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<なつみの本紹介>#1 かたつむりがやってくる〜たまちゃんのおつかい便〜/森沢明夫


 今回は、かたつむりがやってくる〜たまちゃんのおつかい便〜を読みました。ちなみに、船橋のときわ書房に行って森沢明夫先生のサイン本を買ってきました。

あらすじ


 高齢化が深刻な海辺の田舎町で、「買い物弱者」に目を付けたたまちゃんは、移動販売を始めることを決意する。しかし悩みは尽きず、フィリピン人の義母とのいさかい、自分1人では救い切れない老人、大切な人との別れ。そんな困難を仲間と共に乗り越えようとする、たまちゃんの奮闘記。

グッとワード

人生の『小さな冒険』に踏み出せない人って、『勇気』が足りないんじゃなくて、本当はきっと『遊び心』が足りないだけ。

これはたまちゃんの母親、絵美の言葉です。今の僕にグサッと刺さりました。この言葉は、絵美というより、森沢先生からの言葉として受けとりました。森沢先生らしい表現で、迷っている人の背中を押してくれるような、優しい感じがします。僕は小説を書くと決め、noteを始め、『小さな冒険』に踏み出すことができました。この決断をしたのも、森沢先生の作品を読みまくって、『遊び心』をたくさんもらったからかもしれませんね。

母親の子宮のなかの羊水にふわふわと浮かんでいるような安心感。わたしは、帰っていく。おかえり。                       心の核の部分に直接、慈悲深い声が届けられた気がした。
わたしは、自然と理解していた。
いま、この瞬間、わたしを包む無限の広がりが、わたしをまるごと受け入れてくれたことに。
わたしは、ひとつになる。
無限と、ひとつになるのだ。

 これは、死の瞬間を表現した文章です。読んだ時、ゾクっとしました。「死」をこんなに美しく表現した文章を今まで僕は読んだことがありません。僕は2人の祖母を亡くしています。「死」という悲しみを知っているからこそ、この言葉が沁みました。
 ちなみに、亡くなった祖母と、森沢先生は、僕の中で深く関わっています。この話は、そのうち文章にまとめようと思います。

感想

 僕は父と母からたくさんの愛情を注ぎ込まれて生きてきました。テレビドラマなどで、片親の子供、義理の母親とのいざこざをテーマにした作品が、しばしば放送されています。それを見て僕は、義理の母親ができたら、「違和感しかない」「とんでもない塩対応をするんだろうな」とか考えていました。実際にその環境にある人の気持ちなど知らずに。作中のたまちゃんは、妄想上の僕と同じ違和感を持っていて、心に大きな穴がぽっかり空いた状態で義理の母親、シャーリーンと接しているのです。読み始めはたまちゃんに同情しました。本当の母親を亡くした自分のことなんか何も理解せず、憎らしいくらいに明るく接して来るシャーリーン。正直僕が同じ立場ならすぐに毒を吐いていると思います。それをグッと堪えて、自分の胸にしまっておけるたまちゃんは強い女性だと思います。それが本当に正しいことなのかは別として。

 僕はこの作品を、お使い便の話というよりも、義母と娘の関係に焦点を当てて読んでいました。物語を読み始めると、最初、たまちゃんの心には、シャーリーンに対して、薄い膜が張っているように感じますが、内容が進むにつれ、なんとかその膜を破って欲しいと思うようになります。どんなきっかけで2人の距離が縮まったのか、それは是非、自分でページをめくって確かめてください。

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