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非認知能力を伸ばす子育てのベースに「感覚統合法」(専門的)

育休をいただいて2週間目になりました。

0歳と2歳の子育てにじっくり関われるこの期間、
本当にありがたいなあと思うこの頃。
(大変ですけども…)

家の中のあらゆるものを引っ張り出しては
いじり倒し、放置したり
際どいところを登ったり降りたりして
ハラハラさせたり

2歳長男からはまだまだ
目が離せんです…

ただ、そんな長男の勢いに押されて、
日常をこなすだけの育休じゃいかん!と思っているので、
一応心理師である私が子育てにおいて大事にしている「感覚統合」の概念をベースに
子どもと関わっているのですが、
これは改めて大事さを感じてます。

感覚統合ってなんぞや!?

簡単には
 ・発達障がいの子どもへの治療アプローチとして発展してきた
 ・脳の感覚間の統合の視点
 ・この理論と原理は一般の育児、保育、教育にも活かせる

といった概要。
(後で詳しく解説)


僕も、この概念を3日間カンヅメで学ぶ講座があったので
過去に受講してきましたが、
こんな手軽な関わりで、
脳のこの部分を
こんなに育てていたんだなあ
という発見がたくさんあったので

子育てでお悩みの方に紹介したいと思った次第です。

この概念を知ることで

・子どもの行動の意味を理解できる
・自分の子どもへの関わりに迷いが減る
・子どもの行動の1つ1つを温かく見守れる
・発達に応じた教育ができる

といったメリットを感じています。

地方で暮らしながらも
むしろ地方ならではの特権を活かして
お金をかけずに、非認知能力を
ベースから育てられる

そんな教育法です。


1、なぜ「感覚統合」が大事か

感覚統合って初めて聞かれた方もいらっしゃるかもしれないので…

僕は実は心理の仕事(特に児童発達心理)において
大事な概念だと位置づけております。

なぜ大事かというと、それは
子どもの発達に寄り添った教育法だから
だと思っています。

「人間の教育も、心理療法も
各々の発達に寄り添ったもの
であることが大事」

モットーです。


例えば、40歳になった僕に
「今から、鍛えて45歳までに
大谷翔平レベルになりメジャーリーガーになるんだ!」
と言われても、

無理です。

確かに毎日練習して、マインド作りをして
体づくりをしていけば、少しは近づけるかもしれない。

でも、多分挫折は目に見えてる

今のパーソナリティ、遺伝的要素、年齢、趣味趣向を
矯正してまで、大谷翔平選手を目指すには
割に合わないし、最初っからモチベも上がらない。


これと同じようなことを
2歳の子どもにしていないかと振り返って

「お父さんみたいにちゃんと箸を持って食べんかい、残さず!」

「あと1分後に遊びをスパッとやめて、着替えを済ませ、汗を拭き、
すぐに車に乗り込んで出かけるぞ!」

とはならないように気をつけています。
(これができてくれたら有難いんですけどね)

ブラック企業で耐えて耐えて、
心を病んで休職してしまった人に

「もっと強い気持ちを持って今の現状を乗り越えるんだ!」

と言えないのと同じ。


その人が(もしくは自分が)
階段のどんな場所に立っているか
を理解する。

そして、次の段に上がるために、
どれくらいの高さの段差にしてあげればいいか
どれくらいの手伝いがいるか
を考える。

これが教育者(親や先生)や療育者の
役割だと思っています。

本人が必要を感じないものの押し付けになっていないか
「社会規範」という名の「大人の都合」を優先させていないか
これは常に振り返る必要があると。

感覚統合法は
こうした社会規範ではなく、
各々の子どもの発達段階や脳の機能に焦点を当てて
寄り添ったアプローチ
ができるため、
乳幼児に限らず、我々大人にも大事な概念だと思っています。


2、「感覚統合」とは

簡単に言うと
様々な感覚系(視・聴・触・嗅・味・前庭・固有覚)からのインプット
②脳(中枢神経系)での情報処理
③行為・行動・反応で適切に処理(適応反応)でのアウトプット

この一連の処理の流れのこと。

つまり、
自分のカラダ
環境からの感覚刺激を整理整頓
し、
環境の中でカラダを有効につかえるようにする

これが感覚統合の考え方になります。

例えば、
公園にブランコがあるとする。
その座版の高さ、2本のチェーンの幅を認識し(視覚
両手とお尻で触れる(触覚
バランスを確認しながら(前庭覚
身体のどこかに力を入れる(固有覚
揺れるとき聞こえるギーコギーコを楽しむ(聴覚

