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「問題」は、解決すればするほど、ドツボにハマるってほんとですか。

ここだけの話、ビジネス書のジャンルでは、「タイトルにこのワードを入れておくと、売れる可能性が高まる」という鉄板ワードがある。
※「必ず売れる」ではなく「売れる可能性が高まる」ですよ。

その代表格のひとつが「問題解決」ではないだろうか。

試しにアマゾンで「問題解決」と打って検索してみると・・・

『問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術』
『問題解決プロフェッショナル―思考と技術』
『筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」』
『コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法』
『世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく』
『問題解決ファシリテーター―「ファシリテーション能力」養成講座』
『世界一速い問題解決』
『問題解決ドリル』
『図解 マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書』

と、ざくざく出てくる。

YouTubeで「問題解決」と検索してみると、勝間和代さん、ひろゆきさん、DAIGOさん・・・と、いかにも「問題を解決してくれそうな人たち」の動画が出てくる。

あ、フォレスト出版でも3冊出してました。

世のビジネスマンはどんだけ問題を抱えてるんだ!
そして、どんだけそれを解決したいんだ!

もはや「問題を解決する」は人間の根源的な欲求なのかもしれない。

ところが、そんな世の趨勢、人間の根源的欲求を全否定する人物がいる。現在、タオ(道教)の第一人者と目されているKan.さんだ。

※ヒット曲『愛は勝つ』のKANさんではありません。

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こちらのkan.さん↓

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スピリチュアル界のKan.さんが、そのものズバリ言う。

「問題は解決するな」と。

Kan.さんは、タオの秘法クンルン・ネイゴン(口伝のすごいやつ)を体得し、世界中で古代からの秘儀を伝えている人物。

そんなkan.さんが喝破する「問題は解決するな」というメッセージをそのままタイトルに冠した『新装版 問題は解決するな』が弊社から刊行されている。

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しかしなんだな、「問題は解決するな」って言われても・・・問題を解決しないと、とんでもないことにならないかな?

そこのところ実際どうなのってことで、Kan.さんに編集部でインタビューしたので、ここでご紹介したい。実際にグリグリ突っ込んでみたら、かなり面白い「なるほど!」な内容のお話を聴くことができました。

以下、どうぞ。

人の悩みは突き詰めると9割9分「対人関係」

鳥垣(インタビュアー) :今、時代が大きく変わりつつあります。「VUCA(ブーカ)の時代」といわれるように、過去のパターンや成功法則が全く役に立たなくなり、どこに答えを求めたらいいのかわからず、何となく不安で悶々としてる人も多いと思います。
そんな中でKan.さんの著書『問題は解決するな』(小社刊)が上梓されました。このタイトルに対し、おそらく多くの人が「問題を解決しないでどうなるんだ」と思われたことでしょう。実際、これはどういうことを提示しているのでしょうか。

Kan. :僕は以前、多くの個人セッションをおこないました。非常にたくさんの人を、膨大な時間をかけてやったんですが、結局、ほとんどの人生の悩みは、人とのことなんですよ。

鳥垣:対人関係?

Kan. :集約すればそういうことです。宇宙のことで悩んでる人はいないんですね。

鳥垣:確かに。

Kan. :宇宙というと飛躍しすぎかもしれませんが、私と太陽の関係が問題だという人はいない。結局、対話していくと、人との関係に行き着くのです。

鳥垣 :お金の悩みも多いかと思うんですけど。

Kan. :実はお金の概念も誰かに吹き込まれたものです。そのお金に対する価値観で悩んでいる。人間はどんな人でも体調を崩し、病気になったりしますよね。病気になったときにどう思うかも、誰かの考え方なのです。ですから結局、人が何で悩んでるかというと、自分の中にインプットされた概念という人が9割9分です。そして、僕がその解決策を持ってるわけでもありません。
そもそも誰も、他人の人生の解決策なんか持ってるわけないと僕は思うんですね。自分が自分の人生をどういうふうに喝破していくか、つまり気づいていくか。そして、自分で自分の人生を、どうとらえてくかということだと思うんですよ。その邪魔をしているのが何かというと、人から習ったことなんです。

「これは問題だ」と思うことがそもそもの「問題」

Kan. :たとえば、あるおばあちゃんは、膝痛で悩んでいました。

鳥垣 :切実ですよね。

Kan. :「どうして膝痛が苦しいの?」と訊くと、「階段を下りられないのが苦しいのよ」って。それはよくわかる。「じゃあ、人間に生まれた以上、ある年齢がきたら全人類、膝が痛くなるとしたら、おばあちゃん悩む?」。そしたらおばあちゃんはしばらく黙って「全員?」と訊きました。そして、「全員1人残らず膝が痛いんだったら、悩まない」。

