【お金教育】わが子の「お金リテラシー」を、家庭で鍛える方法
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
欧米に比べて、日本では「お金の教育が行なわれていない」といわれます。お金教育の重要性が求められているものの、残念ながら、いまだ日本の学校教育では教えてくれないのが現実です。となると、家庭での教育が求められます。
ただ、家庭の現場で、わが子に何をどのように教えていけばいいのか?
自分が今までロクにお金の教育を受けていないまま親になってしまっていたら、なおさらわからないものです。
そんななか、親子で唯一ともいうべきお金のやりとりがあるのが、「お小遣い」です。
お小遣いは、日本社会にも浸透している文化です。そんなお小遣いを通じて、お金のもらい方(親からみれば、「あげ方」)、使い方、貯め方、増やし方をわが子に教える方法を、具体的に教えてくれる方がいます。
現在、「すぐに使える資産が2000万円以上」が入会基準のコミュニティを主宰している村田幸紀さんです。
村田さんは、日本でお金教育がほとんどなされていないことに疑問を抱き、自分や会員たちが親から教わってきたお金教育、わが子に教えているお金教育を調査・研究。そこから導き出した最適な方法が「お小遣い」を通じたお金教育です。
そんな村田さんの「お小遣いを通した子供のお金教育法」をまとめた新刊『わが子が将来お金に困らない人になる「お小遣い」のルール』が、7月13日(Amazonでは7月12日)にいよいよ発売となります。
◎「お金の教育」とは、何を教えることなのか?
◎クリスマスプレゼントの先渡しOK?
◎お小遣いは、いつから渡し始めるのがいい?
◎お小遣いのあげ方4パターンと、メリット&デメリット
◎効果バツグンの「お小遣いのあげ方」
◎親がお金を出してあげる範囲
◎親が絶対にやってはいけない2つのNG行動
◎こんなときどうする? 子供間でのお金の貸し借り
◎「テストで良い点取ったらお小遣いちょうだい」と言われたら……
などなど、子供のお金リテラシーを上げるお小遣いのルールはもとより、親の不安や疑問も具体的に答えた「子供のお金教育」の決定版的な1冊となっています。
そこで今回は、同書発売に先立ち、同書の「はじめに」と「目次」を全文公開します。
*
はじめに
「ねえ、パパ。新しいゲームが出たから買って」
「それは毎月のお小遣いで買う約束だろ?」
「でも、友達全員持ってるんだよ……ね、お願い!」
「仕方ないなあ。いくら足りないんだ?」
「あと2000円あれば大丈夫! わーい、パパありがとう!」
「まったく子供には甘いんだから(笑)」
「たしかにママの言うとおりだなあ(笑)」
一見、微笑ましい家族の会話のように感じられますよね。
でも、私の目にはとても恐ろしい光景に映ります。
なぜなら、親が子に、
「困ったことがあったら、キャッシングやカードローンに頼りなさい」
と、堂々と教えているようなものだからです。
「たかが子供のお小遣いの話でしょ」
と思うかもしれません。
でも、お金教育という観点においては、これは見逃すわけにはいきません。
親がどんなふうにお小遣いをあげるかで、子供の将来は決定づけられます。
なぜなら、子供にとって「お小遣いをもらう期間」とは、「お金との付き合い方についてのトレーニング期間」だからです。
お金に振り回される、つらく苦しい人生を送るか? それとも、お金をコントロールしながら、幸せで豊かな人生を送るか?
お金に執着して、人を信頼できない人生を送るか? それとも、お金を道具と捉え、まわりの人と良い世の中をつくる人生を送るか?
人生の分岐点をどちらに進むかは、才能やセンスで決まるのではなく、「子供の頃、お金に関してどんなトレーニングを受けたか?」が大きく影響するのです。
プログラミングや英語教育もいいけれど、
お金の教育、やってますか?
