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【中小零細・個人事業主ビジネス】弱者だけができる最強の戦略とは?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
中小零細企業・個人事業主が大手企業に勝つ――。
 
営業力、販促力、宣伝力など、真っ向勝負したところで、大手の人的リソース、資金力を鑑みれば、大手企業に勝つことはなかなか難しいものです。
 
ただ、「弱者だけが勝てる最強の戦略が存在する」と訴える人物がいます。
 
コロナ禍に関係なく着実に利益を出し続けている、超話題の人気商品本格ボロネーゼ専門メーカー「ビゴリ」のオーナーにして、事業創出・業務改革コンサルタントの石川潤治さんです。
 
石川さんは、その最強の戦略は、大手にはできずに中小零細・個人事業主だからこそでき、大手に勝つことができると言います。
 
石川さんの新刊『たった1つの商品で利益を上げる』の中で、弱者が強者に勝てる最強の戦略について詳しく解説しています。今回は、本書の中から該当箇所を一部編集して公開します。

新しい勝ち方=突き抜けるビジネスモデル

 では、これからの時代の新しい勝ち方とは何なのでしょうか?
 私が考えるのは「突き抜けるビジネスモデル」です。
 これを本書では「一点突破」と呼びたいと思います。
 一点突破ですから、商品はたった1つで構いません。そして、そのたった1つの商品は「安かろう悪かろう」ではなく、むしろ客単価を上げられる「高品質な商品」であるべきです。
 商品の利便性や見た目もさることながら、製造方法から徹底してこだわったもの(例えば、食品なら「添加物を使用しない」など)です。QOL(Quality of Life:生きる上での満足度を示す指標)を上げるような、他には絶対に負けないたった1つの商品です。
 私の運営するBIGOLIで言えば「ボロネーゼ」がそれに該当します。
 BIGOLIにはボロネーゼしかありません。2016年に東京・神田にワインバーをオープンした頃から、ボロネーゼだけを売るビジネスモデルを続け、加盟店31店舗(非公開店舗も含む)、ビジネスの規模は3億円にまで盛り上げていくことができました。
「商品が1つしかないと、客層が限られそうで怖い」
 そのような意見もあるかもしれません。
 ですが、複数の商品展開は、かけるべきウェイトの分散が起こって特化することができません。また、最初から複数の商品を作ることは、何かを始めるときには負担が大きくなりますし、エッジが利いたブランドに育てにくい側面があります。
 ある専門的な商品ブランドとして特化し、その後にさまざまな商品展開を行なって今や世界的ブランドになっている例があります。
 皆さんご存じの「ルイ・ヴィトン」です。
 今や世界のトップブランドであるルイ・ヴィトンは、フランスのスーツケース職人・ルイ・ヴィトンが始めた事業です。現在ではさまざまなアイテムが販売され、世界中に展開されていますが、創業当時はビジネスバッグや旅行鞄が主な製品だったことはあまり知られていません。
 ルイ・ヴィトンで有名なのは次の出来事ではないでしょうか?
 皆さんご存じの「タイタニック号沈没事故」です。レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの主演で1997年に「タイタニック」として映画化もされています。
 1912年4月14日から翌日未明にかけて起きたこの沈没事故では、約1500人(諸説あり)の乗員乗客が犠牲になり、当時では世界最悪の海難事故と言われました。
 ただ、その一方で約700人の生存者もいました。彼らが助かった理由の1つとしてルイ・ヴィトンの鞄につかまったから、という説があります。
 ルイ・ヴィトンの旅行鞄は、万が一に備えて完全防水加工で作られており、沈没事故でもプカプカと浮いたため、それにつかまって難を逃れた乗客がいたそうなのです。しかも、回収された鞄を開けてみると中への浸水がなかった(鞄内の荷物が濡れていなかった)、という逸話まで残されています。
 当時、すでにルイ・ヴィトンはセレブから認められるブランドではありましたが、タイタニック号沈没事故によってその知名度が一気に広まった、とも言われています。
 このエピソードには確固たる証拠があるわけではないので断言はできません。ですが、このような逸話があるくらいですから、ルイ・ヴィトンはそれだけ突き抜けたこだわりが強い商品づくりをしていたことは間違いないでしょう。
 あなたがこれから作る商品が何であっても、忘れないでほしいのは、「何がカリスマブランドとして世界に広がるかはわからない」ということです。
 そして、それは同時に、まずは何か1つの商品で突き抜けるビジネスモデルを作ることができれば、誰にでも――もちろん、あなたにもチャンスがある、ということなのです。

「一点突破」は、弱者だけができる最強の戦略

 良い商品・サービスを作り、一点突破で展開していくことを考えるとき、ぜひ参考にしてもらいたい戦略があります。
 それが「弱者の戦略」です。
 これはマーケティング戦略の「ランチェスターの法則」に基づく考え方で、勝つためには「強者」と「弱者」それぞれのやり方が存在する、というものです。
 この法則は、1914年にフレデリック・ランチェスターが、戦争において戦闘員の減少度合いを数理モデルに基づき、自身の著書の中で記載したものですが、現代ではマーケティング戦略に応用されています。
 平たく言ってしまうと、戦略には「一次法則」と「二次法則」が存在し、前者は一騎打ちや近距離白兵戦を前提とした中小企業や個人事業主に有効なもので、後者は一対多数や広域戦を前提とした資本を持つ大手企業に有利なものになります。
 そして、前者を「弱者の戦略」、後者を「強者の戦略」と称しているのです。
 もちろん、私たち小規模事業者が採るべきは「弱者の戦略」です。
 大手企業のように大きな資本や知名度がない中小企業や個人事業主にとっては、たくさんの商品展開で物量作戦を取ったり、大々的なCMや広告を打って一気に新商品の知名度を広げたり、名前だけでライバルを蹴散らしていくような戦い方はできません。
 むしろ、限られた商品で局地的に販売を行ない、できるだけお金のかからないSNSやホームページ(HP)などを使って徐々に知名度を上げ、お客様と一対一でコミュニケーションを取りながらブランドを浸透させるしかないのです。
 そのような戦略を取る際には、商品はできるだけ少ないほうがおすすめです。たった1つの商品、それもとびきり良い商品だけで戦っていくほうが、効率も良く、突破しやすくなるのです(この辺りに関しては後の章でお伝えします)。

