日、夜遅く帰宅し、翌日まだ具合が悪いようならかかりつけの病院に行くように話して私はいったん帰宅しました。

よく考えたら、火曜日はデイサービスの日でした。

そして水曜日。

お昼休みにスマホを見ると、グループメッセージに妹からのメッセージが!

毎日母に電話をしてくれている妹ですが、朝、電話をすると

「具合悪くて、今、救急車を呼ぼうと思っていたところ」と言われ、かかりつけの病院に行くように伝えたという連絡でした。

その1時間後、妹のところに救急隊員から連絡があったと……(◞‸◟)

偶然にも月曜日と同じ救急隊員の方でした。

母はかかりつけの病院に行ったようですが、その日はお休みで病院の前で座り込んでいたら、通りすがりの人が救急車を呼んでくれたようでした。

詳細はわかりませんが、なぜか一旦自宅に戻り、またしても叔父が付き添い、月曜日と同じ病院へ搬送されました。

本人がどうしても病院に行きたいというので、受け入れ先を探してくれたようでした。

幸い、妹が行ってくれましたが、市外に住んでいるし、妹も足が悪いのでかなり負担をかけてしまいました。

平日だったため、診察は予約の方が優先で、結局夕方になって入院が決定。

たまたま月曜に見てくださった先生が外来をしていたので、同じ先生に見ていただいたそうです。

どうしても入院したいといいはり、薬の効果も出ていなかったこともあって、母念願の入院となりました。

待っている間に、看護師さんがトイレに連れて行ってくれたそうですが、待合室に戻ってくると、妹を見るなり

「来てくれたの? いつ来たの?」と。

朝からずっと一緒にいたのに、ほんのちょっと前のことを忘れてしまう様子を見て、看護師さんが

「要介護認定の見直しをしてもらった方がいい」とアドバイスをくださったそうです。

この2日後、ヘルパーさんの契約予定でケアマネさんと会う予定でしたが母の入院でキャンセルすることになり、その連絡するついでに、要介護認定の見直しについても相談しました。

ケアマネさんの方で対応してくださるとのことでした。

母は空っぽの財布と保険証だけを持って出かけたようでした。

妹が実家に戻ったのは夕方6時ごろ、私も仕事帰りに実家に寄って詳細と今後のことについて情報共有しました。

母の方は、認知症もあるためしばらく入院になりそうです。

その間に、老健を探すことになりました。

◎父の介護に対する不安?

14日に父が退院してくることが決まり、母は自分には父の介護はできないと思い、不安が募り、それがストレスとなり食欲が落ち、それらが引き金となって体調を崩したようでした。

それまでは早く帰ってきてほしいと言っていたのに、いざ帰宅が決まると不安の方が大きくなってしまったのでしょう。

デイサービスも、お迎えの方が来ても、玄関まで辿り着くのに時間がかかるようになっていたようで、対応を迫られていたところでした。

父が退院してくるその日に、家にいたくなくて入院を希望したのかもしれないね、と妹と話しました。

翌日妹が入院手続きのため、再び足を運んでくれることになりましたが、入院保証金の準備や保険証、お薬手帳、着替えなどの準備で9時頃までかかってしまいました。

しかし、一人で家にいるよりは入院してくれていた方が、家族は安心です。

体調崩していないかな、また救急車読んだりしないかな、などの心配も無用です。

ただし、お金はかかってしまいますが……。

◎父の退院

週が明けて、14日(水)

この日は父の退院でした。

一旦実家に戻り、1日だけ家で過ごし、翌日からショートステイに行く予定でした。

ケアマネさんが先を予測して、いろいろと気を配ってくださるので、何もわからず右往左往するだけの私達には本当になくてはならない、ありがたい存在です。

この日も、午後から訪問診療の先生の契約手続きと、なんとヘルパーさんの契約手続きの手配までしてくれていました。

平日だった為、妹が退院からこれらの契約手続きまで一手に引き受けてくれたのですが、この日の父は比較的機嫌がよかったようです。

しかし、病院では介助があれば歩けるという話だったのに、家では全然歩くこともできませんでした。

仕事帰りに実家に寄り、妹と翌日のショートステイに父に持たせるものを準備したりする傍ら、父に夕食を食べさせたりと大忙しでした。

お昼に買ったお弁当に手を付けなかったそうなので、きっと空腹だろうと思い温めると食べ始めました。

午後7時をまわり、妹も空腹なので食事をしたいということになり、狭い実家では書類を広げたり、お弁当を広げたりすることも難しく、近所の私の家で簡単な食事を作り急いで食べて、小一時間ほどで実家に戻りました。

実家を出る時は、父はまだお弁当を食べており、「一人で大丈夫」というのでほんの少し家を空けただけなのに、実家に戻ると父が床に仰向けにひっくり返っていました!

