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世界一シンプルな問題解決法

フォレスト出版編集部の寺崎です。

人間、生きているとさまざまな問題が起こります。

ビジネス書業界では「人の根源的な悩みは3つ」と言われていて、それが「お金」「健康」「人間関係」です。ベストセラーにはこの3要素のどれかが必ず当てはまります。

個人レベルでの問題もあれば、会社組織の問題、チームレベルの問題など、「問題」はいたるところ、ありとあらゆる場所に地雷のように存在します。

そんな「問題」ですが、みなさんはどのように解決していますか。

個人の健康上の問題はけっこううやむやのまま、先送りしていることが多いのではないでしょうか。たとえどこかに問題があっても、なんとかかんとか生きていけてしまうのが人間です。

ところが、あなたが所属する会社や組織に「目には見えない大きな問題」があったとしたら。しかも、その「問題」の「どこが問題なのかがわからない」状態だとすれば。

「業績が上がらない」「売上が低迷している」「社内の雰囲気が悪い」「やる気のない社員が増えている」「成果が正当に評価されない」などなど、とにかく良くない兆候が見え始めているのに、「どこが問題なのか」がわからない状態です。

これは放置していくと業績悪化、最悪の場合、倒産してしまいます。

そんな「問題」をシンプルな手法で解決するメソッドをまとめた新刊『世界一シンプルな問題解決』(中尾隆一郎・著)が2月19日(土)から発売されます。

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本書では「問題」と「課題」を分けて考え、まず「問題」のなかから「課題」を特定します。そしてそれを「深掘り=解釈」して「問題解決」するのですが、いちばん大事な部分が「問題から真の課題を特定する」部分だと説きます。

「問題」をいったん切り分けて分解して、「課題」を特定するのですが、この分解方法はたった2つしかありません。

超シンプルです。

なので、タイトルは『世界一シンプルな問題解決』としました。

今日はnote読者のみなさまに特別に発売前ですが、本書「はじめに」を公開します。では、どうぞ。

『世界一シンプルな問題解決』はじめに

 この本を書こうと思ったのは、私がこの2年半ほど「特殊な経験」をしていることがきっかけです。そして、その中身が読者のみなさんの課題解決に役立つことに気づいたからです。

 特殊な経験とは、次のような内容です。

◎毎週、大小さまざまな規模・業種・地域の経営者の問題・課題を聞いてアドバイス
◎対象の経営者の人数は50人
◎1人あたり平均3〜5件程度の問題・課題
◎つまり、50人×4件=毎週200件
◎年に換算すると、200件×50週=1万件
◎それを2年半続けているので、累計約2万5000件の問題・課題に対応している

 これはなかなか特殊な経験ではないでしょうか?
 どうしてこのような特殊な経験をしているのかというと、それは私が「中尾塾」という経営者向けの塾をしているからです。
 
 中尾塾には3つの柱があります。

①リーダーから学ぶ:毎月1名リーダーにお越しいただき、経営観を学びます。
②書籍から学ぶ:毎月2冊経営力アップに役立つ本を読んで学びます。
③参加者相互から学ぶ:毎週1回のグループコーチングから学びます。

 
 2万5000件は、この3つめのグループコーチングでの数値です。
 中尾塾参加者52名(2022年2月現在)が4人1組、つまり13チームに分かれて、私とファシリテーターと一緒にグループコーチングを毎週1時間行うのです。
 相手が経営者なので、始業前に実施しています。朝7時~8時と8時~9時の2回。
 ですので、私は毎朝5時起きして心身を整えてから、13チームのグループコーチングに挑んでいます。
 毎朝、週に13時間です。
 毎朝、問題・課題のシャワーを浴びて、アドバイスをし続けているのです。

 そして、これらを通じて、ある重要なポイントに気づいたのです。
 それは、この本で紹介するステップ、すなわち「①現状把握→②解釈→③介入+④感情の保留」を意識、無意識に使っていて、うまく課題解決をしている経営者が多いことです。
 そして、このステップを知らない人も、「①現状把握→②解釈→③介入+④感情の保留」を意識すれば、すぐに使えるようになり、課題解決力が上がるということです。
 つまり、この「①現状把握→②解釈→③介入+④感情の保留」というステップを知れば、容易に課題解決できるようになるということなのです。
 この本では、「①現状把握→②解釈→③介入+④感情の保留」の「理論」に加えて「ケーススタディ」を紹介することで、より使いやすくなるようにしました。
 私のケーススタディも取り上げていますが、中尾塾参加者の事例も3つ掲載しました。しかも、その中身は、通常であれば社外に出てこないようなディープな事例です。
 これらの事例を読むだけでも価値があります。

①ガラパゴス https://www.glpgs.com/
 1つめは、サブスクサービスであるAirDesign の「継続率を高める」という課題解決に取り組んだ事例です。この事例については、上場に向けて着々と事業成長しているガラパゴス社の中平健太社長に話してもらいました。悪い兆しを見つけた中平社長自身が、フォーカス&ディープして課題解決しました。
 その手順をすべて紹介しています。
 顧客の継続率を高める手順は誰もが知りたい話だと思います。
 また、リーダーの率先垂範の事例としても学びが多い事例でもあります。

