【2022年】出版業界の重大(と思った)ニュース【上半期編】
フォレスト出版編集部の寺崎です。
先日、Voicyのハッシュタグ企画で「重大ニュース2022」というのがあったので、Voicyの「フォレスト出版チャンネル」で、ざっくりフリートークしました。
例のごとく、とくにたいしたことは話していないのですが・・・汗、どんな重大ニュースを取り上げたのか、ここで補足記事をまとめたいと思います。
出版社4社、2月から文庫用紙を共通化
最近は「文庫が売れない」と叫ばれています。
そんななか、「生産効率の改善」「在庫リスクの軽減」「安定的な資材確保」「調達価格の安定」を目指して、会社の垣根を超えた4社が本文用紙を共通化したというニュース。
資源価格が高騰する昨今の時代背景かと思いきや、出版社間で協議し始めたのは2019年3月とのことで、3年がかりで実現させた施策だそうです。
資源価格が高騰している今、こうした動きは増えそうです。
日販、DNP、PHP研究所、PODを活用した製造・流通スキームで成果
PODとは「Print on Demand」の略。要は受注生産のことです。
これまでは「うーん、この新刊は初版1万部だー!」と勝負かけてコケたり、「まあ、初版5000部かな」とスモールスタートしたら思いのほか初速がよくて、あわてて重版かける・・・なんてことが日常茶飯事なわけですが、PODとなると景色がガラリと変わります。
注文数に応じて部数を生産すればいいので、売り損じもなくなります。
PODという仕組みそのものは昔からありましたが、ここ1~2年注目を浴びているのは、その技術が向上したからでしょうか。実際にAmazonで絶版書籍のPODを購入したことがありますが、「絶版なのにこうして普通に読めるなんてすばらしい」と感じました。
日本出版販売、大日本印刷、PHP研究所の3社の取り組みの詳しい情報はこちら。
メディアドゥ決算、売上・利益が過去最高に 5年後には売上1500億円目指す
メディアドゥはいわゆる電子書籍の取次です。
メディアドゥの決算が毎年ニュースになりますが、たしか毎年右肩上がりではなかったでしょうか?
書店の閉店ニュースがほぼ毎週耳に入るなか、なかなか象徴的です。
トーハンとメディアドゥ、店頭で電子書籍を販売する実証実験開始
4月1日から9月30日まで行われた実証実験ですが、結果はどうだったのか、気になります。
実験店舗は八重洲ブックセンター本店、ブックファースト新宿店、同中野店の3店舗。
でも、これってどうなんでしょうか。わざわざリアル書店で電子書籍を買うのかな・・・と素朴な疑問がわきます。
ですが、トーハンさん、メディアドゥさんの意欲的な取り組みとして応援したいところです!
メディアドゥ、出版物以外にNFT付商材を拡大
これまた、メディアドゥの話題です。今年、出版業界でも踊り出てきたのが「NFT」でした。
NFTに関しては今年はなかなか話題花盛りで、漫画をNFT化したこんなケースもあるようです。
NFTに関しては2023年も新たな動きがありそうですね。フォレスト出版でも水面下でいろいろ考えているところです。
国立国会図書館、「個人向けデジタル化資料送信サービス」開始
個人的にいちばん「マヂか!」と思ったのが、このニュースです。
「昨年5月の著作権法改正で個人ヘの資料送信が可能になった」というのも、知らなかったなー、と。
かつて、国立国会図書館で情報を得ようと思うと、書籍館と雑誌館が離れたところにあって、ものすごい延々としたループで丸1日潰れたものです。
【昭和の国立国会図書館の過ごし方】
書籍館で閲覧したい書籍を申し込む→出てくるのを待つ間に雑誌館へ移動→雑誌館で閲覧したい雑誌を申し込む→出てくるのを待つ間に書籍館へ移動→出てきた書籍のコピー依頼する→コピー出力が出てくるのを待つ間に雑誌館へ移動→出てきた雑誌のコピー依頼する→・・・いつ終わるんじゃい!
この延々ループがなくなる。いや、そもそも国立国会図書館に行かなくても情報が取れるんです。これって、すごい。
小学館、オーディオブック市場に本格参入
いやー、このニュース、一般の方々にとっては「こんなことがニュースになるの?」と驚きかと思いますが、出版業界では「オーディオブックがアツいらしい」というのが、コロナ以降のもっぱらの話題でして。
小学館のような大手が本格参入というニュースは、業界的にはニュースなわけです。
このニュースには裏メッセージが読み取れます。
それは・・・オーディブルに依存しない、自社制作による著作権の自社管理という側面です。
通常、Amazonのオーディブルに出荷する場合、Amazonサイドがオーディオブックを制作しますが、その代わりAudibleでしか販売できません。しかし、自社制作の場合は自社で販売できる旨味があり、いま業界的にホットなのはこちらの動きだったりします。
以上、2022年上半期の出版業界重大ニュースでした。
下半期はまた改めて。
※ここで言う「重大」はきわめて恣意的です。もっと重大なニュースがあるかもしれません。重大かどうかのご判断はお任せいたします。
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