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なぜ、多様性のある企業のほうが業績がいいのか?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

これまで2回にわたり、働き方の多様性についての記事をご紹介しました。

今日はシンプルに「なぜ、多様性を認める企業が優位なのか」について、同じく中尾隆一郎さんの新刊『現場が動くマネジメント』からひともといてみます。

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企業の多様性を
資本市場が評価する時代
――マッキンゼーのレポートから分析

 働き方の多様性を高めることで、さまざまな人材の多様性を高めることができるようになります。そして、そのことが企業の業績に貢献することが明らかとなってきています。これは企業にとってとてもポジティブな話です。
 2015年に発表されたマッキンゼーの報告書によると、多様な人材を抱える企業ほど業績がよいことが報告されています。
 具体的には、ジェンダー・ダイバーシティ(ジェンダーの多様性)について、最上位4分の1の企業群の方が最下位4分の1の企業群よりも業績が15ポイント高く、同じくエスニック・ダイバーシティ(国籍の多様性)についても、上位4分の1の企業群の方が最下位4分の1の企業群よりも35ポイント高くなっています。

中尾隆一郎『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』(フォレスト出版)より

なぜ、多様性が業績に直結するのか?

 この現象が生じる理由は、次のように説明ができます。

❶アイデアや視点の多様性
 多様な人材を抱える企業は、異なるバックグラウンドを持つ人々が集まることで、さまざまなアイデアや視点が交わることができます。
 より優れたビジネス戦略や商品開発が可能になり、その結果、市場から高い評価を得ることができます。
 当然、より高い業績を上げる可能性が高まります。

❷社会的責任による市場の評価
 また、多様性が高い企業は、社会的責任を果たすことができるという点でも評価されます。
 近年、企業の社会的責任に対する注目度が高まっています。
 特に、女性やマイノリティなど、従来は社会的弱者とされていたグループに対して、企業が積極的に取り組むことが求められています。
 多様性が高い企業は、このような社会的責任を果たしているため、市場から高い評価を得ることができるのです。
 それがブランド価値を高め、より高い業績を上げる可能性が高まります。

❸人材確保の優位性
 さらに、多様性が高い企業は、人材確保にも優位になります。
 多様性が高い企業は、他社が採用対象としない多様な人たちが活躍できます。他社が採用ターゲットにしていないので、優秀な人材を採用しやすく、人材獲得競争に勝つことができます。

 最後に、従業員が多様性を重視する傾向が強まっていることも、多様性が高い企業にとって有利です。
 従業員が多様性を重視する理由としては、自分自身が尊重される感覚や、異なる文化やバックグラウンドから学ぶことができるというメリットが挙げられます。そのため、多様性が高い企業は、人材の採用や定着においても優位性を持っています。
 その結果、高い業績を上げられる可能性が高まるのです。

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イノベーションを生み出すのは「若者・バカ者・よそ者」という言い方がよくされますが、同質性の高い人材だけで凝り固まった組織より、さまざまな毛色の人がいる組織のほうが、体感的にも今の変化の時代に強そうな気がします。

この「多様性とイノベーション」というテーマにおいては、さらに「D&I」という考え方がポイントとなってきます。

それについては来週月曜日の記事で改めてご紹介します。

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