②コープさっぽろ https://www.sapporo.coop/
 2つめは、人事課題に取り組んだ事例です。最近DXの成功事例としてしばしば取上げられるコープさっぽろです。道西人事部長に話してもらいました。
 北海道全域にサービス提供をし、店舗、宅配を中心に様々な事業をし、子会社も多く、従業員が1万人以上いる事業体です。つまり、かなり複雑な組織なのです。当然、様々な人事課題が入り組んでいます。これも道西さん自身がフォーカス&ディープして、一つ一つ課題を解決していきます。
 そもそも人事課題の解決事例はあまり表に出てこない話です。経営者や管理部門の方々であれば、誰でも知りたい話だと思います。

③Unipos https://www.unipos.co.jp/
 3つめは、集客に取り組んだ事例です。
 先日、社名を主力サービス名「Uユ ニポスnipos」に変更した同社は、BtoB(企業顧客)のウエビナー集客が上手な会社です。
 中尾塾内でも何度も勉強会をしてもらい、大絶賛でした。
 同社のCPO斉藤さんと集客責任者の柳川さんに話してもらいました。この事例も2人がフォーカス&ディープして、一つ一つ課題を解決していきます。集客増加の手順も誰でも知りたい話だと思います。


 どの事例も、かなり詳細まで話をしてくれています。そして、一見全く関係ない3つの事例も課題解決の手順は類似しているのです。
 それが、「①現状把握→②解釈→③介入+④感情の保留」です。
 どのステップも大事なのですが、一見して課題解決に関係なさそうな「④感情の保留」について最後に補足しておきます。
「④感情の保留」とは、喜怒哀楽などの感情が起きるのは仕方がないと捉え、それを保留して感情のままに判断・行動しないということです。
 この「④感情の保留」は、「①現状把握→②解釈→③介入」のすべてのステップにおける大事なポイントです。

 先日、法政大学の前総長で江戸時代の研究家でもある田中優子さんから類似の話を伺いました。江戸時代、武士の師弟は四書五経を学びます。その中の「大学」の教えを学びます。

 まず自分自身を修おさめなさいと説きます。
 そして自分自身を修められたら家が斉ととのう。
 家が斉うと、国(当時だと藩)が治まる。
 そして国も治まると天下も平らかになっていく……と学ぶのです。

 最初の「自分自身を修めること」から、すべてが始まるのです。これが「④感情の保留」です。本文で詳細を紹介していますが、薩長連合やチンギス・ハーンもこの「④感情の保留」に依るところが大きいのです。
 この本は、事例を担当してくれた中平健太さん、道西隆侑さん、斉藤知明さん、柳川小春さんと一緒に楽しく制作しました。
 読者のみなさんの課題解決力アップに貢献できれば、とても嬉しいです。

                           中尾隆一郎

著者の中尾隆一郎さんは6万部を突破したロングセラー『最高の結果を出すKPIマネジメント』をはじめ、『最高の結果を出すKPI実践ノート』『自分で考えて動く社員が育つOJTマネジメント』『最高の成果を生み出す ビジネススキル・プリンシプル』の著者で、リクルート時代から圧倒的な実績を上げながら、問題解決を図ってきた現場のプロフェッショナルです。

中尾隆一郎(なかお・りゅういちろう)
株式会社中尾マネジメント研究所(NMI)代表取締役社長
株式会社旅工房取締役。株式会社LIFULL取締役。株式会社博報堂DYホールディングスフェロー。東京電力フロンティアパートナーズ合同会社投資委員。LiNKX株式会社監査役。
1964年生まれ。大阪府摂津市出身。1989年大阪大学大学院工学研究科修士課程修了。同年、株式会社リクルート入社。2018年まで29年間同社勤務。2019年NMI設立。NMIの業務内容は、①業績向上コンサルティング、②経営者塾(中尾塾)、③経営者メンター、④講演・ワークショップ、⑤書籍執筆・出版。
専門は、事業執行、事業開発、マーケティング、人材採用、組織創り、KPIマネジメント、経営者育成、リーダー育成、OJTマネジメント、G-POPマネジメント、管理会計など。
著書に『最高の結果を出すKPIマネジメント』『最高の結果を出すKPI実践ノート』『自分で考えて動く社員が育つOJTマネジメント』『最高の成果を生み出すビジネススキル・プリンシプル』(フォレスト出版)、『「数字で考える」は武器になる』『1000人のエリートを育てた 爆伸びマネジメント』(かんき出版)など多数。
Business Insider Japan で「自律思考を鍛える」を連載中。
リクルート時代での29年間(1989年~2018年)では、主に住宅、テクノロジー、人材、ダイバーシティ、研究領域に従事。リクルートテクノロジーズ代表取締役社長、リクルート住まいカンパニー執行役員、リクルートワークス研究所副所長などを歴任。住宅領域の新規事業であるスーモカウンター推進室室長時代に、6年間で売上を30倍、店舗数12倍、従業員数を5倍にした立役者。リクルートテクノロジーズ社長時代は、リクルートが掲げた「ITで勝つ」を、優秀なIT人材の大量採用、早期活躍、低離職により実現。約11年間、リクルートグループの社内勉強会において「KPI」「数字の読み方」の講師を担当、人気講座となる。

具体的な問題解決メソッドはまた改めてこちらのnoteでご紹介します!

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