【本づくりの舞台裏】デザイナーという職人芸
フォレスト出版の寺崎です。
「書籍」を世に問うにあたり、きわめて重要なキーパーソンがいます。
それは・・・・・・「デザイナーさん」です。
われわれ書籍編集者は書籍コンテンツを飯のタネにしてるわけですが、どんなにいい内容でも、届けるべき人たちに届くためのパッケージでないとアカンわけです。
そこで登場するのが「デザイナー」という職人。
「デザイン」とはなんぞや?
そもそも「デザイン」とはなんなのか。
デザイン design
作ろうとするものの形態について、機能や生産工程などを考えて構想すること。意匠。設計。図案。
『大辞林 第三版』より
うーん、行為そのものが抽象的で高度なため、ややわかりにくい説明になってしまっていますね。「書籍のデザイン」に関して言うと、ざっくりこういうことだと思います。
①コンセプトの具現化
②「色」や「形」によるコミュニケーション
③インターフェイスの創出
これ、デザインや芸術を勉強したわけではなく、自分があくまでも職業上に得たものなので、間違ってたらごめんなさい。
①コンセプトの具現化
ざっくりその本が「どういう本なのか」にしたがって考慮される出発点。「ビジネスマン向けの実務書」「女性をターゲットにしたエッセイ」「中高年向け健康書」といった大枠に沿って具現化されます。
②「色」や「形」によるコミュニケーション
①で確認された「コンセプトの具現化」を成立させるための細かい設定です。「タイトルは明朝なのかゴシックなのか」「カバーの地の色」「イラストや写真などのビジュアル」……こうしたさまざまな要素を最適な組み合わせに着地させて、読者とコミュニケーションをとります。
③インターフェイスの創出
ここが電子書籍にはできない面白いところ。書店で目にしたときの印象、手に取った感触、ページを開いたときの質感、匂い。ただの「情報」ではない、厳然と存在する「モノ」としての価値(=お金を払ってでも欲しい)を生み出す仕掛けを演出するのが最終工程です。紙の銘柄指定、加工の種類などによってガラッと変わってくる、まさに「職人芸」の領域。
こうしたデザインのカラクリについてはまた別の機会に改めて、自分の担当書籍を例にしてご紹介したいと思いますが、今日は私がこれまで仕事をともにしてきた敬愛するデザイナーさんたちをご紹介します。
※以下、人名の50音順
tobufuneの小口翔平さん
tobufuneというデザイン事務所・代表の小口さんです。ビジネス書業界では有名ですね。とにかく書店で際立つデザインを考案してくれます。「ライバルの競合書をぶっ潰す」といったファイティングポーズが特徴。
ファンタグラフの河南祐介さん
弊社のご近所である市ヶ谷にファンタグラフという事務所を構える河南さん。安心感、安定感のあるデザインを得意としていて(と、個人的に勝手に思っています)、ベストセラーも多数。
河村 誠さん
前職でかなりお世話になったマルプ・デザインから独立されたフリーランスの河村さん。河村さんはちょっと変態チックな方向性がハマるとピタッといってドカンといく職人。同僚が担当した書籍ですが、『読まずに死ねない哲学名著50冊』とか、『アイデア大全』とか、『問題解決大全』はその典型です。
重原 隆さん
もはや大御所の風格。ビジネス書の世界ではレジェンドの領域に入りつつあるかもしれません。「ザ・王道」という装丁に揺るぎない自信と覚悟を持ったときに依頼する感じです。
http://shigehara-sotei.art.coocan.jp/
細山田光宣さん
マガジンハウスの雑誌で活躍されたデザイナーさんで、細山田デザイン事務所の代表・細山田さん。スタッフに女性が多く、やわらかいデザインを得意としていて、女性寄りの書籍がうまい。大きな犬がいる駒場の事務所がお洒落。
https://www.hosoyamada-design.com/
山田知子さん
chichols代表の山田さん。松田行正さん率いるマツダオフィス、マンガの装丁で有名なナルティスを経た経歴が織りなす「正統」と「変態」の独特なハイブリッドが持ち味のユニークなデザイナーさん。デザインに至るまでの思考の過程がとても深く、いつも勉強になります。
吉村 亮さん
吉村デザイン事務所(Yoshi-des.)代表の吉村さん。女性スタッフ数名を抱える吉村さんのところのデザインはとにかく洒脱。欧文フォント使ったシャレオツな装丁に仕上げてもらいたかったら、ココ。
以上、お仕事でお世話になっているデザイナーさんたちの紹介でした。これからもみなさん宜しくお願いいたします。
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