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<なつみの本紹介> #22 渚の旅人/森沢明夫

あらすじ

 福島県相馬市、福島県いわき市、宮城県女川町、宮城県石巻市。。。2011年3月11日の東日本大震災前に著者が旅した東北。そこで出会ったのは住民達の優しさだった。彼らの穏やかで丁寧な暮らしぶりとともに、震災後の今だからこそ伝えたい、そして取り戻さなければならない美しい風景やおいしい特産物など、東日本の魅力を書き綴った旅エッセイ。

感想

 なかなか手に入らなかったこの本を、定価よりちょっと高くAmazonで買ってしまいました。本当にどこにも売っていないので、いくらでも出してやるという気合いで探しました。

 読めば旅がしたくなる本です。東日本の海沿いを旅した様子を綴ったエッセイになっていて、森沢明夫さんのきれいな言葉に引き込まれ、鮮明に海の景色が頭に浮かびます。そしてなんといっても腹が減る!!その地域の特産品を食べては飲み、地元の人たちと触れ合う。こんな旅をいつかしてみたいものです。読みながら、行きたいと思ったところはメモしたので、いつか行ってみようと思います。

グッとワード

 セグロカモメは「ガアア、ガアア」で、ユリカモメは小さな声で「ニャア、ニャア」と鳴き、カモメは「キーウ、キーウ」という感じで、ウミネコは「ミャーオー、ミャーオー」とのこと。

 これはただのメモです笑。知識として頭に入れておきます。


 日本人の美意識は「浦(湾)」にある。激しい波が打ち寄せる外洋ではなく、おだやかで、わび、さび、を感じさせる「浦」こそが、昔から美の象徴とされてきたのだ。さらに「浦」とは「裏」を意味し、カラダの裏側に隠された「心」そのものだという発想がある。

 これは高校の時に古典の授業で聞いたことがあります。掛け言葉として使われている歌を読んだ記憶があります。その時は浦=心なんだという知識しか取り入れることはできませんでしたが、今回この文章を読んでより理解が深まりました。森沢明夫さんは、

 「羨ましい」という言葉。これは「心がやましい」状態をいうのだそうだ。たしかに人を羨むとき、自分の心は病んでいるかのような苦しさを覚えるものだ。「裏切る」は、相手と通じていたはずの「心を切る」という意味。こちらもうなずける。

 など、いろいろ紹介しています。こうやって言葉の成り立ちを聞いたら全部しっくりくるのがなんだかすごいなと思います。それを調べるのもまたおもしろいかもしれませんね。それにしても浦=心とは、昔の人の感性の豊かさに驚かされます。海辺に立っていると心が落ち着くのも、似たような感覚なのかなと思います。

2021/10/9

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