鳥垣 :確かに、当たり前のこととして捉えますよね。

Kan. :おばあちゃんは勘のいい人で、「私、膝が痛いから悩んでるのではなく、膝が痛くて階段が下りられないのはつらいことだと習ったから、苦しいんだ」と思ったんですよ。

鳥垣 :すごい悟りですね。

Kan. :もちろんそれで膝が痛くなくなったわけじゃない。だけど、その人の人生にとっては、ある日、膝が痛くなって階段が下りられないという現実を、受け入れるか、受け入れられないかの問題なんです。このおばあちゃんだけでなく、僕ら全員ですよ。膝が痛くない人がいて、膝が痛い自分がいる。人と自分を比べるから、「これは大変だ」となるわけです。

鳥垣 :あれもできない、これもできないと思っちゃいますね。

Kan. :そうです。だけど人生は、人と自分を比べて意味があるのか。人と比べることによって自分はこれが足りない、だからダメなんだということを、いつの間にか自分にインプットした結果ですよ。

鳥垣 :なるほど。この状況を問題だと認識しているのは自分。全部自分が作り出している。

Kan. :そうです。

鳥垣 :お金がないのも、「お金がなかったら悪だ」という刷り込みによって「これは問題だ」と思っている。これが、問題が生み出される仕組みですか。

Kan. :そうです。でもそこで、「お金がないことは悪じゃないですよ」と僕が言ったとします。これは解決ではないんですね。新しい価値観がその人に加わっただけです。人は、「自分が勝手に思い込んでること」と「本当」と思うことのギャップに悩むわけです。だから、「実際に何が問題なの?」というのは、とても大事な問いだと僕は思うんですね。

鳥垣 :「こうあるべき」というインプットがあるから、実際の自分とのギャップで「問題がある」と思ってしまうということなんですね。

Kan. :そうです。まず何が起こっているのかをわかるためには、習ったことでいっぱいの自分ではなく、ただありのままの自分を見つめることができるようになれば、これはゲート(入口)になる。

鳥垣 :じゃあ、そのおばあちゃんみたいに、「膝が痛い」=「問題」というのは自分が作り出したことなのだと自分で気づいた時、膝が痛い状況はプラスでもマイナスでもなくなる。それが重要だと。

Kan. :このおばあちゃんと僕は、7年後に再会するんですね。その時、おばあちゃんは不治の病におかされていました。ところが、このおばあちゃんはケラケラ笑いながら、「私こういう病気になったのよ」と言いました。「これが私の人生に起こることで、友達が増えたり、友達だと思った人がいなくなったり、いいことも悪いことも起こって、この人生、すごく面白いわ」って言ったのです。7年前は膝が痛いと悲嘆に暮れていたその人が、その時、自分の人生をしっかり生きる人になっていましたね。

鳥垣 :刷り込まれたものに気づいて、取りはずして、そのままを見る。それが楽しく生きる秘訣の一つということなんですね。

Kan. :起こってることは、純粋に起こってるわけです。その起こってることを、ただ見ることによって、本当に奥から、その人のオリジナリティによる反応が起こってくるんですよね。そうすると対処できるんです。人は、人生で起こることは自分で対処できる力を持っているということですよね。

問題を解決し続けている間に人生は終わってしまう

鳥垣 :とはいえ、なかなかその力を信じられずに、私たちはノウハウをどこかから取ってきたり、誰かに意見を求めたりして、問題をついつい解決しようとしてしまいます。それはダメなのでしょうか。

Kan. :どこかに解決策がないかを探すことは、もちろん大事なことですよ。けれども、それを求めることが本当に大事なのかということですね。「こういう考え方で生きてみよう」と思ったときに、既にそういう考え方をしてる人との出会いが待っていたり、「こういうふうにしよう」と思ったときに、それを研究されてる人との出会いがあったりします。そういう出会いがあったら、いろんな人のいろんな恩恵をあずかりながら、感謝しながら生きることができると思います。しかし、そういうところにいく前に、いい方法はないかと表面的なことばかりやっても、いつまでたっても悩むことになります。

鳥垣 :いくら問題を解決しても、また新たな問題が出てきます。私たちはいつも目標を掲げてそれを達成する方程式で生きてきました。目標を達成したら、またさらに大きい問題を解決して、さらに課題が見えてきて、永遠にPDCAを回し続けるサイクルにいます。それでは表層的だということですね。

