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オーストラリア・国税局の海外ビザ所持者に対する監査と国外財産調査

オーストラリア目線でのオーストラリア国税局(ATO)監査と個人的に大好きな国税庁インターネット番組(Web-Tax TV)を通して国外財産調査書のご紹介

ATO海外ビザ所持者に対する監査

国税局は海外ビザ所持者や留学生を対象に監査を実地しています。データマッチングを行い、租税回避を防ぎ、スーパーアニュエーションのコンプライアンス強化を挙げています。
国税局は過去三年に渡り、政府の民生事務所(the Australian government's Home Affairs Department)との間で2000万人以上の記録を入手済みで、これらを電子的に国税局保持のデータと照合し、税金やスーパーアニュエーション法のコンプライアンス違反などを見ていきます。
ビザの保持者、留学生さらに教育機関や移民エージェントのレビューを行います。実際の出入国の記録や現住所、ビザの申し込み状況なども監査対象となる予定です。そこで不一致が発見された場合、実際に国税局が法的なアクションを起こす前に各個人には28日間の猶予期間が与えられるとされています。

国外財産調書

国外財産調書の提出制度は、国外財産の保有が増加傾向にある中で、国外財産に係る課税の適正化が課題となっていることを背景として、国外財産を保有する方からその保有する国外財産について申告するという仕組みです。平成 24 年度の税制改正により導入され、平成 26 年1月から施行されています。具体的には、その年の 12 月 31 日においてその価額の合計額が 5,000 万円を超える国外財産を保有する居住者の方(非永住者の方を除きます。)は、その年の翌年の3月 15 日までに当該国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を、所轄税務署長に提出しなければならないこととされています。
No.7456 国外財産調書の提出義務|国税庁 (nta.go.jp)

国外財産調書制度の対象となる国外財産

国外財産調書に記載するべき財産は、基本的に財産がどこにあるかが判定基準になります。国外にあると判定された財産は、国外財産調書に記載する対象になります。
国税庁は、財産の種類ごとに所在の判定基準を示しています。

  • 動産、不動産、借地権等:その動産、不動産の所在地

  • 預貯金:預け入れた金融機関の営業所、事業所の所在地

  • 険金:保険会社の本店または主たる事務所の所在地

  • 貸付金:債務者の住所または本店、主たる事務所の所在地。証券化された貸付金債権を金融機関に預けている場合は、その金融機関の営業所等の所在地

  • 有価証券等(株式、社債等):有価証券等の発行法人の本店または主たる事務所の所在地 金融機関に預けている場合は、その金融機関の営業所等の所在地

  • 暗号資産(仮想通貨):保有している人の住所(取引所の所在地ではない)

詳しくは↓国税庁のお知らせご確認ください。
国外財産調書制度に関するお知らせ|国税庁 (nta.go.jp)

注意点として、国外財産調書制度での財産の所在の判定基準は、相続税法の相続財産の所在の規定に沿っています。ただし、金融機関に預けている有価証券等の所在は、相続財産に関する規定とは異なり、口座を開設している営業所等の所在地で判定します(相続財産の場合、有価証券等の所在は金融機関に預けているものでも発行法人の本店、主たる事業所の所在地で判定します)。

国外財産を追いかけろ!~国際徴収への取組~

個人的大好きな国税庁インターネット番組(Web-Tax TV)のご紹介です。硬いのかイケてるのかよくわからないけど、見出したら虜になるインターネット番組。日本の文化的背景を色濃く反映しているせいか…きっとこの硬さがないと上長承認がおりないギリギリのラインを狙ってる←妄想…今一つ物足りない感じがまた心をそそる。

https://www.nta.go.jp/publication/webtaxtv/index.html

海外に財産を移転させ納税を免れようとする悪質な滞納事案に対し、租税条約に基づく徴収共助制度を活用した徴収に取り組む徴収官の仕事をドラマ仕立てで紹介しています。

調査書作成の際の注意点

  • 国外財産の価額の日本円への換算:外貨建ての国外財産の価額は、国外財産調書を提出する人の取引金融機関が公表する12月31日のTTB(対顧客直物電信買相場)で日本円に換算します。12月31日が取引金融機関の休業日である場合は、これより前の最も近い営業日のTTBで換算します。

  • 借入金を差し引くことはできない:借入金の残高は財産債務調書で提出

  • 相続で取得した国外財産の価額:相続で取得した国外財産については、12月31日までに遺産分割が行われているかどうかによって価額を算定します。

    • 遺産分割が行われていない場合:国外財産の価額を法定相続分で分けた価額

    • 遺産分割が行われている場合:国外財産の価額を実際の相続分で分けた価額

なお、令和2年分以後の国外財産調書では、相続があったその年の相続財産は記載しなくてもよいことになります。この場合は、国外財産調書を提出する義務があるかどうか(国外財産の総額が5,000万円を超えるかどうか)は、相続した国外財産を除いて判定します。

オーストラリアだけでなく、国際的に海外所得や資産などを把握しようという動きが活発になってきています。また、国際間で税務情報などを共有している国もあるようです。誤った申告などをしてしまった場合は気づいた時点で素早く対応・修正することで罰金を軽減することもできます。

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