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【フォレスト出版チャンネル#119】ゲスト/編集者|フリーすぎる編集者Tさんの破天荒半生(後編)
このnoteは2021年4月29日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。
転職回数を本人が覚えてないほどのジョブホッパー
今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティーを務める今井佐和です。本日は昨日に引き続き「フリーすぎる編集者Tさんの破天荒半生」というテーマで、フリー編集者の塚越雅之さんをゲストに、編集部の寺崎さんとともにお届けしてまいります。昨日の話では、マガジンハウスの営業を経て、編集者として角川書店、日経BPと渡り歩いて、一旦体調を崩されて暗黒の時代を経て、最後にハワイで悠々自適なゴーストライター生活と、ここまでもかなり波乱万丈なんですけども。
塚越:そうですよね。だから、塚越さんは本当は何社転職したのかっていうのは本人が覚えてられないぐらいのジョブホッパーなんですよね。
塚越:そうなんですよ。覚えてないんです。街を歩いていて、これ見たことある光景だなと思うと、「あ、ここの会社に行ってたっけ」って思い出すくらい。
寺崎:(笑)
塚越:もう山手線をだいたい巡回したから、下町からおしゃれエリアまで。
寺崎:昨日の話の最後が川西さんと、ゴーストライターですよね。その後、どういうところで働いて来たのか、ちょっと教えてもらえますか?
塚越:はい。なんでか忘れたんですけど、虎ノ門にISOってあるじゃないですか、国際規格のISO、9000いくつとか14000いくつとか。ああいうISOの専門の出版社に入ったんですよ。理由は忘れました。でも、それが後々にまた次の仕事へと繋がっていくモノになったんですけど。
寺崎:ISOの本、この間つくってたよね?
塚越:うん。だから、色んなところでISOが活きているんですよ。
寺崎:なるほどー。
塚越:だけど、そんなこと考えてないですよ。狙ってないですよ。
寺崎:そうだろうね。
塚越:単にポッと入って、ISOやってたら急に「やっぱり俺ってコピーライターの方が向いているんじゃないか?」って思って、東急系広告を扱っている広告制作会社でコピーライターやって、東急の不動産関係のコピーライターになったんですよ。
寺崎:あー、あのわざとらしいコピーでしょ?
塚越:「大邸宅に住まう」とか。
塚越・寺崎:(笑)
寺崎:「今ここに住む意味」とか。
塚越:そうそう。「借景に臨む」とかさ、そういう雄大なやつ。それから、なぜかまた編集者をやりたくなって、寺崎さんの会社に入ったんですよ。
寺崎:私が前にいた秀和システムという会社ですよね。そこで出会うわけですよ。
塚越:そう。なんか浮いている人がいるなと思ったら、それが寺崎さんだったんですよ。
今井:(笑)。
塚越:それで僕はすぐに嗅覚で感じて、寺崎さんの方に行って、「なんか金儲けしようよ」って冗談でよく言ってたんですよ。
寺崎:会社自体がちょっと変わった感じのちょっと変な会社だったからね。
塚越:で、寺崎さんとも色々と企画を飲みながら話していたんだけど、急に秀和システムもフェードアウトして、ISOの経験からある大手のコンビニ会社のCSR部に入り込んじゃったんですよ。そこでCSRレポートとかをちょっと手伝ったりしたんですよ。で、「ここで、もう俺、終わるのかな。ここで定年まで働くのかな」と思ったら、急に嫌になっちゃって、そこから通販の会社に行って、今で言うところのネットワークビジネスみたいなことをやってみたり。そのうちに僕も40過ぎてたから、仕事がどんどんなくなって、最後は携帯工場。
寺崎:やってたね。工場ね。
塚越:携帯工場は某大手電機メーカーの工場なんですけど、俺は33番って呼ばれてたんですよ。
寺崎:おー(笑)。名前で呼ばれないんだ。
塚越:うん。角川春樹さんが獄中で、自分のことを番号で言われたって歌を歌ってますけど、それと同じ。共感した。
寺崎:携帯工場ってそうなんだ。刑務所と一緒なんだ。
塚越:上の方から窓でお姉さんに「33番、手が止まってる」って言われたんですよ。
寺崎:うわー。えぐいな。
塚越:ふざけんなって言って、脱走して。それでもう行き場がいよいよ40も過ぎるとなくなっちゃって、最後は保育園。保育園の門を叩いたんですよ。保育園は保母さんがトレパン履いて、グーチョキパーとかやっていて、優しそうなイメージがあったから、俺みたいな負け組のやつでも拾ってくれるかなと思って、「補助やらせてください」って行ったら、「いいよ」って言うから、オムツとかおやつとか、色々そういう赤ちゃんの世話をしてしばらく過ごしたんですよ。でもさすがに50近くなって、資格もないのにオムツ取り替えて、どんなもんだろうと思って、また転職しようと思ったら、今度はたまたま運良く、グローバルな会社に就職できたんですよね。
寺崎:あれ、すごかったよね。もう世界的グローバルカンパニーじゃん。その日本支社。
塚越:まあ、そうだね。日本のボランチみたいなもんですよね。
寺崎:ちょっと社名は伏せますけど、グローバルカンパニーと言えばで、必ず出てくる会社ですよ。それの日本支社。経歴は途中の保育補助とか、携帯工場とか伏せてたわけでしょ?
