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脳科学者がやっている脳の老化防止策を聞いてみた。

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

先日のnote記事で、スパイスが脳機能の活性化にいい影響を与えるという話を紹介しました。

スパイスを意識的に摂取することで脳を活性化する以外にも、普段の日常生活のちょっとした習慣で、脳の老化を防げる――。

そんなアドバイスをする日本における臨床脳波の第一人者がいます。『脳が若返る15の習慣』の著者・飛松省三さんです。


現代人は脳をサボらせている!?

飛松さんは、脳の健康寿命の重要性について、著書で次のように語っています。

 人生100年時代、「健康寿命」というキーワードは、私たちにとって必須なものになりました。
 ただ、健康寿命とひと言で言っても、いわゆる「カラダの健康寿命」ばかりに意識が向きがちで、「脳の健康寿命」について意識している人はそんなに多くないようです。
 でも、よく考えれば誰でもわかることですが、いくら「カラダの健康寿命」を延ばそうと頑張っても、「脳の健康寿命」を延ばさなければ意味がありません。
(中略)
 しかも、現代は、食事、パソコン・スマホ、運動量など、昔に比べて生活環境が大きく変わってきています。それに伴い、脳への負担も変化してきています。
 何か記録するにも、昔ならメモを手書きでとっていたものを、今ならスマホで資料やホワイトボードに書かれているものを写真で記録したり、音声を録音するだけで済みます。
 家事もほとんど全自動化が進んでいます。技術の発展で便利になるにつれて、あまり脳や手を使わなくてもできることが増えています。
 つまり、私たち現代人は、昔の人に比べて、脳をサボらせる機会が増えているとも言えます。
――『脳が若返る15の習慣』より

飛松さんによると、脳は、使わないと(働かせないと)、どんどん退化していき、老化が進むそうです。

ただ、脳を鍛えようと思っても、ジムに行ったところで、カラダは鍛えられても、脳を鍛えることはできないですよね。つまり、ジムではカラダの健康寿命を延ばすことができても、脳の健康寿命を延ばすことはできないわけです。

では、どうすれば脳を鍛えられるのか?

飛松さんは、日常生活の中でちょっとした工夫をするだけで変わると言います。

「利き手」と脳の関係

『脳が若返る15の習慣』では、脳科学者の飛松さんが実際にやっている日常生活の中でできる脳を活性化させる習慣を15本厳選して紹介しているのですが、その中からここでは、「スマホを『非利き手』でいじる」という習慣について取り上げます。

 私たち人間には、利き手というものがあります。子供の頃、「お箸を持つときに持ちやすいほうが利き手」と教えられたかもしれません。
 あなたの利き手は、左右のどちらでしょうか? ちなみに90%の人は、右利きです。
 そもそも、なぜ「利き手」は生まれるのでしょうか?
 利き手の概念は人間特有のもので、犬や猫、あるいはチンパンジーやゴリラなどの類人猿にもありません。
 では、なぜ人間にだけ利き手があるのでしょうか?
 それは、人間の脳と深い関係があります。近年の研究によれば、脳の非対称性に関連があるという説が有力です。つまり、「言語を司る左脳が、文字を書く右手をコントロールすることが多い」ということです。
 自分の意思によって行なわれる運動を「随意運動」といいます。大脳皮質にある運動中枢からの刺激によって、目的に応じた筋肉が収縮し、意味のある運動が引き起こされます。
 随意運動により、手や足(特に手指)に加え、顔の筋肉や眼など身体のさまざまな部分を、自らの意思によって自在に動かすことができるわけです。
 自らの意図する行動の目的を達成するだけでなく、言葉をしゃべったり、表情を表すことによって、社会生活に欠かせないコミュニケーションを生み出せます。
――『脳が若返る15の習慣』より

なるほど。自分の意思によって行なわれる「随意運動」が、我々の行動に深く関係していることがわかります。

「非利き手」を使うと、脳が活性化する

ただ、利き手を使うと、非利き手よりも簡単に運動ができますよね。随意的というよりは、自動的に運動を実行しているかのようです。実はそこに、私たちの脳の老化を防ぐヒントが隠されているようなのです。

 右利きの人が、箸を左手で使おうとするとまるで外国人のようにぎこちない箸使いとなり、自由に使いこなせませんよね。
 非利き手のほうが利き手よりも自動的な運動が少なく、より運動皮質を興奮させ、運動関連領域を活発化させるという私たちの研究結果があります。
(中略)
 つまり、非利き手を使うと、脳の血流量が増えたのです。
「脳を活性化させる」という基本的な考え方として、普段あまり使っていない脳の場所をできるだけ使ってあげることが重要というものがあります。
 非利き手のほうが普段使っていない脳の場所を使うため、より脳が活性化されます。
――『脳が若返る15の習慣』より

たしかに、非利き手を使うと、脳になにかもモヤモヤする感覚がありますよね。あれは、普段使っていない脳の場所に血流が流れているときの感覚なのかもしれません。

あえて非利き手を使うことで、普段あまり使っていない脳の場所を使うことになり、それが結果的に脳の活性化につながるわけですね。この記事の冒頭にも触れた「脳は、使わないと(働かせないと)、どんどん退化していき、老化が進む」という理論とも合致します。

ちなみに、右利きの飛松さんは、普段から左手でスマホの文字入力をするよう心がけているそうです。なぜなら、スマホの文字入力をするだけで、随意運動に関係する回路が活性化されるから。

また、非利き手でスマホの文字入力をする効果は運動野の活性化にとどまらないといいます。

 視覚情報は目から運動前野だけでなく、頭頂葉後部にも伝わります。スマホの簡単操作で、運動野だけでなく、感覚系の活性化も起こるのです。
――『脳が若返る15の習慣』より

まさに一石二鳥ですね。
スマホ操作といえば、若い人がスマホを両手でいとも簡単に操っているのを目にしますが、あれは脳にいい効果はあるのでしょうか?

 あの方法は、随意運動ではなく、一種の自動的運動(脊髄を使ったもの)になっている可能性があります。とすると、脳は意外と活性化されていないのかもしれません。
――『脳が若返る15の習慣』より

なにはともあれ、脳を活性化させたいのであれば、スマホ操作に限らず、非利き手を使ってみることは、脳の活性化には良さそうです。この話を知って以来、私も近くの物を取るときや、自動改札を通る際にICカードをかざすときなど、あえて非利き手を使うように心がけています。

飛松さんは、今回ご紹介した「スマホを『非利き手』でいじる」という習慣以外に、

◎モノは、親指と、人差し指以外の指でつまむ
◎運動のテンポに合わせて、かけ声をかける
◎俳句と川柳で「連想記憶」を鍛える

など、脳の老化を防ぎ、若返らせる習慣を、日常生活の中で行なっているそうです。いずれも「科学的な効果が認められているもの」だけ。ちなみに、「運動のテンポに合わせて、かけ声をかける」という習慣は、飛松さんが携わっているパーキンソン病患者のリハビリ現場からヒントを得たものだそうです。

これを機会に、あなたも脳科学的なエビデンスに基づいた脳が活性化する習慣を取り入れて、脳の健康寿命を延ばす活動をしてみてくださいね。

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