座卓用の椅子に寄りかかったら、椅子がズレてそのままひっくり返って起き上がれなくなったようでした。

ほんの小一時間でこんなことが起き、本当に驚きました。

結局9時過ぎになってもまだ書類の準備などが終わらず、妹の夫が仕事帰りに車で寄ってくれましたが、まだまだ帰れそうにありませんでした。

このあと、薬を飲ませ、みんなが帰る前にトイレだけ済ませてもらおうと考えましたが、ここから父の様子がおかしくなりました。

◎おまえたちはなにもわかっていない

まず、トイレまで1メートルほどの距離なのに、全然進むことができませんでした。

この日、退院してから一度もトイレに行っていなかったので、きっとおむつが濡れているだろうと思いました。

しかし、結局トイレに移動しただけで、何もせず部屋に戻ったのです。

そのうち、「上を脱がないとズボンは脱げない」と言い始め、ベッドに腰かけたまま、上衣を脱いだり着たりを延々と繰り返し始めました。

「何がしたいの?」と聞いても

「お前たちは何もわかってない。もう帰っていい」というばかり。

結局この日はあきらめて、義弟に支えてもらってベッドに移動するとあっという間に眠ってしまいました。

私たちが家を出たのは11時を過ぎていました。

この日の夜は全く眠れませんでした。

◎ショートステイ当日

翌日は、11時ごろショートステイの方が迎えに来てくれることになっていました。

昨夜の仰向けひっくりかえり事件の後だったので、夜中に何かあってはと思い、早めの8時ごろ実家に行くと、幸い父はまだ眠っていました。

お迎えが来るまでに、起こして、着替えさせて、朝食を食べさせ、薬を飲ませなくてはなりません。

8時半ごろから声かけを始めましたが、全く起きる気配がなく焦りました。

揺り起こすなどすること15分ほど、ようやく目を開けましたが、声をかけても無反応。

それから30分ほどかけて、なんとかベッドに座らせ、顔を拭いてあげましたが、ぼーっとしたままでした。

全日夜遅くまで起きていたので、睡眠不足だったのかもしれません。

前日にケアマネさんが手配してくださったヘルパーさんが9時半ごろに二人来てくれました。

予約の合間を縫って、なんとか1時間だけ来てくださったのですが、お二人の顔を見た瞬間、なぜか涙が出てきてしまいました。

なんと、ケアマネさんも来てくださり、1時間ほど一緒にいてくださいました。

私ではどうにもできなかった着替えやおむつ交換も、あっという間にしてくださったのには本当にありがたくて思わず手を合わせました。

ここにまた、あらたな神が誕生しました。

おむつ交換の様子を後学のために見ておいた方がいいかと思ったのですが、ケアマネさんが「家族には着替えやおむつ交換を渋る人が多いので外しましょう」とおっしゃったので、部屋の外に出ました。

やはり前日の夜のおかしな行動は、おむつを娘に交換してもらうという行為が嫌だったのでしょう。

我が家の場合は異性ですし、父としてのプライドのようなものもあったのかもしれません。

そんな話をしていたら、ヘルパーさんが「家族の言うことは聞かないけど、ヘルパーの言うことには従う人が多いので、使える制度はどんどん使って、家族だけで抱え込まないようにしましょう」と言ってくださいました。

その言葉に涙がでました。

思わずケアマネさんとヘルパーさんの手を握り「みなさんは神です」と言ってしまいました。

その話を妹にすると、妹も前日ケアマネさんに「神です」と思わず言ってしまったというではありませんか。笑

頼りになるヘルパーさんが来てくれたことで、また新たな神が降臨したと言っても過言ではありません。

さすが八百万の神の国、日本。

ヘルパーさん曰く、おむつはぬれていたのでむしろ良かったですとのこと。

尿が出ない方がよほど心配だそうです。

夜用のおむつにパッドもしてあったので、漏れもなかったようでした。

あっという間に私ができずにいたことをやってくれたヘルパーさんが去ると、若干の静けさが訪れました。

父はようやく目が覚めてきたようで、それまで少し機嫌が悪く、「どうしてこんな時間に起きなくちゃいけないんだ」と文句を言い、朝食に持っていたおにぎりも食べず、薬も飲み込めなかったようでした。

しかしここで「おにぎり食べる?」「孫の〇〇が作ったんだよ」というと「食べる」というではありませんか!