塚越:いや、書けないさ。
寺崎:(笑)。
塚越:それがばれちゃうと怒られちゃうんですけど、まあ、もう時効だからね。
寺崎:だから、輝かしい経歴だけを残して転職したわけでしょう。
塚越:毎度毎度、途中をちょっと割愛してね。
寺崎:ちなみに、佐和ちゃん、ここまでが塚越さんの転職の経歴の社名の全てなんですけど、これは本当は主なものだけなんですよ。
今井:ええ!これが全てじゃないんですか?
寺崎:違うの。もう本人が覚え切れないくらいの社名があるの。
今井:すごいですね。しかもアルバイトとかじゃなくて、一応ちゃんと入ってっていうことなんですよね?
塚越:主にね。だけど、3カ月見習いみたいな時に消えちゃったりとかして。
今井:(笑)。
寺崎:ところで塚越さんって、結局全部で何社を渡り歩いたの?
塚越:まあ、30個ぐらいじゃないかなぁ?
寺崎:え。30?
塚越:もっとかもしれないけど、覚えてない。
寺崎:覚えてない?
塚越:うん。
寺崎:なるほど。塚越さんを知る共通の知り合いと話したことがあったのが、もう何十社も転職してるってことは、何十社の面接に合格してるってことだから、これってすごいよねってことを話して。
今井:確かにそうですね。
膨大な転職経験を元手に電子書籍を出版
寺崎:そんなご自身の経験を基に電子書籍を出してるじゃないですか?
塚越:はい。
寺崎:「たつろう」という名義で3冊。
塚越:そう。レーベル名が「崖っぷち文庫」っていうんだけど。
今井:(笑)。
寺崎:「たつろう」ははひらがなです。「崖っぷちシリーズ」ね。
塚越:「崖っぷち文庫」。
寺崎:いや。「崖っぷちシリーズ」になってたよ、キンドルでは。
塚越:あ。ほんと?
寺崎:そう。で、「生きざま新書」って入ってた。
塚越:あ、そう。「崖っぷちシリーズ」の「生きざま新書」だ。
寺崎:そうそうそう。
塚越:もう忘れてた。
寺崎:(笑)。適当だな。
今井:塚越さんって感じがしますね。
塚越:あれが確か今日話したような話で・・・。
寺崎:そうそう。一応3冊のタイトルを申し上げますと、『転職を決める前に読む本: ミドル世代生き残りのリアル』。2冊目が『会社や世の中をトンズラする方法: 32回転職者の生き直し人生』。
塚越:言ってるじゃん!32って。
寺崎:言ってるね。3冊目『人生のシフトダウン: "終わってる人"の一発逆転メソッド』。
塚越:いや、読みたいな、その本。
寺崎:(笑)。この『転職を決める前に読む本: ミドル世代生き残りのリアル』って言う、一番最初に出したやつのたつろうさんの肩書が笑えて、55歳、転職32回経験者って書いてあるよ。でもこれ、本当はもっと多いんでしょ?