「お小遣いをあげる」ことは、子供の一生を大きく左右する、親にとって重大な教育的行為です。
IT、プログラミング、英語……など、これからの時代を生き抜くために重要なスキルについて、さまざまなジャンルのものが挙げられています。
でも、「人生を生き抜く」という観点において、
「お金とどう付き合うか?」
「お金をどう扱うか?」
は、それらと同等、いや、それ以上に重要なスキルではないでしょうか。時代に関係なく、不変的かつ重要なスキルです。
にもかかわらず、
「いつ頃からお小遣いを渡し始めるか?」
「いくらくらいが相場なのか?」
という話し合いはしても、
「そもそもなぜわが子にお小遣いを渡すのか?」
というお小遣いの本来の目的について話し合うご家庭は、残念ながらあまり多くないようです。
だからこそ、私はこの本を書きました。あなたの大切なお子様に、お小遣いを通じて「お金との付き合い方、お金の扱い方」を教えてあげてほしいからです。
金融資産2000万円以上の
会員1000人から得た結論
申し遅れましたが、私は2009年に「不動産投資で経済的自由を手にする会」という組織を立ち上げ、現在、代表を務めています。
会の入会基準は「今すぐ自由になる金融資産2000万円以上をお持ちの方」としています。
ここで言う「自由になる金融資産」とは、「今すぐ現金として動かせる資産」という意味です。不動産や車は、残念ながら「自由になる金融資産」にカウントされません。なぜなら、売却までにある程度時間がかかるからです。ですから、「5000万円で購入した持ち家があります」という方も、「1000万円の外国車を2台持っています」という方も、それだけでは入会資格を満たしません。
また、「夫婦で2000万円以上の年収がありますよ」という方も、それだけでは入会資格を満たしません。いくら2000万円を稼いでいても、生活費でほとんどを使っていたら、手元にお金が残らないからです。
「今すぐ自由になるお金」とは、まさに字のごとくです。現金や株式などで所有し、自分が「使おう」と思ったらすぐに使えるお金のこと。そして、たとえ全額使ってしまっても、日々の生活に支障をきたさないお金のことを指しています。
ある民間調査の統計によれば、金融資産2000万円をお持ちの方は、日本で約8・5%と言われています。
私の主宰する「不動産投資で経済的自由を手にする会」での運営を通して、私はこれまで1000人以上の会員にコンサルティングを行なってきました。
そのコンサルティングの中で、会員からお金に対する価値観などのお話を聞かせてもらってきました。そして、ある〝仮説〞にたどり着いたのです。
それが、
「親が子供に渡すお小遣いのルールが、子供の将来のお金との付き合い方に非常に大きな影響を与えるのではないか」
というものでした。
この仮説を検証したくなった私は、会員以外でもさまざまな人にアンケートを依頼するなどして、広く回答を集めてみました。
その結果、
「子供の頃、お小遣いをどのようにもらい、どう使っていたか?」
が、
「大人になって、お金をどのように捉え、どう使っているか?」
に、非常に影響を与えていて、1つの傾向があることがわかりました。
金融資産2000万円以上を所有している人は、子供の頃、お金に関して「良い習慣をつけたり、良い印象を持った」人。
お金で苦労している人は、子供の頃、(親が意図したかどうかは別として)お金に関して「悪い習慣をつけたり、悪い印象を受けた」人。
100%がそうとは断言しませんが、このような傾向が浮き彫りになったのです。
お小遣いのあげ方次第で、
「利益の先食い」「返済不要」を当然
と考える大人になってしまう!?
さて、冒頭の親子の会話シーンに戻りましょう。
お金の世界で「利益の先食い」という言葉をよく使います。まだ手にしていないお金、本来は自分のものではないお金を「すでにもらったもの」「実は自分のもの」と見なし、そのお金を使ってしまう行為のことを指します。
毎月のお小遣いでは足りず、目先の欲に負け翌月まで待てずに、パパから融通してもらってゲームを買う――。これでは「利益の先食い」を推奨しているようなものです。
冒頭のシーンに関して、私があえて「とても恐ろしい光景」などと恐怖を煽るような表現をしたのには、もう1つ理由があります。
それは、「おねだりして、もらったお金は返済不要」という点です。
大人になってキャッシングやカードローンを利用したら、「高い利子を払わなければならない」「いつまで経っても返済が終わらない」といった、それ相応の〝しっぺ返し〞を喰らいます。
ところが、子供のときにおねだりしてもらったお金の場合、貸し手は親。返済期限や利子もなければ、そもそも返済不要です。
つまり、「新しいゲームが出たから買って」と子供からねだられ、親がお金を渡す行為は、
「困ったことがあったら、キャッシングやカードローンに頼りなさい」
と教えているだけでなく、
「困ったことがあったら、キャッシングやカードローンに頼りなさい。ちなみに借りたお金の返済は考えなくていいよ」
と伝えているようなものなのです。
これは、少し極端なように聞こえるかもしれませんが、
「困ったことがあったら、親に頼ればいい。親から借りたお金の返済は考えなくていい」
と教えていると考えてみたらどうでしょう?
そう考えている20歳以上の成人がどれだけ多いかは想像に難くありません。
「子供だから」「金額が小さいから」などとお小遣いを軽んじてはいけないのは、この点も大きいのです。
お金のリテラシーを育む
「お小遣いのルール」を大公開
では、いったいどうすればいいのでしょうか?
どのような目的で、どんな方法で、わが子にお小遣いをあげれば良いのでしょうか?
