見出し画像

人は誰かに愛されて生きている

編集部の稲川です。

早いもので、2021年も後半の3カ月を迎えました。
東京ではコロナ感染者が100人を切り、飲食店での酒類販売も復活ということで活気が戻る気配を見せています。
とはいえ、ずっとリモートワーク中心の生活で、外出もめっきり減った生活に慣れてしまった私は、ウィズコロナを受け入れた感もあり、それほどの高揚感が生まれないのが実情です。

実際に、そんな方も多いのではないでしょうか。

仕事も意外に自宅でできてしまうことを多くの人が知ってしまったため、ますますライフオブバランスが注目されるようになるのかもしれません。

そうなると難しくなってくるのが、仕事に対する評価。
日ごろから会社で顔を突き合わせていれば、肌感覚でその人の調子や仕事ぶりがわかりますが、オンラインでの会議や打ち合わせ、進捗状況を報告するといっても、相手の仕事がうまくいっているかなどの感情部分は、なかなか判断しづらいものです。
翻っていえば、自分の仕事もプロセスではなく結果がすべてになってきます。

とくに、これまでは社内でコミュニケーションがとれれば済んだ案件が、メール、メッセンジャー、チャットワーク、LINEなど、さまざまなツールから入ってくるようになりました。
1つひとつ既読でリアクションを返し、案件を処理していかなければならない作業はリモートワークで確実に増えました。
とはいえ、そうした案件は相手からの依頼ですから、早めに終わらせる必要があり、仕事の中でのバランス(ワークバランス)も重要になってきました。

自分の仕事(結果+評価)を優先するか、相手の依頼(プロセス+評価)を優先するか、おそらくはそのどちらも同時にこなしていかなければならず、そうしたバランスも評価基準にならざるを得ないわけです。

私の場合、この仕事のやり方にいまだとまどいを感じております。
結局、自分の仕事を後回しにしてしまうと、そのツケは締め切りに追われることになります(先日は、十年以上ぶりに出張校正〈=印刷所に赴いて校了すること〉になってしまいました)。
先日は、どうしても自身の仕事が回らず、1本仕事を断ってしまう始末。

リモートワークで思い知ったのは、自分のダメさ加減です。

そんな時、ふと家にあった絵本を1冊取り出してみました。
おそらく今も読み継がれる絵本ではないかと思います。
紀伊國屋チェーンの売れ行きから推察すると、おそらく30万部以上は売れたベストセラーですので、ご存じの方もいらっしゃると思います。

『たいせつなきみ』(マックス・ルケード作、セルジオ・マルティネス絵、ホーバード豊子訳、いのちのことば社、1998年発行)

画像1

また、この絵本は「たいせつなきみシリーズ」として、
『たいせつなきみ』
『ほんとうにたいせつなもの』
『きみはきみらしく』
『たったひとりのきみ』
『いちばんうれしいおくりもの』
の5冊が発売されているようです。

・・・なにかうまくいかない時、仕事でミスをしてしまった時、自分ってダメだなと思ってしまった時、他人がうらやましいと思った時、自信を失ってしまった時・・・など、自分を大切に思えなくなった時に開いてみるといいかもしれません。

こんなあらすじです(ネタバレ注意)。

ウイミックスという木の人形たちの村がありました。人形たちはエリという彫刻家が彫ったさまざまな形の人形たち。
彼らの日課はシール貼り。
シールには2種類あります。きれいな木だったり、特技があったり、頭が良かったり、なんでもうまくやれると村の人形たちから星のシールがもらえます。
しかし、汚くよごれてしまったり、へまをしてしまったりと、ぶきっちょな人形には灰色のだめシールを貼られてしまいます。
パンチネロはだめな人形の1人でした。
外に出てはだめシールを貼られてしまうパンチネロは、「どうせぼくは だめなウイミックスだから」と、だめ人形同士でいたほうが楽だと思うようになります。
そんなある日、パンチネロはルシアという不思議なウイミックスと出会います。彼女には星シールもだめシールも貼られていません。
というより、どんなシールも彼女の体からするりと落ちてしまうのです。
パンチネロはルシアのようになりたいと思い、彼女にそのわけを尋ねました。
すると、知りたければ丘の上にあるエリの仕事場に行ってみるといいと伝えます。しかし、自分をつくった人が会ってくれるのだろうかと思いにふけります。
そして、意をけっして丘の上のエリの家に行ってみると・・・。
パンチネロに気づいたエリは、彼の名前を呼びました。
彼はパンチネロを仕事台に乗せて話を聞き続けました。そして、だめシールが貼られている姿にこう言いました。
「・・・みんながどう思うかなんて たいしたことじゃないんだ パンチネロ。もんだいはね このわたしが どう思っているかということだよ。そしてわたしは おまえのことを とてもたいせつだと 思っている」
パンチネロは、シールがつかないルシアについても聞きました。
「どんなシールがもらえるかってことを 気にしていると シールのほうもおまえに くっついてくるんだ。おまえがわたしの あいをしんじたなら シールなんて どうでもよくなるんだよ」
それを聞いたパンチネロは、意味がわかりません。それでもエリの言うことはほんものだと思いました。
その瞬間、だめシールが1つ、地面に落ちました。

人は誰かに愛されて生きている。
その愛を信じていれば、生きていてダメなんかではない。
なにかとても心が洗われたような気がします。

先週、緊急事態宣言が明けたら両親に会いに行こうということを書きましたが、先の日曜日に会ってきました。
2年近く会っていなかったせいか、互いの近況などをとりとめもなく話しましたが、いつになっても子ども(私)の心配をする親に、愛されているんだなと感じました。

リモートワークをしていると時折、感情が内にこもりがちになります。
そんな時、『たいせつなきみ』であることを忘れずに、1日を精いっぱい生きる。

絵本も大切なことを教えてくれます。

自分を愛してくれる人のため、自分が愛する人のため、変化にまどわされず、不変の思いで生きていこうと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?