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治療的評価法大全ー頸部・肩関節・腰部・骨盤帯ー【サブスク】

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はじめに

このnoteは、誰にでもお役に立てるわけではありません。
ですが、以下に一つでも当てはまる理学療法士の方は、読んでみてください。

✅その場で”痛みが減る”治療的評価法を学びたい
✅結果を出せるセラピストや治療家になりたい
✅患者様に信頼されるセラピストや治療家になりたい

その場で”痛みが減る変化を捉える治療的評価法”を学べる内容となっています。

頸部9種類肩関節5種類(実技解説動画5つ)腰部・骨盤帯16種類(実技解説動画2つ)とこれまでのnoteでご紹介してきた総まとめになっています。

運動器リハビリや整形疾患の”臨床でとにかく悩まれている方”に手に取り読んでいただきたいです。

臨床力を高めるいちきっかけとなれば幸いです。

by Rui

自己紹介

はじめまして、forPTのRui(ルイ)です。理学療法士免許を取得し、現在は整形外科クリニックに勤務しています。

forPTとは、理学療法士の臨床と発信を支援するために2019年に発足されたコミュニティです。

forPTの主な活動
instagramTwitterを中心としたSNSでの情報発信
ブログ(https://forphysicaltherapist.com)での情報発信
・限定noteの販売

instagramのフォロワー数は、1万人を越え、多くの方に共有していただけるコミュニティとなりました。

臨床に役立つ知識や技術を発信し続け、現在では理学療法士だけでなく、セラピスト全般、理学療法学生、柔道整復師、スポーツトレーナーなど幅広い職種の方にもシェアいただいています。

それでは以下より、『治療的評価法大全ー頸部・肩関節・腰部・骨盤帯ー』になります。

治療的評価法(疼痛減弱テスト)とは

頸部痛に対する治療的評価法

頸部伸展時痛の治療的評価法

骨盤前傾かつ脊柱伸展誘導(徒手/セルフ)

【方法】
 対象者は端座位となります。検査者は、対象者の後方に位置し、骨盤を両手で把持します。そこから検査者は骨盤前傾方向へ徒手誘導し、対象者には、同時に腰椎⇨胸椎⇨頸椎の順序で脊柱を伸展するように促します。

【解釈】
 骨盤前傾方向へ誘導することで座圧中心を前方に偏位させ、上位胸椎および下位胸椎の伸展運動を促しています。疼痛が軽減または消失する場合には、上位胸椎および下位頸椎の可動域制限や運動パターンの問題が挙げられます。

【備考】
 頸椎伸展運動では、上位胸椎の伸展運動を伴います。そのため、上位胸椎の可動域制限は頸部動作時痛の誘因となることがあります。

上位胸椎伸展徒手誘導

【方法】
 対象者は端座位となります。検査者は、対象者の後方に位置し、両手の母指を重ねて対象者の上位胸椎棘突起に当て固定します。対象者の頸部伸展運動に追従するようにして、検査者は上位胸椎伸展方向(押し下げるように)に徒手誘導します。

【解釈】
 頸部伸展運動に伴う上位胸椎運動伸展を誘導しています。疼痛が軽減または消失する場合には、上位胸椎の可動域制限が頸部痛の誘因として挙げられます。

肩甲骨下制・後傾徒手誘導

【方法】
 対象者は端座位となります。検査者は、対象者の側方に位置し、疼痛側の肩甲帯を両手で把持します。そこから対象者の頸部伸展運動に追従するようにして、検査者は肩甲骨を下制・後傾方向へ徒手誘導します。

【解釈】
 頸部伸展運動に伴う肩甲骨の下制・後傾運動を誘導しています。疼痛が軽減または消失する場合には、肩甲骨の挙上・前傾マルアライメントや肩甲骨下制・後傾可動域制限が頸部痛の誘因として挙げられます。

【備考】
 
頸部伸展運動に伴い、肩甲骨は下制・後傾します。

肩甲骨内転・挙上誘導(徒手/セルフ)

【方法】
 対象者は端座位となります。検査者は、対象者の後方に位置し、両側の肩甲帯を把持します。検査者は、肩甲骨を内転・挙上させて固定し、そこから対象者には頸部伸展運動を行ってもらいます。

【解釈】
 疼痛が軽減または消失する場合には、僧帽筋や頸部伸展筋群の過緊張および滑走不全、鎖骨挙上・後方回旋制限が頸部痛の誘因として挙げられます。

【備考】
 頚部伸展運動に伴い鎖骨は挙上・後方回旋します。

頸部回旋時痛の治療的評価法

胸椎同側回旋誘導(徒手/セルフ)

【方法】
 対象者は端座位となります。そこから対象者には、同側の体幹回旋⇨頸椎回旋の順序で、頸椎回旋運動を行ってもらいます。検査者は、必要に応じて胸椎回旋運動を徒手で誘導します。

【解釈】
 疼痛が軽減または消失する場合には、体幹(主に上位胸椎)の回旋制限が頸部痛の誘因として挙げられます。

【備考】
 頸部回旋運動に伴い、上位胸椎は同側回旋します。

同側肩甲骨内転・対側肩甲骨外転誘導(徒手/セルフ)

【方法】
 対象者は端座位となります。検査者は対象者の後方に位置し、両側の肩甲帯を把持します。そこから対象者の頸部回旋運動に追従するようにして、検査者は同側の肩甲骨を内転、対側の肩甲骨を外転方向へ徒手誘導します。