塚越:その時は32回だと思って。
寺崎:(笑)。で、2冊目、3冊目にはこの肩書が書いてないんだよね。
塚越:なんでだろう。でも、まあ言ってるからそうなんだろうね、きっと。数えたんだろうね、その時。
iphoneの登場とともに電子書籍を連発リリース
寺崎:そういえば、App Storeに電子書籍単体で配信できた時代があったじゃないですか。
塚越:そうなんですよ。
寺崎: 2010年、11年ぐらいの時。あの時に電子書籍で副業して、何冊か出しましたよね?
塚越:出しました。
寺崎:東京ゴールデン商会っていう屋号で。
塚越:そうなんです。思い出深いね。App Storeにアップロードしたんだよね、iPhoneのね。
寺崎:今はできないんですけど、当時はできたんだよね。
今井:そうするとハワイからAppleが発売されて希望の光を感じて帰ってきたっていうところがここにつながってくるんですね。
塚越:そうなんですよ。個人がアップルとかのデバイスにコンテンツをアップロードできる時代がいよいよやってきたんですよ。
今井:ちなみに、どんな書籍を出されたんですか?
寺崎:男性向けの本なんですけど、『スゴ技! 女心をわしづかむ神フレーズ105』っていうのがあるんですよ。
今井:(笑)
寺崎:これが当時1万ダウンロードされて、後に紙の書籍にもなったんですよ。さらにそれがもう一回復活版で今、電子版で売られているんですよ。
今井:すごいですね。
塚越:何重にも小銭を稼いでくれましたよ。
寺崎:今、電子版の角川さんから出してるのは158円かな。もっと安いかな?そんな値段で売られているので、あれなんですけど。
塚越:だから入ってくる金も3桁単位。未だにチャリって入ってるけど。でもたつろうは、なぜか毎月伸びてるんです。
寺崎:キンドルって印税70%もらえるでしょう?
塚越:そうそう。毎月、何もしてないのに伸びてる。不思議だね。
寺崎:アンリミテッドだね。それで『スゴ技! 女心をわしづかむ神フレーズ105』が売れたもんだから、調子こいていくつか出したじゃないですか。その次に出したのが、女性向けで『胸キュン! 愛され女神のラブモテフレーズ143』。
塚越・今井:(笑)。
寺崎:その後に、『おやじ語録~OYA-G GO ROCK!~』。
塚越:これは、コケたね。
寺崎:コケた。しかもこの2つは、もうApp Storeで取り扱いがないから入手不能っていうね。
塚越:幻の。
寺崎:今もうこれ入手できないです。
「紙」にこだわらない「Web」の世界へ
寺崎:そんなこんなであらゆる業種を渡り歩き、本も出してということで、最近どうですか?最近、塚越さんは紙の編集よりもWEB関係の仕事ばっかりやってるイメージだけど。
塚越:うん。「ルーツサウンド」っていうギターのレッスンサイト作ったりね、「メモリーズ」っていうブライダルのフォトサービスのサイト作ったりね、自分でいくつか運営してるんですよ。なんでそんなことやってるかって言うとね。結局、iPhoneからの流れで、僕ごときがメディアを持てるってところがね、たまらないんですよ。
寺崎:そうねえ。そういう時代だよね。
塚越:そう。僕が編集長としてメディアを作って、しかも物販までやっちゃって、ダウンロードコンテンツしたり、オンラインストリーミングしたりね、自由に独りでできちゃうビジネスになったってところがやっぱり革命的だと思うんですよ。それで、ウェブの世界にのめり込んでいっちゃったんですけど。
寺崎:なるほどね。佐和ちゃんね、塚越さんって本当に器用で、紙の書籍の編集から今はWEBをやってるって話なんですけど、写真とかも撮れるんですよ。だから、取材ライティングだけじゃなくて、カメラマンとして現場に入ってもらったりもしますよ。
今井:え!すごいですね。
寺崎:直近だとね。『商品売るならShopify』の本とか、『顧客をつかんで離さないD2Cの教科書』の本とか、カメラ撮影をお願いしたんですよ。
今井:え!塚越さんにですか!?