3Pや4Cなどのマーケティング理論は後回しにする

 このように書くと、「マーケティングには3Pや4Cとかもあるけど、それはいいのか?」といった疑問が浮かぶと思います。
 初めて聞いた方のために補足しておくと、マーケティングの3Cや4Pとは次のようなものです。
 
◎マーケティングの3C
 ・Company=自社の商品サービス、イメージ。
 ・Customer=自社の商品・サービスを使う顧客(消費者)のニーズ。
 ・Competitor=自社と同じ顧客(消費者)を取り合う競合相手。
 
◎マーケティングの4P
 ・Product=消費者のニーズに応える商品かどうか。
 ・Price=商品価格や製造コストが競合と比べて適正価格かどうか。
 ・Place=流通や販売経路や売る場所は消費者に届きやすいか。
 ・Promotion=どのような訴求で消費者に商品を届けるか。
 
 マーケティング計画における基礎中の基礎の考え方であり、自社の商品・サービス
を消費者に効果的に届けるために立てなければいけない戦略です。
 私は過去に、映画会社に10年ほど勤務していた時代がありました。名前を出せばだれでも知っているような会社です。
 そこで宣伝チームを持ち、部下たちとともにさまざまな映画の宣伝戦略を練っていたので、その際にこれらの3Cや4Pを何度も繰り返し勉強しましたし、常に業務でも活用してきました。
 活用してきたからこそ、一点突破の戦略においてはこれらは〝後回しで良し〞と私は考えています。

売れない時代に売るにはむしろ「弱者の戦略」

 その理由は、そもそもこれらの理論の前提が「モノがたくさん売れる時代」のものだからです。すでに完成された市場があって、そこに新商品を投入する作戦を練るのがこれらの理論と考えているからです。
 本書でお伝えしている内容は、むしろ「売れない時代に新商品をどう売るか」です。
 そして、その方法が一点突破なのです。
 であれば、必要なのはむしろランチェスターの弱者の戦略で、その戦略を突破口としてライバルのいない市場を見つけ、良い商品を投入していきます。
 誤解してほしくないのが、3Cや4Pは決して無意味な理論ではなく、勉強しておいて損はないという点です。
 もし弱者の戦略が奏功し、あなたが新たなマーケットを創ったとします。すると、必ず後発者や模倣者が現われます。その段階になれば競合とのプロモーションの違いなどより精緻な戦略を練るために、4Pなどが役立つことでしょう。つまり、市場を創り始める段階では優先順位が高くないというだけです。

【著者プロフィール】
石川潤治(いしかわ・じゅんじ)

株式会社ジェイ・イシカワ 代表取締役社長。事業創出・業務改革コンサルタント。
1970年大阪府大阪市生まれ。学生時代に30種のアルバ*イトを経験。当時より、起業の夢を抱く。大学時代から起業したり会社員になったりを繰り返し、1999年、PCCW JAPAN(香港・通信事業者)に入社。ブロードバンド事業の創出をする新規事業開発室長を務める。2001年、株式会社ジェイ・イシカワを創業。自身が持つ特許(2002-320045)リース・管理および、事業創出コンサルの道を歩み始める。2002年、ワーナー・ブラザース・ジャパン(米国・映画メジャー)入社。部門のDX化を軸に業務改革を推し進め、クリエイティブシニアマネージャーを務める。2011年、株式会社ワールド(国内・アパレル)入社。業務改革推進本部・物流統括部長を務める。2016年、長年に渡るコンサルティングで軸としてきた「一点突破による売れない時代の売れる戦略」を具現化すべく、ボロネーゼ専門店ブランド「ビゴリ」を立ち上げ。ボロネーゼという単一メニューだけのフランチャイズで30店舗もの加盟店を有し、各大手メディアでも取り上げられる。現在、「中途半端を捨て一点突破」「ファンダムに不況なし」などをモットーに、40社を超えるさまざまな業界のコンサルティングを行なう傍らで、個人の方々に独立や転職を有利に進める実践的手法の勉強会を定期的に開催。社業理念は「スピード、柔軟性、一点突破力を発揮し、小よく大を制す」。

いかがでしたか?
 
この「一点突破戦略」は、飲食店オーナーはもちろん、中小メーカーや個人事業主、各サービス提供者など、多くのビジネスに活かすことができます。大手には決してできない、中小零細だからこそ可能なビジネス戦略の重要エッセンスを徹底解説したのが、新刊『たった1つの商品で利益を上げる』です。全国書店の「ビジネス」「起業・副業」「店舗経営」などのコーナーで絶賛発売中です。興味のある方はチェックしてみてください。

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