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「会議が長い!」のイライラを解消する

「生産性を高めなさい」

これは全ビジネスパーソンの課題です。

日本の労働生産性は主要先進国中で最下位です。

2019年に発表された公益財団法人日本生産性本部による「労働生産性の国際比較2019」調査によれば、日本における1時間あたりの労働生産性は、OECD加盟国の36か国中21位。

主要先進7か国(G7)の中では、1970年以降、約50年間にわたって最下位の状況が続いています。

ヤバいですね。

で、そもそも「生産性」ってなんぞやと思い、調べてみました。

生産性(せいさんせい、Productivity)とは、経済学で生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度、あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度のことを指す。
(wikipediaより)

うーーーーーーーーーん、マンダム。
よくわかりません。

生産性はより少ない労力と投入物(インプット)でより多くの価値(アウトプット)を産みたいという人間の考えから生まれてきた概念である。リソースとリターンの関係性とも理解される。

生産性=アウトプット÷インプット

より少ないインプットからより多いアウトプットが得られるほど、より生産性が高いという関係にあることがわかる。生産性が高い方法は、生産性が低い方法よりも、より少ないコストで生産ができたり、労働の余暇をふやせたり、利益を沢山上げたりできる。仕組みにも因るが、より多くのアウトプット(付加価値)を実現できる。
(wikipediaより)

あ、なるほど。なんとなくわかってきました。

テコの原理でレバレッジを効かせて、なるべく少ない労力で少しでも大きな結果を出す。

なるほど、こういう考え方になじみにくいのが日本人かもしれません。竹やりで鬼畜米英を叫ぶ、布製マスクを国民に配ってイキる、旧態依然としたシステムで動くお役所など、いかにも「生産性?そんなもん知るかボケ」なことがまかり通るのがニッポンというお国柄です。

かつて、作家の村上龍さんがサッカー日本代表が世界の強豪に肩を並べられないのは「フィジカルの差もさることながら、いかにして速くゴールに達するかという”思想”が日本人のなかに徹底的に欠落していることがその原因だ」といった発言をしていたのが思い出されます。

でも、それでは相変わらず主要先進国の万年最下位の生産性貧民国の一員に甘んじることになりますので、note読者のみなさまは一歩抜きんでて、QOL(Quality of Life)をグッと高めることをオススメいたします。

そこで、ビジネスにおいて生産性を高める方策を『最高の成果を生み出す ビジネススキル・プリンシプル』(中尾隆一郎・著)からご紹介したい。

「会議の時間がムダに長い」をどう解決するか

「会議の時間がいつも長い」
「○○会議に××会議と、やたらに会議の数が多い」

こんなことにお悩みのあなたには「会議の事前審議制」の導入をおすすめします。これ、われわれ編集部でも最初の緊急事態宣言のときに(リアルで会議することができないため、やむなく)営業部との企画会議に導入して、いまや会議の時間が当初より3分の1から半分になり、めちゃくちゃ生産性が上がりました。

 会議の生産性を高めることについては、様々な本やノウハウが巷にあります。
 基本的なポイントとして「単位時間を1時間から30分や15分にする」「参加者を絞る」などがあります。時間や参加者を減らすことでROIのIを小さくする効果が見込まれます。
 次のポイントとしては、「アジェンダを作る」「タイムテーブルを作る」「議題を分類する(例えば『決議』『議論』『報告』『発散』に分ける)」などがあります。さらに、これらを資料とともに事前に会議参加者と共有しておくことは、とても有効です。
 あるいは資料そのものを改良することも有効です。例えば、できるだけ枚数を減らす。あるいは「サマリーシート」を作ることで参加者の資料への理解の時間を減らすことができます。会議の参加者が、会議前に議題の種別を理解し、資料を一読しておけば、会議は効率的に運営できます。なぜならば、会議時間の中で一番時間がかかる「資料の説明」と「内容の理解」の時間を減少させ、より重要な「意見交換」「議論」にシフトできるからです。
 これらを実行するだけでもROIのIを小さくする効果が見込まれます。

本書では生産性を向上する視点として「ROI」という投資の考え方を用います。どういうことか詳しくみてみましょう。

 仕事で成果を上げるための重要なポイントの1つとして「時間の使い方」が挙げられます。高い成果を上げ続けているビジネスリーダーは例外なく「時間の使い方」が上手です。逆に成果を上げられない人は例外なく「時間の使い方」が下手です。
 そしてこの時間の使い方の上手、下手というのは、仕事のROIの高さ、低さに強い相関があります。
 ROIはReturn On Investmentの頭文字を略した言葉です。日本語では投資対効果といい、アール・オー・アイと読みます。Return On Investment という言葉が表している通りReturn(効果)がInvestment(投資)の上にある、つまり分数を表しています。
 R÷I=ROIということです。
 例えば、100円投資したらいくら戻ってくるのか?
 これがROIです。値が大きければ大きいほど投資対効果が高いので、効果的だということです。逆に小さければ小さいほど、投資対効果が低いということ。
 投資が100円で効果が100円未満、例えば効果が90円だとするとROI=0.9になります。100円投資すると90円返ってくるので10円損をします。直観的に分かると思うのですが、投資したお金が減るので、投資したくないですよね。
 これはお金に限らず、時間であっても同様の考え方ができます。
 通常1時間でできる仕事量があるとします。同じ1時間で想定している仕事量の2倍(2÷1)できる人は、ROIは2。一方、同じ1時間で半分の仕事量しかできない人のROIは0.5(1÷2)と表現できます。同じ1時間の時給を支払うのであれば、当然ROIが1以上の人に仕事を頼みたくなります。
 ROIの値が大きい=投資対効果が大きい=仕事ができることを示しています。どうすればROIを大きくできるでしょうか? ROIは分数です。
 ROIを大きくするには、Rを大きくするか、Iを小さくするか、そして両方を実行するかという3通りの方法があります。

なるほど、シンプルな考え方です。

さて、冒頭の「長い会議をどうにかしたい」の話に戻りましょう。

「事前審議」の導入で会議はいかに変化するか?

