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<なつみの本紹介> #16 キッチン/吉本ばなな

あらすじ

 私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。。祖母の死、突然の奇妙な同居、不自然であり、自然な日常を、まっすぐな感覚で受けとめ、人が死ぬことそして生きることを、世界が不思議な調和にみちていることを、淋しさと優しさの交錯の中で、あなたに語りかけ、国境も時もこえて読みつがれるロング・ベストセラー。

感想

 ある小説の解説に、この「キッチン」について書いてあり、読みたくなったので手に取ってみました。実は吉本ばななさんのことは小学生の時から知っていました。もう一冊吉本さんの読みたい作品があるので、詳しくはそのの本紹介でお話ししたいと思います。

 この作品、すごくよかった。としか言えません。今の僕の語彙力では、何がよかったのか説明できないのが悔しいです。ただ言えるのは、読み終わって、本を胸にあてて、温かいため息をもらしたくなる。そんな作品です。人間の温かさを感じながら、自分の心も成長した気がしました。

 ちなみに、ムーンライト・シャドウも収録されているのですが、これもまたいい作品でした。吉本ばななが操る言葉という魔法にかけられた。そんな感じです。

 この二つの作品を読んで思ったのは、登場人物一人一人が自立して誰も薄くなっていないということです。小説を読んでいて初めてそう思いました。全員が愛されるべきキャラクターで、作者の愛が吹き込まれていました。他の作品も漁ってみようと思います。

グッとワード

 「そうね。。。私に。」 できることがあったら言ってね、というのをやめた。ただ、こういうとても明るいあたたかい場所で、向かい合って熱いおいしいお茶を飲んだ、その記憶の光る印象がわずかでも彼を救うといいと願う。
 言葉はいつでもあからさますぎて、そういうかすかな光の大切さをすべて消してしまう。

 言葉を使えば、伝えたいことを伝えられます。でも、それを望まない場面もあるのです。言葉では伝えられない何かがこの世には存在していて、それは沈黙、仕草など、その場にふさわしい言葉なき言葉によって伝えられる。この文章を読んで、言葉って奥深いなと思いました。


 世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率は決して変わんない。自分では決められない。だから他のことはきっぱりと、むちゃくちゃ明るくしたほうがいい。

 世界はみんなのためにあります。でも、だからこそ自分のためにあると考えてもいいのではないでしょうか。みんなには自分も含まれます。というのが僕の持論です。でも、ここにあるように、嫌なことは必ずめぐってきます。だから、楽しいことは明るくした方がいいんですよね。どんな時でも、ポジティブでいることは大事だと感じます。

2021/9/24

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