孫が作ったものなら食べるのか? 笑

とにかく時間はかかりましたが、おにぎりを1個食べて、朝の薬と(だいぶ指定の時間は過ぎましたが)10時に飲む薬もなんとか飲ませ終わったところに、ショートステイのお迎えが来ました。

ところが、全く歩けないとは想定していなかったため車いすを持って来ておらず、坂の途中に立つ実家の段差の多い玄関先までどうやって移動するかが問題となりました。

予定が詰まっており、車いすを取りに帰ると今日のショートステイは難しいかもという話になり、運転手さんと私でなんとか支えながら車まで移動できないかやってみることになりました。

なんとか車に乗せることができましたが、予定より30分以上遅れての出発となり、私も午後から仕事だった為、慌てていて杖を持たせるのを忘れてしまいました。

忘れないようにと他の荷物と一緒にしておいたのに、玄関先にポツンと取り残された杖を見た時は愕然としました。

電話をするとショートステイ先でも貸してもらうことはできるようで安心しました。

前日、妹と荷物を準備していたのですが、どうしても父の部分入歯が見つからず、歯のないまま出かけていきました。

3月に入院したとき母が預かったのですが、どこにしまったのかどうしても見つけ出すことができませんでした。

そんな母は、もうとっくにそんなことも忘れており、もう行方を捜すことは困難となりました。

◎余談

母の入院騒動で、週末の尾瀬行の準備どころではなく、おまけに疲れ果てていく気力も失せつつありましたが、列車や宿のお金はもう戻ってこないので、覚悟を決めて金曜の夜に出発しました。

娘が猫さまのお世話に来てくれたので、安心して出かけることができました。

あとから、尾瀬ハイキングはこのときの私には必要な時間だったのだと思いました。

14日の父の退院日に妹と合流した際、福島のお土産を渡すと、妹からも前の週に出かけた仙台土産をもらいました。

なんと2時間半も並んで買ってきてくれたのは、レア最中でした。

その名も「シーラカンスモナカ」

箱を開けると「シーラカンスは入っていません」と書いてある(笑)
厚さは薄目で、女性でも食べやすいサイズ。中身はあんことバターのコラボ

最中の中身は粒あんとフランスのイズニーバター

食べると甘じょっぱい。

これは美味しい!

バターのしょっぱさがアクセントになり、甘すぎないので、甘いものが苦手な人でも最後まで食べきれそうです。

なんでもフィギュアスケーターの羽生結弦さんが、出演者に差し入れたことがInstagramで話題になり、あっという間に拡散され、行列ができるお菓子になったようです。

バターのしょっぱさがアクセントになり、あんこの甘さがたちまち中和されるので、後を引く美味しさです。

それにしても羽生結弦さんの影響力は大きいですね。

先週、今週と、疲れることが多かったですが、甘いもので元気パワー注入できました💪


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

母の救急車騒動と入院騒ぎに翻弄され、父の在宅介護に素人の限界を痛感した1週間となりました。

今は時々実家に行き、郵便物のチェックや私たちの知らない請求書などが来ていないかを確認する日々です。

冷蔵庫の整理にもいかないと、大変なことになりそうですが

とりあえずこの週末は、自分たちも少し休もうと思いました。

職場にも事情を話して、休むことが増えるかもしれないと告げました。

仕事もだいぶ慣れてきましたし、二人とも入院した今は多少落ち着いたので何とかなるかなと思っているところです。

とりあえず、特養の申し込み書類を書いて金曜日に発送しました。

まずは順番待ちの列に並ぶところからですね。

週末は晴れたので、大量の洗濯もをして、布団を干して、家のことができました。

これもある意味気分転換ですね。

昨夜、近所の母の知り合いが心配して訪ねてきてくれました。

お見舞いに行ってくれるそうで、ありがたいなぁと思いました。

まだまだ先は長いですが、運がいいことに私達には最強の神が味方に付いてくれています。

きっとこの難局を切り抜けることができるでしょう。

猫さまへの対応がおろそかになっているので、猫さまの信用も挽回しなくては!

新しい週が、良い一週間でありますように。

読んでくださってありがとうございます!もし気に入っていただけたらサポートいただけると嬉しいです。猫さまのために使わせていただきます。