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短い夏休みに、治験にのぞむつもりで実践してほしい勉強法――まえがき全文公開

本日から夏休みという学校は多いかもしれません。しかし、新型コロナの自粛機関の影響で、今年の夏休みは例年に比べてかなり短くなったそうです。一緒に本を企画しているある大学の先生に聞いたところ、やはり大学の夏休みも短くなっている様子。

2020年夏休みの期間はいつからいつまで? 小学校・中学校・高校・大学・幼稚園(日本文化研究ブログ)

宮城県は11日間、沖縄県に至っては10日間らしく、カリキュラムの遅れを取り戻すためには仕方ないとはいえ、さすがに不憫です。
とくに受験生にとって、「夏休みを制する者は、受験を制す」といわれるくらいに長期間自由に使える夏休みは重要です。この期間にこれまでの総復習、苦手分野の克服、そして受験対策を行うわけですが、今年のように短いとなると、やれることは限られてしまうでしょう。
しかし、こんな状況だからこそ、ご紹介したい勉強法があります。それが、先週のnoteでも記事にした『聞いたら忘れない勉強法』で解説している「速聴勉強法」です。


「速聴勉強法」のメソッドをざっくりいうと、覚えたい要素をノートにまとめ、その内容をレコーディングし、3倍速で繰り返し聞くだけというもの。それぞれのステップにおいて大切なコツが存在するものの、用意するのはノートとペン、そしてスマホ1台あればOK。誰もが試せるものです。特に復習に使う場合は、圧倒的な記憶効率と時間の短縮が期待できます。
速聴勉強法を開発した現役医師であり、著者の黒澤孟司先生は、受験生時代に艱難辛苦を味わいつづけましたが、「速聴勉強法」のおかげで突破口を開いたといいます。
そして「速聴勉強法」を「持たざる者の武器」として、「実害ゼロの治験にのぞむつもりで試してほしい」と訴えます。
以下は、そんな黒澤先生の現役受験生に対する熱い思いが込められた『聞いたら忘れない勉強法』の「まえがき」です。「速聴勉強法」に興味を持った方は、ぜひ挑戦してみてください。

まえがき 実害ゼロの治験にのぞむつもりで

 本書では、なかなか結果を出せずに悩んでいる社会人や学生に向けて、まったく新しい勉強法――速聴勉強法を提案します。
 これは、私が医学部受験、医師国家試験を乗り越えるために開発し、現在も実践している勉強法です。

持たざる者の勉強法
 私は現在、専門医として病院に勤務しています。
 しかし、医学部に合格するまでは、正確にいえば速聴勉強法に取り組むまでは、辛酸をなめ続けました。
 高校生時代、英語の成績は常にトップクラスでした。一方、数学の偏差値が40と極端に低かったために、医学部受験は失敗の連続、多浪していたのです。そんな地獄のような環境の中で、速聴勉強法を取り入れたことにより一気に偏差値が75までアップ、国立大学医学部、医師国家試験合格を経て、現在に至ります。
 浪人生時代は、つねに生まれ持った才能、さらに経済格差と、それによって生まれているであろうエリートたちとの教育格差に不満を持っていました。
 SAPIX(超難関校向けの中学受験塾)や鉄緑会(東大や難関大医学部合格を絶対目標とした大学受験塾。中学1年生から大学受験対策をはじめる。有名中高一貫校に通う生徒は無試験で入塾できるが、それ以外の生徒は学力がないと入塾できない)に通った同級生ばかりが、現役で難関校や難関大学医学部に合格します。高度な教育をお金で買い、それを独占し、持たざる者との差をさらに広げ、成績をどんどん上げていく……。
 そんな特権的な上昇スパイラルに乗るかれらを恨めしく見ながら、一体どんな勉強をしているのだろう、何を隠し持っているのだろうと、ずっと歯痒く感じたものです。
 そして苦節数年、大きく回り道をしたものの、本書で解説する速聴勉強法を駆使して、ようやく国立大学医学部合格を手にし、彼らがいる側に自分も立つことができるようになりました。
 ただし、私の勉強法は、間違いなくSAPIXや鉄緑会のそれとは、似ても似つかないものでしょう。まったく別の方法、ルートを使ったのです。
 かれらの教育が、経済力がなければ手に入れられないものであるならば、私は過去の自分のような持たざる者たちに向けて、すべてをさらけ出したいと考えました。
 そこではじめたのが、速聴勉強法を解説するブログです。専門医になってからも、そして今も書き続けています。ブログ開始から10年以上の歳月が流れました。
 お金持ちやエリートだけが手にできるものではなく、平等に誰にでも開かれた勉強法を伝えたいという信念で続けています。
 ただし、私は文章を書くことがあまり得意ではなく、かつ衝動的に書き散らすこともあり、「読みにくい」「読む気になれない」という率直な感想を多数いただいております。また、医学に偏った事例が多く、一般の人にはとっつきにくい内容だと反省しています。
 しかし、こうして書籍の形にする機会に恵まれたことで、速聴勉強法の骨格となる部分を抽出し、推敲を重ねながら体系的にまとめることができました。