本書では、「倍返し」という方法を提案していきます(詳しくは第3章で解説します)。
これは、金融資産2000万円以上の会員から聞いた話をベースにアレンジを加え、私が独自に考え出した方法です。わが子3人に実践し、3人がお金の付き合い方、お金の扱い方を覚えてくれた方法でもあります。
本書は、「そろそろわが子にお小遣いをあげる時期だな」と考えていらっしゃる親御さん(お子さんは小学生低学年くらいでしょうか)をイメージして書いています。お小遣いをあげ始める前に本書を読んでくださるのがベストだと思うからです。
ただし、
「子供は中学生で、今まで何年もお小遣いをあげてきた」
という親御さん、
「子供が高校に入学し、お小遣いだけでは足りないからとアルバイトを始めようとしている」
という親御さんも多数いらっしゃると思います。
そういった方たちもどうか「間に合わなかった……」と落胆しないでください。
ゼロからのスタートがベストではありますが、お金との付き合い方、お金の扱い方を学ぶのに遅すぎることはないからです。
コロナ・ショックを機に、変化の激しい時代となりました。それは、「自分自身の人生の手綱を握りしめ、自らの手でしっかりとコントロールするスキル」の重要性がますます高まったことを意味します。
お金に振り回されず、流されない人生。より早く、より遠く、自分の望む方向へ行くためにお金という手段を使う人生――。
本書の提唱する「お小遣いのルール」が、あなたの大切なお子さんの人生の一助になったら、著者としてこれほどうれしいことはありません。
目次
第1章 お金が人生に与える影響
◆たくさん稼いだら、人はお金持ちになるのか?
◎子供には「しっかり稼いでほしい」と願うけれど……
◎ⅠNとOUTの両方をコントロールする能力
◆年収5000万円あっても「苦しい」とつぶやいた医師
◎ⅠNとOUTについて、実例から学ぶ
◎【事例1】年収5000万円で金融資産500万円
◎銀行ウケの良さが仇となる!?
◆「年収2000万円、貯金ゼロ」VS「年収500万円、貯金2000万円」
◎お金のリテラシーが高いのはどっち?
◎【事例2】年収2000万円、貯金ゼロ
◎【事例3】年収500万円、貯金2000万円
◎コントロールに使った「ものさし」
◎「平均IN、少なめOUT」タイプの弱点
◆泥沼にハマる典型的なダメダメパターンとは?
◎「借りる」場合のダメパターン
◎「返す」場合のダメパターン
◎ダメパターンで借りて、ダメパターンで返す、破滅型
◆多くの人が何気なくやっている隠れたダメパターンとは?
◎サラリーマンが陥りがちなダメパターン
◎クリスマスプレゼントの先渡しはOK?
◆お金持ちの人と、そうでない人、両者の決定的な違いとは?
◎あなたのお金に対する意識がわかる! 「セルフチェック」テスト
◎お金に対するブレーキ「セルフチェック」診断の使い方
◎お金持ちの人と、そうでない人、いったい何が違う?
◎そもそもお金とは何か?
◆お金のINとOUTをコントロールできる大人を目指す
◎自分自身でお金の把握や管理する習慣を身につける
◎親の担当分野は、この2つ
◎お金教育は、わが子の人生の土台づくり
第2章 お金の教育って何だ?
◆「お金の教育」とは、何を教えることなのか?
◎お金の対価って何だ?
◎無意識にできるレベルまで身につかないと意味がない
◆小学生までで、人生の初期設定が決まる
◎心がまっさらな状態で吸収させる
◎お小遣いは、いつから渡し始めるのがいい?
◎「心がまっさらな時期」ならではのリスク──家庭内の言動にご用心!
◆お小遣いのあげ方は、4パターン
◎大人になってからの職業やお金の使い方に与える影響
◎「①定額制」の傾向
◎「②報酬制」の傾向
◎「③都度払い」の傾向
◎「④なし」の傾向
◎子供は親の生き方を〝正解〟と思い込む
◆「定額制」「報酬制」「都度払い」「なし」それぞれのメリット・デメリット
◎「最適なお小遣いのあげ方」を考える前に
◎「①定額制」のメリット・デメリット
◎「②報酬制」のメリット・デメリット
◎「③都度払い」のメリット・デメリット
◎「④なし」のメリット・デメリット
◆「お小遣いのもらい方」と感情コントロールとの関係性
◎大人になって衝動買いするパターンは?
◆お金で人間関係を買えるか?
◎お金で人間関係を買った人の末路
◆40歳前後で「今すぐ使えるお金」を2000万円以上持っている人の共通点
◎どんな手段で金融資産2000万円を手にしているのか?