寺崎:そう。
塚越:WEBをやったことで、撮影したり、バナー作ったり、SNSの運用したり、何でもかんでも一人でやらなきゃいけないから、自然と身に付いたんですよ。
寺崎:でも、元々好きだったでしょ?カメラとか。
塚越:うん。デジタルガジェットが大好きだから、アプリも作ったし、色々ね。デジタルデバイスもソフトウェアもみんな好きだよ。
「二階堂武尊」のペンネームで紙の著者デビューを果たす
寺崎:ところで佐和さん、実はさっきも話に出てたかな。うちから『29歳からはじめるロックンロール般若心経』って本が出てるんですよ。自分が担当しているんですけど、これ塚越さんが書いたんですよ、実は。
※こちらの作品は現在noteでもご購入いただけます。
今井:ちなみにこれはどんな名前でお書きになられたんですか?
寺崎:これは、二階堂武尊(にかいどう・たける)っていう名前で書いて。
今井:カッコいい!
塚越:寺崎さんが考えてくれた名前ですよ。
寺崎:そう。私が塚越さんを著者デビューさせる時に考えた名前。
塚越:猛々しい名前で。
寺崎:一応、これ画数的にも良い文字なんですよ。
塚越:おかげさまで、あの後2冊も出せてね。
寺崎:そうなんですよ。その後、この本をきっかけにして、ディスカヴァー・トゥエンティワンさんから『ぎゅーたん!「十牛図」で学ぶ プチ悟りの旅』っていうね。「十牛図」っていうのがあるんですけど、それを基に悟りの旅を始めると言う話もで、これはちょっとコミカルなつくりになってて。
塚越:そうそう。10枚の中国の古い絵を、萌え絵で表現したラノベ風の。
寺崎:そうだね。ラノベ風だよね。で、その後にわりかし最近出ているのが、明日香出版社さんから出た『リーダーになる人の 武器としての禅の名言』。これはまあオーセンティックな企画だよね。
塚越:そうそう。禅語が好きなので、ずっと読んできてるから。
寺崎:だから、著書としては3冊ということですか。
塚越:そうです。
今井:しかも、悟り系の本。暗黒時代とかがあったからこそ、そういったものもお書きになられたって感じなんですかね?
塚越:そうかもしれないですね。あの時、直角にしか曲がれなかったりとか、数字がわかんなくなっちゃったのって、結局は先ほども申し上げましたけど“認知”っていう、見る歪み?心が歪んでいるからそういう風に見えちゃっているっていうところをどうやったら修正できるかなっていう時に、禅とか般若心経っていうのは自分にとってよかったですよね。
今井:では、今までたくさんお話しを伺ってきたんですけれども、最後にVoicyの皆さんに塚越さんからメッセージをお願いしてもよろしいですか?
塚越:はい。自分は転職を30回以上して、こんな僕でも、今は色々なツールが自由に使える。別に、お金を使わなくても、ショッピングサイトでもメディア発信でも、本を書くことだって何でもできる時代が来たっていうのはすごくいいことだと思ってて。会社で出世しなくても、転職を繰り返しても、逆転ができる時代だと思うので、テリー伊藤さんじゃないけど、100回失敗する前に「俺はダメだ」って言うんだったら101回やってから結論を出してもいいんじゃないかなって思ったりして。ということです。
寺崎:なるほど。結論で言うと、個人が様々なツールを今無料で手にすることができる時代だから、やりたいことが何でもできると。そして職業を転々とローリングストーンしても、フォーリングストーンかもしれないが(笑)、転がり続ければ最後は何とかなるということですね?
塚越:武器はいっぱいあるので自由に使って、アイデア次第で50からでも60からでも逆転できる。
今井:はい。ということで、何回失敗しても、そしていくつになっても何度でもチャレンジできるんだと。で、塚越さんが「今が一番元気だ」とおっしゃっていたりですとか、テリー伊藤さんから教えていただいた「101回フラれてから言ってみろよ」みたいなところですね。是非Voicyを聞いていらっしゃるリスナーの皆さんにも、チャレンジ精神を持って、色々と挑戦してみていただけたらと思います。本日は塚越さん、寺崎さん、ありがとうございました。
塚越・寺崎:ありがとうございました。
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)
▼前編はこちら
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