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<なつみの本紹介> #19 海が見える家/はらだみずき

あらすじ

 入社一ヶ月で会社を辞めた直後、田舎暮らしをしていた父の死を知らされた。電話は知らない男からだった。孤独死したのか。文哉が霊安室で対面した父は、なぜか記憶とはまるで違う風貌をしていた。家族に遺されたのは、丘の上にある、海が見える家。文哉は早々にその家を処分するため、遺品整理を始める。そして、疎遠にしていた父の足跡をたどると、意外な事実を突きつけられていくのだった。
 夏、豊かな自然が残る南房総の海辺の暮らしを通して、文哉はもう一度自分の人生を見つめる時間を過ごす。「幸せとは何か」を静かに問いかける、著者、新境地の感動作。

感想

 いつも行く本屋さんに行った時のことです。ふとカラフルなポップが目に入り見てみると、ここ、地元が舞台になった作品らしいではないか。そんなの読まない手はないと思いましたが、残念ながらそれは単行本。お金のない大学生にはちょっと高い。。。から、普段単行本は買っていません。あと、文庫本に比べて読みづらいのもあります。後者が大きな決め手としておきたいと思います笑。そんなわけで、著者ははらだみずきさんという方で、千葉県出身らしいという情報だけは手に入れました。文庫本のコーナーに行ってはらださんの作品を探して、この本に出会いました。房総の海が舞台。そんなの読まない手はない。という流れがあって、現在に至るわけです。

 この作品は、ぼくの好きなジャンルの話です。本の中から、心地のいい風が吹いてきて、心がポカポカする。そんな作品です。人の温かさに触れたい人におすすめかもしれません。

 海を舞台にした作品はたくさん読みました。嬉しさも、悲しさも、怒りも、どの作品でも海は受け止めていました。海って、遠くから見るのはきれいだけど、入ると危険がある。いつでも同じように見えて、でも同じ形の波はひとつもない。昼間は鮮やかな青、夜は真っ暗な水面に月明かりが反射して。海は不思議な生き物だなって思います。

グッとワード

 おまえは人生を楽しむ努力をしているか?

 この言葉、今のぼくにグッと刺さりました。今、ぼくは大学生で、人生でいちばん自由であろう時間を手にしています。この時間を有意義に使って、人生を楽しむ努力をしているのか。答えはイエス。と言いたいです。たぶんしているはずです。というか、今が最高に楽しいと言えます。

人生を豊かにする。人生を楽しむということを、ぼくはこう捉えています。楽しいことだけで人は成長しないと思っていて、自分の心が成長する経験をたくさん積んでいきたいです。そのひとつの手段として読書をしています。大学生になるまでそんなこと考えたこともなかったのですが、今振り返ると、中学生の時にある作家に出会って、その人の言葉に触れるたび、ぼくという人間が成長した、いや、つくられたんだなと思いました。いつも読んでくださっている方なら、ある作家が誰なのかわかると思います。

2021/10/1 

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