 各議題に対しての「意見」「質問」「賛成・反対」などを参加者が事前に態度表明しておくと、さらに会議当日のROIが高まります。この仕組みを「事前審議」といいます。
 事前に参加者の意見が分かるので、起案者は事前に参加者の「意見」「質問」に対しての準備ができます。全員が「賛成」の議題は確認だけ行えば済むようになります。ここまでくれば大幅に生産性が高くなります。
 私は過去15年くらい、配下の組織で、ずっとこの事前審議の仕組みを導入していました。リクルートのいくつかの組織はTTP*してくれていました。
 リクルートだけで成立するのかどうかを実証するために、Fringe81社の松島COOが議長をしている同社のボード会議にも導入してみました。ツールはOneteam社の佐々木CEOに協力いただき、同社のソフトウェアOneteamに「事前審議」の仕組みを追加開発してもらいました。事前審議に加えOneteamというツールを導入した結果、会議のROIは抜群でした。
 Oneteamというアプリを活用したので、誰がいつ事前審議をしたのかが分かります。当日の会議で意見を変えた人(ある意味ディスカッションで態度変容できる柔軟な人)も分かるように運用設計してもらいました。意見の量や、賛成・反対の割合も明確に分かります。結果、誰と誰の意見が類似しているのか、誰が積極的に議論を引っ張っているのかが見える化できました。

*「徹底的にパクる」の意味

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フォレスト出版の編集部と営業部が導入した「事前審議制の会議」はここまでシステマチックなものではありませんが、こんな感じです。

①事前に企画書を営業部に提出して、各営業マンがそれぞれの企画に対するコメント(反対・賛成)をスプレッドシートに書き込む
②スプレッドシートを編集部に共有する
③会議当日は担当編集者が各営業マンのコメントを受けて発言する

以前は会議当日に各営業マンがひとりひとりコメントして、それに対していちいち編集者がリアルタイムで応えるというスタイルだったので、とんでもなく時間がかかっていました。

「時間をかければ、企画がよりよく練れる」

そんな風に考えていた節もあった気がします。
いや、そう思っていました。はい。

でも、それはとんだ誤解でした。

むしろ、以前と同様の結果を、より最短距離で得られる事前審議制の会議のほうが生産性はめちゃめちゃ高いと実感しています。

なので、事前審議制の会議は激しくおすすめします。

※ただし、ブレーンストーンミング、アイデア出し会議、タイトル会議のような「議論」「衝突」「拡散」による化学反応の結果を期待した会議には事前審議は向きません。

事前審議システムを次世代幹部の選定に応用する

この事前審議のシステムを人事に活用する方法もあるそうです。

 驚くことに、会議のこれらのデータを参考に次の幹部選定ができるようになりました。つまり、会議の前後の活動ログを分析することで、次の幹部人材の選定までできたのです。
 これはROIのRが信じられないくらい高い結果だと思います。
 日本企業は、従来から新卒採用した人材に対して長期間の選抜を行い、幹部選定してきました。様々な場面の行動や成果をもとに幹部を選別してきたわけです。
 ところが、グローバル化が進み、海外企業のM&Aなども進んでいます。日本市場の売上が大きく、その伸びが大きい間は、従来の方法で選抜すればよいでしょう。しかし、海外の方がより重要なエリアになったときには、日本人だけが幹部である必然性は下がっていきます。その際に、新たな選抜方法が必要なのです。
 会議での状況を見える化することで、幹部選抜ができる可能性があるというのは、とてもユニークな情報だと思います。次世代の幹部を選ぶ情報が得られるとするならば、ROIのRはとても高くなりますね。

こうした事前審議制の会議にITを活用した事例については、著者の中尾さんが書いたこちらの記事が参考になるかもしれません。

ちなみに、日本の企業の生産性が低い潜在的な理由として(これはほとんど誰も指摘していませんが)「要職(経営層)に女性がほとんどいないこと」があると、個人的にはみています。

仕事とは別に「家庭」に割くべき時間が必然的にある人はめちゃくちゃ生産性向上に努めるはずです。日々、とにかく時間がないから。万人に等しく与えられた24時間のうち、仕事に使う時間とは別に「家庭に充てる時間」が必要だからやりくりが大変です。

一方、家庭を顧みず、1日24時間たっぷり残業し放題、仕事帰りに飲み放題・・・という昭和なタイプ(オールドスクールな私からしたらサイコー!なんですけどね…)は生産性向上を図る機会がなかなか持てません。1日24時間が使い放題なので。

これは本来的かつ形而上学的には男女の性別における差異はないはずですが、現状では「男が働いて、女が家を守る」という旧来の発想が生産性向上を阻んでいる。そう捉えることもあながち間違っていないと思っています。

というわけで、最後は少し話が逸れましたが、今日は「会議の生産性を上げる方法」についてご紹介しました。

こうしたビジネスパーソンの「生産性向上」のあらゆる秘策をまとめたのが『最高の成果を生み出す ビジネススキル・プリンシプル』(中尾隆一郎・著)です。

ぜひ、ご一読いただければ幸いです。

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(フォレスト出版編集部・寺崎翼)

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