論より証拠、まずは実践
 私は医師として臨床現場に立ちつつ、医学における統計学を勉強しています。第一著者(ファーストオーサー、共著者の中で最も責任がある人)や多施設共同研究の責任著者として論文を書いたり、文部科学省から科研費を受けて生物学の基礎研究もしています。
 そうしたアカデミックな立場から見ると、残念ながら本書は「査読」されているとはいえません(査読というのはアカデミックな専門家2名以上が、正しいことを書いているか、捏造がないかをチェックするシステムです)。
 本書のファクトチェックはあくまで編集者、監修者、校正者ですが、すべてのエビデンスが確認されているわけではありません。
 ただ、安心していただきたいのは、論より証拠で、実践すればすぐに効果が実感できるのが、この速聴勉強法の特長なのです。
 今、この本を立ち読みしている「あなた」の目の前には、本書によって成績が「上がる」か「上がらない」かという、2つの可能性しかありません。だったら、上がるほうに賭けて、「えいや!」とはじめてみてください。
 初期投資費用は本書だけです。実害ゼロの治験みたいなものです。
 スマホやタブレット端末が普及し、録音と速聴再生する環境が誰にでも存在する時代になりました。本書ではスマホではなく、ボイスレコーダーを推奨していますが、ビギナーはスマホで十分です。

医師が勉強法の本を書いた理由
 私はこの勉強法の本で有名になろう、儲けてやろうという気がまったくありません。大学病院で疾患の新しい治療法の開発のための研究や、医師の卵を教育する側の人間になりたいと考えているので、本業にまったく関係のない本書を書くことに、職業的なメリットはありません。
 ただ、過去の自分のように苦しみもがいている人の勉強の悩みを解消したり、経済的な事情によって高等教育をあきらめかけている人たちに新しい可能性を示し、少しでも社会に貢献することを、この本の最大の目標としています。
 これは、医療の社会インフラを支えたいと考える医師としての私の思いと通底するものです。医師が勉強法の本を書いた理由はそこにあるのです。

 ここで、浪人時代に私に大きな影響を与え、心の支えになったポエムを引用し、紹介します。

 私はこの世を旅しているが
 それは一回限りの旅だから、
 私はできる限りのいいことをしたいのです
 できる限りの親切をしたいのです
 たとえそれが誰であっても私にさせてください
 どうぞそれを断らないで
 二度と私はこの道を通らないのだから……
――作者不詳(佐藤富雄『あなたが変わる口ぐせの魔術』かんき出版)

 まさに私の意図するところはこの詩に表れています。
 どうかみなさんの人生を楽しくする手伝いを、私にさせてください。
 私が学んで得たものを、社会に還元し、それによって多くの人たちの勉強の悩みが解決されることを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。以上、フォレスト出版の石黒でした。

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