◎3つの中で再現性の高い方法はどれか?
◎いきなり大金を手にしたとき、持っておくべき1つの感覚
◆私が母から教わったお金にまつわる2つのこと
◎借金には「良い借金」と「悪い借金」がある
◎一時的な大金よりも価値がある収入モデル
◎親からのお金の教えは、子供の生き方に大きな影響を与える
第3章 やってみよう! わが子の「お金教育」
◆わが子に効果バツグンだった最強の「お小遣いのあげ方」大公開
◎お金のリテラシーを上げる二本柱
◆残したら増えていく仕掛け──お小遣いのあげ方①「倍返し」その1
◎子供自ら調整するようになるお小遣いのあげ方
◆「倍返し」がお金教育に最適な理由──お小遣いのあげ方①「倍返し」その2
◎本来の目的とズレたままで続けても効果なし
◎「倍返し」の目的&「倍返し」で期待できる効果
◎親がお金を出してあげる範囲をあらかじめ明確にしておく
◎誕生日、クリスマス、お年玉との〝棲み分け〟を考えておく
◎開始時に「お小遣い期間=トレーニング期間」と伝える
◎なぜお小遣い金額を「ご近所相場の2倍」で設定するのか?
◎親が絶対にやってはいけない2つのNG行動
◆「ありがとう返し」でお金の本質を学ぶ──お小遣いのあげ方②「ありがとう返し」その1
◎「倍返し」と「ありがとう返し」の良い点、懸念点
◎「お金は自動的にもらえるもの」という勘違い
◎定額制の懸念点を「ありがとう返し」で払拭する
◆「ありがとう返し」の具体的な手順──お小遣いのあげ方②「ありがとう返し」その2
◎「ありがたさ」を基準に、値付けを考える
◆お小遣いをあげ始めたらできるだけ親は口出ししない
◎「自分で選び、自分で決める」がとても重要
◎子供たち自らで工夫したこと
◎お互いの価値観を交換する絶好の機会
第4章 親として日常から心得ておきたいこと
◆お金の考え方、実践法は、親そっくりになる
◎良いお金教育を実現するために、大人がやるべきこと
◎その使い方は、3つのうちどれに当てはまるか? 165
◆それは投資? 消費? それとも浪費?
◎NEED=消費、WANT=浪費
◎子供の〝ネット中毒〟〝ゲーム中毒〟をやめさせるコツ
◆似ているけれど、実はまったくの別物! 投資と投機の違い
◎「自己投資」」の意味と価値を伝える方法
◎それでも宝くじを買いますか?
◎ビギナーズラックは、本当にラッキーなのか?
◎一攫千金のワナ
◆こんなときどうする? 子供間でのお金の貸し借り
◎「断る力」を身につけさせるチャンス
◎友達からの「貸して」をうまく断らせる、2つの方法
◎やむを得ず、お金の貸し借りをする場合の注意点
◆「テストで良い点取ったらお小遣いちょうだい」と言われたら……
◎「社会に出て仕事をする」の疑似体験
◎「がんばった返し」を行なう際の4つの注意点
◆オリンピック選手の育て方から見えるお金教育のヒント
◎超一流アスリートの子育ての共通点
◎器械体操とお小遣いで鍛えられること
◆お金の話をタブーにしない
◎親は子供に正直であれ
◎私を一人の大人として扱ってくれた母
◎原理原則を話せば、子供はしっかり理解してくれる
◎親が絶対やってはいけない最悪な言動
◆夫婦間でお金に対する認識を一致させておく
◎正確な現状を見える化、共有
◎特に〝大きな買い物〟をする際は要注意!
◆「ありがとうポイント」の数で世の中を見直す機会を持つ
◎〝時給6万円〟を払っても大満足の理由
◎「ありがとう」と言われることをつねに考えるクセをつける
◎同僚Aさんのほうが給料が高い理由
◆「ズル儲け」はNG、「ラク儲け」はOK
◎ズル儲けは続かない
◎お客様も、仲間も、自分もラクにすると感謝される
◆マシュマロを食べた子と食べなかった子、その後の人生
◎幸せな人生を歩むのに、「我慢する力」は必要か?
◎「倍返し」は「マシュマロ習慣」
*
いかがでしたか?
お小遣いのあげ方次第で、わが子の将来が大きく変わります。お金の教育を今まで受けてこなかった親御さんでも大丈夫です。
わが子が将来お金に困らない人になるために、わが子のお金リテラシーを上げるために、実践したいお小遣いのルールをまとめた新刊『わが子が将来お金に困らない人になる「お小遣い」のルール』(村田幸紀・著)は、7月13日(Amazonは7月12日)より発売開始です。興味のある方はチェックしてみてください。
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