Kan. :そうですね。若いとき、僕も傲慢だったので、ある方のお悩みを片っ端から解決していきました。2年くらいのつき合いだったのかな。月に一度会う感じでね。あるとき、「今日は何か悩み事はありますか」と訊いたら、何もないわけです。そしたらその方は焦ってきちゃってね。北国の人だったので、ふと、こたつに目がいったんですよね。「あ、こたつに目がいった」と僕は思ったんですよ。そしたら、「先生、このこたつが壊れたらどうしよう」。しかも、それは夏だったんですよ。
そのとき僕は、心に深く刻んだことがありました。「ああ、表面的な悩みを解決するのは、してはいけないことだな」と思ったんです。次から次へと解決していくと、悩みがなくなってしまったらどうしようもなくなり、最終的にこたつが壊れることまで想像してしまったのです。その人には、「『どうしよう』と思いたい」というのがあったんですよ。だから人間というのは、問題が起こった、解決した、問題が起こった、解決したと、表面的な解決を延々とし続ければ、本当にそのままで、気がつくと時間があっという間にたってしまいます。

鳥垣 :人生が表層的な問題解決に奔走して終わってしまうというのは、何とも寂しい感じがしますね。

どの国でもどの時代でも通用する生き方を

鳥垣 :この本には、「ただ見る」「味わう」「諦める」ことが、どんな時代でも生き抜けるためのキーワードだと書かれていたんですが、このことについて教えていただけますか。

Kan. :以前から思っていることがあります。それは、どの時代に生まれても、どの国に生まれても、生きていける力はもともと誰にでも備わっているということです。しかし、実際に今、僕らは違う国、違う時代に生まれたら、やっていける自信がない感じがします。僕たちは、今という時代の価値観の中で上手に生きることだけを求めて生きているのではないかと思うんですね。その時代で間に合えばいいですよ。
だけど、こうやって地球で生きるということは、いつ何どき、もう考えられないことが起こらない保証はないでしょう? 前例や経験が役に立たないこと、誰の助けも得られないこと、そういうことに見舞われることが、どんな一生でも、一度や二度や三度、起こると思うんです。そのときに、過去に習ったことを思い出すのではなく、僕らの全員の奥底にあるものに、そっと耳を傾けて、そこにアクセスできる能力、これがあるとないとでは全然違うと思うんです。

鳥垣 :その力にアクセスするのが、ただ見るということ。それがこの本の中に詳しく書かれている。

Kan. :ただ見ることによって我慢してそれをやり過ごすと、それが全部落ちて、全然違う第三のものが降りてくる感覚は、誰もが経験することだと思います。

鳥垣 :それを経験していくと、私たちの本当の潜在能力が発揮されるんですね。

Kan. :そうですね。

未曾有の年に出版する意味

鳥垣 :最後に、この本は、新装版として弊社から出すことになったんですが、そのきっかけについて、編集の水原さんにお伺いできればと思います。

水原 :『問題は解決するな』という本は、ヴォイスさんから2013年に出版されていたのですが、長らく重版されていない様子でした。

鳥垣 :Amazonでも、ちょっと高騰してましたよね。

水原: そうですね。しかし、タオの入門書として大変すばらしいので、ぜひ新しい読者にも届けたいと思いました。それで、フォレスト出版のほうから引き続き出すことになったんです。

鳥垣: しかも今回、この本が前の本よりもバージョンアップしている。

水原 :今回の新装版を作るにあたり、Kan.さんに、改めて第7章の追加をお願いしました。Kan.さんからも、新しい寓話を追加したいというご提案をいただきました。さらにKan.さん直筆の崑崙法による直筆の書もいただき、それも収めてあります。かなりバージョンアップしていると思います。

鳥垣 :すごい豪華版ですね。

水原 :はい。最初の出版からちょうど7、8年たちまして世の中が随分変わったのと、個々人、人それぞれもさまざまな体験をし、人生が変わっていったと思うんですね。その変化に応えるような具体的な内容で1章分が追加されています。ヴォイス版を読んだ方にも、ある意味、人生の答え合わせのように感じられるのではないかなと思います。

Kan. :最初の本は、ちょうど東日本大震災が起こったあとに作り始めたんですよ。あのときも、かなりの価値観を根底から揺さぶられる体験を僕らはしました。そしてまた、新装版を出した2020年というこの年も、世界規模で乗り越えていかなければならないこと(コロナショック)を経験しているわけです。本当に何が起こっても、それを乗り越えていく力を、インプットしたところに求めるのではなく、そぎ落としていくところから見つめてみようという感じですね。

鳥垣 :ありがとうございました。本当に今、ノウハウや、カイゼン、過去のパターンでは太刀打ちできないところにいます。とはいえ、真の解決策を探らなければいけません。最大限の力を発揮するためにどうすればいいのか、普遍的な生き方を紹介している本だと思います。書籍には特典として購入者にしか視聴できないKan.さんの特別インタビュー動画のプレゼントもご用意しておりますので、ぜひ、お手に取っていただければと思います。

▼インタビュー動画はこちら


(フォレスト出版編集部・寺崎翼)

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