【解釈】
 疼痛が軽減または消失する場合には、同側の肩甲骨内転制限、対側の肩甲骨外転制限、上位胸椎の回旋制限が頸部痛の誘因として挙げられます。

【備考】
 頸部回旋運動に伴い、同側の肩甲骨は内転、対側の肩甲骨は外転します。また、この手技により上位胸椎の同側回旋運動も促しています。

座圧中心位置の左右への誘導(徒手/セルフ)

【方法】
 対象者は端座位となります。検査者は対象者の後方に位置し、骨盤を両手で把持します。骨盤運動によって、頸部回旋の反対側へ座圧中心を移動させ、その位置を保持します(頸部左回旋の場合は、右の坐骨結節に荷重を移動させます)。そこから対象者に頸部回旋運動を行ってもらいます。

【解釈】
 
座圧中心を左右方向に移動させることで、上半身質量中心位置を偏位させ、運動連鎖を用いた頸部回旋運動を促しています。疼痛が軽減または消失する場合には、座圧中心の偏位や上半身質量中心の偏位、骨盤帯〜脊柱のマルアライメント、運動パターンの問題が頸部痛の誘因となっている可能性を考慮します。

頸部側屈時痛の治療的評価法

同側肩甲骨下制・対側肩甲骨挙上誘導(徒手/セルフ)

【方法】
 対象者は端座位となります。検査者は対象者の後方に位置し、同側の肩甲帯と対側の上肢を把持します。そこから対象者の頸部側屈運動に追従するようにして、検査者は同側の肩甲骨を下制、対側の上肢(肩甲骨)を挙上方向へ徒手誘導します。

【解釈】
 疼痛が軽減または消失する場合には、同側の肩甲骨下制制限、対側の肩甲骨挙上制限、上位胸椎の同側側屈制限が頸部痛の誘因として挙げられます。

【備考】
 頸部側屈運動に伴い、同側の肩甲骨は下制、対側の肩甲骨は挙上します。また、この手技により上位胸椎の側屈運動も促しています。

座圧中心位置の左右への誘導(徒手/セルフ)

【方法】
 対象者は端座位となります。検査者は対象者の後方に位置し、骨盤を両手で把持します。骨盤運動によって、頸部側屈の反対側へ座圧中心を移動させ、その位置を保持します(頸部左側屈の場合は、右の坐骨結節に荷重を移動させます)。そこから対象者に頸部側屈運動を行ってもらいます。

【解釈】
 
座圧中心を左右方向に移動させることで、上半身質量中心位置を偏位させ、運動連鎖を用いた頸部側屈運動を促しています。疼痛が軽減または消失する場合には、座圧中心の偏位や上半身質量中心の偏位、骨盤帯〜脊柱のマルアライメント、運動パターンの問題が頸部痛の誘因となっている可能性を考慮します。

肩関節痛に対する治療的評価法

棘上筋誘導

【方法】
対象者には、一度肩関節挙上運動を行ってもらい肩甲骨運動の軌道を観察しておきます。
次に、検査者は後方に位置し片方の第2〜4指腹を検査側上肢の棘上筋に軽く圧をかけて当て、もう片方の手は肩甲骨の内側縁に当てます。
そして、検査者は棘上筋に触れている指腹で収縮方向に牽引をしながら、対象者には肩関節挙上運動を行ってもらいます。この時、検査者はできるだけ対象者の動きに合わせた操作をして動作の妨げとならないように注意します。

【判定】
肩関節の運動時痛が減弱または消失すれば陽性です。

【解釈】
棘上筋の収縮を誘導することで、挙上運動における上腕骨頭求心位を促し、肩峰下インピンジメントの抑制を図っています。ただし、棘上筋の触察においては皮膚や僧帽筋上部繊維を介している点に考慮する必要があります。つまりは、皮膚運動*肩甲骨上方回旋運動を同時に促通している影響も考慮し、その後の評価に役立てます。

【こんな症例に試したい】
・肩関節外転運動時痛
・ペインフルアークサイン陽性

💡臨床実践のポイント
特に肩関節外転運動時に「挙げる途中や腕を下ろす途中が痛いです」と訴えるようなケースは、いわゆるペインフルアークサインの陽性例であり、腱板機能不全を抱えている可能性が高いです。このようなケースで、手技により疼痛の減弱がみられる場合があります。事前に、腱板損傷断裂炎症(急性期か)などの医学的所見を把握し、リスク管理には注意しましょう。

【補足資料1 棘上筋の起始停止】
 
棘上筋の触察に自信のない方は、以下を参考にイメージして正確にみてください(図1)。

図1 棘上筋の解剖図

棘上筋の解剖
起始:棘上窩(肩甲棘の上方にある窪み)
停止:大結節(一部は小結節に付着)

💡棘上筋の触診ワンポイントアドバイス
棘上筋は肩甲棘の直上で僧帽筋上部繊維の深層に位置しているため、やや強めに圧をかけることでコリッとした筋腹に触れることができます。

【補足資料2 皮膚運動学の概要*】
 
皮膚運動学は福井勉先生によって提唱されて、その理論や根拠が示されています¹⁾²⁾。皮膚運動には法則性があり、その一つに、皮膚の運動方向は関節の骨運動と連動するというのがあります。具体的には、骨同士が近づく運動では皮膚は関節から遠ざかる方向に動き骨同士が遠ざかる運動では皮膚は関節に近づく方向に動きます。さらに、回旋運動では、皮膚は骨の動く方向と同じ方向に動きます(図2)。この法則性に基づき、皮膚の運動方向に誘導することは筋収縮を促通すると考えられています。

図2 肩関節外転運動における皮膚の運動方向

【実技解説動画】


肩関節後方筋群の滑走誘導

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