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私とこの1冊

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フォレスト出版の編集者が自らの読書体験を公開。
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#おすすめ本

『東京商店夫婦』という本が面白かった話。

10年くらい、都内でも商店街で有名な場所に住んでいました。住んでいる間、タワマン群が建つということで飲み屋街が立ち退きになったりも。年々チェーン店が増え、タワマンができて、おしゃれな店がテナントに入ったりもしましたが、ビル風がすごくて行きつけのお店の人たちと、風がヤバいとよく話していました。また、チェーン店もいいけど、同じようなものがあるなら個人商店で買ったり、古くからお店をやってる地元の人たちと、二言三言言葉を交わすのを楽しみに買い物をしていました。タワマンができると周辺の

気持ちを表現するのは難しい? 感情を切り取りたい時に役立つ本

編集部の稲川です。 オリンピックも閉会し、日本はまたコロナという現実に引き戻されます。 私たちはオリンピックという束の間の感動や喜びに浸りながらも、今日という日を生きていきます。 日々、感情は揺れ動き、不確実性が増す未来へ向けて挑戦は続いていき、明日に目を向けていきます。 だからこそ今思うと、私はオリンピックの開催はよかったのではないかと感じています。当然、これから迫りくるものの大きさに不安にならないわけではありませんが、過去には戻れません。 どんな形になるにせよ、日本の

コロナ禍でどこにも行けない方々へ。「SHIMADAS」というぶっ飛んだ本を紹介

編集部の稲川です。 新型コロナウイルスは収まりを見せません。東京・大阪・京都・兵庫の4都道府県に4月25日~5月11日まで出された緊急事態宣言。今日にも菅政権が現在の状況を協議するそうですが、大阪の吉村知事は、緊急事態宣言解除は難しいと言っていますし、このあとどうなるかわからない状況です。 今年のゴールデンウィークは、『外出派の「行き先」と自宅派の「過ごし方」に関するアンケート調査』(株式会社groove agent調べ)から見ると、1割くらいの人が旅行、2割強くらいの人が

敗れざる者、それは美学か新たなる挑戦か。

編集部の稲川です。 先週は大相撲初場所で平幕力士の大栄翔関が13勝2敗で、埼玉県の力士として初めて優勝を果たしました。 十両でも同じ追手風部屋の剣翔関が12勝3敗で2回目の十両優勝を果たし、追手風部屋が平幕・十両のワンツー優勝を飾りました。 いまだにコロナが猛威を振るい、出稽古が禁止されるなか、力士の多い追手風部屋は相部屋力士での稽古ができる環境で有利だったこともありますが、迷いのない押し相撲を貫いた大栄翔関は、毎回見ごたえのある勝負を繰り広げてくれました。 さて、私はス

私にとっていつまでも青春の作家、沢木耕太郎。

編集部の稲川です。 私の青春とも呼べる1ページを刻んだ作家がいます。 沢木耕太郎。 沢木氏の本を引っ張り出して、なぜか数冊消えていたのですが、これも沢木耕太郎の本と言えばしっくりきました。 いかにも放浪っぽく、いかにも歴史を切り取った、“通り過ぎゆく本”が彼らしいと思ったからです。 沢木耕太郎氏も、現在は73歳。 最近の沢木氏は知りませんが、かつてテレビで拝見した時は、背も高くルックスもよく、私にとっては今もあの姿のままです。 沢木耕太郎(さわき こうたろう)。 19

私の人生を変えた1冊。“シャチ”が今の自分をつくっている。

編集部の稲川です。 2021年を迎えました。 あけましておめでとうございます。 今年、最初に紹介するのは、私の人生を変えた1冊です。 それは、私が大学生のときに出会った本で、 1993年に児童書の出版社あすなろ書房から発行された、 高橋健・著の『オルカの歌が聞こえる』という作品です。 この本が書店のどこに置いてあったのか(児童書の扱いですし)も、 なぜ手に取ったのかもまったく覚えていません。 しかし、この本が私の人生に大きすぎるほどの影響を与えた1冊であったとは、こ

野生のシャチ(オルカ)について本とともに語る

編集部の稲川です。 前回、オルカの魅力についてお話しさせていただきましたが、私は学生時代、野生のオルカを実際に見て人生が変わりました。 そもそもなぜ現地で野生のオルカを見ることができたのか。 それはオルカの研究者、ポール・スポング博士を支援する非営利団体オルカラボソサイエティ(現・オルカラボ・ジャパン)の一員としてボランティアで参加したからでした。 この団体は、毎年オルカがやって来る夏の時期に、現地ボランティアとしてオルカラボのあるハンソン島にスタッフを派遣し、現地レポ