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言葉かけがないと、子どもは死んでしまう!?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

先日発売された『子どもがまっすぐ育つ言葉かけ大全』ですが、奥さんにそれとなく渡したところ・・・「読みたい。読んで参考にしたい。けど、時間がない!」とのことで、ワーキングマザーは生活サイクルに本を読む時間を充てるのが、なかなか難しいようです。

このnote読者にみなさんにも、そんな方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

でも、だいじょうぶ。

note記事で大事なポイントをこれから複数回にわたって、引用します。

まずは、そもそも子どもへの言葉かけ、声かけはどのような意味があるのか。本書の「1章 言葉かけの基本的な心構え」から解説します。

※以下『子どもをまっすぐ育てる言葉かけ大全』より

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言葉かけは心の水やり

BEFORE
:(いつも注意されてしまう部屋の片づけを、今日は自分からやってみよう。よーし、できた)
:……。  
:(お母さんは、なんて言うかな?)
:……。
:(え? 何も言ってくれない……私のことは、気にならないんだな……がんばったのにな)

 そもそも言葉かけというのは、子どもを教育していくうえで、どれくらい大切なものなのでしょうか。
 言葉かけなくして、子どもを育てることはできないのでしょうか。
 ここでは、西洋に伝わる逸話を紹介します。
 
 ヨーロッパにフリードリヒⅡ世(1194-1250)という神聖ローマ皇帝がいました。
 様々な人体実験を行っていた彼は、あることに目を向けます。
 それは、「言葉を教わらないで育った子どもは、どのような言葉を話すのか」というものでした。
 赤ちゃんが言葉を話し出すことについて、疑問に思ったのです。
 これを検証するために、50人の赤ちゃんが一堂に集められました。
 その実験では、赤ちゃんに対して「目を合わせない」「笑いかけない」「語りかけない」というように、一切のスキンシップを排除して、乳母や看護師たちが世話をしました。
 しかし、この実験は途中で中止となりました。
 なんと、赤ちゃんたちは、十分にミルクを与えられていたにもかかわらず、次々と亡くなってしまったのです。

 この話から分かるように、人間が育つ過程には、人との関わりが必要です。
 植物は、水を与えられなければ生きられません。
 それと同じように、人は、人との関わりがなければ生きてはいられないのです。
 人と人との関わりのことを、アメリカの精神分析医エリック・バーンによって提唱された心理学理論である交流分析では「ストローク」と呼びます。
 ストロークというのは、もともと「なぞる」とか「さする」という身体的な接触を意味する言葉です。人の発達に伴って生じる「存在の認知を示す行動」をストロークといいます。
 体が成長するうえでタンパク質やビタミンなどが必要であるように、心にも栄養が必要です。
 心の栄養、それがストロークなのです。
 ストロークには、様々なものがあります。

◎親が子どもに「おはよう」と言う。
◎泣いている子どもに「大丈夫だよ」と言葉をかける。
◎ギュッと抱きしめてあげる。
◎試験でうまく成果を出せなかった子どもに、「次はうまくいくよ」と声をかけて、肩をポンと叩たたく。

 これらは、すべてストロークです。
 子どもたちが健全に成長するために、言葉かけは欠かせないものだといえます。子どもに教育をするにあたっては、多くの言葉をかけられるようになりましょう。愛情のこもった言葉かけがストロークとなり、子どもの心を健全に育てていくのです。

A F T E R
:(いつも注意されてしまう部屋の片づけを、今日は自分からやってみよう。よーし、できた)
わっ、お片づけ、今日はできたのね!【ストローク】
:えへへ……。
部屋がきれいになって、お母さんもうれしいよ。ありがとう。【ストロ
ーク】

:うん!(お母さんに感謝された! これからも、片づけをやってみようかな!)

子どもの成長を左右する言葉かけ

BEFORE
:見て見て! この間の算数のテスト、100点だったよ!
:さすが! ○○ちゃんは、頭がいいなあ。デキがいいんだな!
:うん。

〔次のテストで60点をとった〕
:ああ、60点だった……。
(もしかすると私は、頭のデキがよくないんじゃないかな……)

 子どもが成功や失敗をしたときに、親は言葉をかけます。
 その言葉は、次のうちのどちらかになります。

 ◎「才能」に結びつける
 ◎「努力」に結びつける

 実は、大人になってからの生き方は、子どもの頃の「ほめられ方」によって決まる確率が高いとされています。
 では、「才能」と「努力」、どちらに目を向けた言葉かけをしていけばよいものでしょうか。
「才能」に焦点を当てる言葉かけとは、次のようなものです。

「才能があるね!」
「挑戦しただけ、えらいじゃないか」
「これは、君には向いていないことだね」

 一方で、「努力」に焦点を当てる言葉かけとは、次のようなものです。

「よくがんばったね!」
「どうやったらうまくいくのか、一緒に考えてみよう」
「すぐにできなくても、気にしなくていいよ」


 実は、仮によくできていることであったとしても、「才能」に目を向けないほうがよいとされています。
 なぜなら、「才能」に焦点を当ててしまうと、うまくいかないときに「僕には才能がないんだ」「私にはできないんだ」と捉えさせてしまうことになるからです。
 でも、「努力」に焦点を当てていれば、うまくいかないときでも「私の努力が足りなかったんだ」「何を改善すればいいのかな」と前向きに取り組むことができます。
 結果として、これが「物事をやり抜く力」を育てることにつながっていくのです。
 だから親は、結果に対して寛容であることが大切です。
 結果よりも、「努力することに意義がある」という態度を保ちましょう。
「人間はその気になれば、なんでも学んで身につけることができるのだ」と信じていることを、親が態度や言葉によって示すようにするのです。

A F T E R
娘:見て見て! この間の算数のテスト、100点だったよ!
父:さすが! ○○ちゃんは、テストに向けて、がんばっていたもんね。日頃の努力の成果が出たね。【努力への結びつけ】
娘:うん!

〔次のテストで60点をとった〕
娘:60点か。きっと努力が足りなかったんだな。もう1回、きちんと復習
しよう!

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いかがでしょうか。

一見すると「頭がいいなぁ!」とか「デキがいい」といった言葉かけは悪くないように思えますが、長い目でみるとNGなのです。

別の言い方をすると「結果ではなく、プロセスを評価する」という態度と同じことではないかなと思います。

ちなみに、本書では上記のように「BEFORE」と「AFTER」の会話事例をすべてのケースに掲載していますので、どなたでも容易にシーンがイメージできるでしょう。


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