これらは当たり前のように見えるけど、
全てが脳の中で適切に処理されてできること。

2歳くらいになれば、上のようなことができるまで
発達が進んでいますが、
0歳、1歳の子には上のレベルまでは
強制はできません。

また、2歳でも
ブランコを見たことのない(未経験)子に
いきなり「乗ってこぎなさい」とは言えない。

その子が、脳内で感覚を統合して
自分でコントロールするまでの作業を見守る

またはその環境を作る

この視点が感覚統合では重要になります。

そして、これらの感覚(視・聴・触・嗅・味・前庭・固有覚)
その上に、発達が積み重なっていきます。

発達障害のキホン より

僕たちが当たり前にしている作業を分解していくと
これほどまでに色んな要素が統合されていたことが
分かると思います。


これだけの要素を積み重ねたうえで、
最終段階でようやく
学習や運動の達成にいたるわけです。

なので、子どもに
最初から高い壁を作ったり
急かしたり、怒ったり
していると
子どもはこの積み木を積み上げる暇もなく
うまくいかないことが増え、自己肯定感は下がる


子どもの行動や言動一つ一つを観察して
「今、この感覚を獲得しようとしてるのかなー」
「今、この感覚とこの感覚を使ってるなー」
という目線で見てあげることが、

子どもの感覚統合を促して、
将来の学習能力や非認知能力の向上
つながっていきます。



3、我が家での感覚統合遊び

我が家の2歳児も例にもれず、
活発な探索活動を日々行う元気な男の子です。

冒頭で触れた
「色んなものを引っ張り出してはいじり倒し」
というのは触覚、視覚を統合している作業。

「際どいところを登ったり下りたりして」
というのは前庭感覚(バランス感覚)、固有覚(筋力の調整)
を統合している作業だよなー。

と見ています。

片付けや見守りが大変ですが、
どれも制止してしまうと、
子どもが能動的に積み上げている感覚が育たない。

許容の範囲で見守っています。

さて、子どもの感覚を育てる方法として
我が家ではどんなものを用意しているかについて。

「視覚」
 ・なるべく整理整頓して刺激を減らし注視できる環境づくり
   →押し入れやおもちゃボックスにその都度収納
 ・いつでも取り出せる位置に絵本を配列
 ・お日様の光を感じられるように
   →家じゅうのカーテンを開ける
 ・見ているものを言語化して共感
   →「きいろ!いっしょだねー」
    「本当だ、これもきいろ。いっしょだね。」
 ・キャッチボール
 ・トランポリン

「聴覚」
 ・お腹にいるころから色んな歌を聞かせる
   →親の趣味の曲(ボッサ、ジャズ、ポップス、クラシック)
 ・ドライブ中に息子のリクエスト曲をかける
 ・英語で話しかけたり歌ったりする
 ・聞こえている音を言語化して共感
   →「ういーーんっていったねー。」
    「本当だね。ぶるんじゃなくてういーーんだね。」
 ・遊びながら擬音を楽しむ
   →「ばきん」「からん」「どすん」「しゅー」「ぱちっ」

「触覚」
 ・お風呂であわあわ遊び
 ・粘土あそび
 ・公園で砂遊び
 ・草むしり(親の真似をして勝手にしています)
 ・水orお湯遊び
 ・大豆などの豆いじり(ざるの中で)

砂をいじりながら(触覚)、ブロックを渡っています(前庭覚)

「前提覚(バランス感覚)」
 ・ブランコ
 ・シーソー遊び
 ・ハンモック
 ・父が四つん這いになってそれに乗る
 ・飛行機あそび(父が持ち上げて手を広げる)
 ・肩車
 ・境界ブロック(道路と歩道を分けるあれ)わたり
 ・トランポリン

「固有覚(筋力の調整)」
 ・レスリングごっこ(父が息子にまとわりつき息子が脱出)
 ・鉄棒ぶらさがり
 ・飛行機遊び
 ・荷物運び
 ・キャッチボール
 ・公園遊具の上り下り
 ・トランポリン

といった感じでしょうか。

お気づきになったかと思いますが、
とりわけ特別なことは何もしていないんです。

あえて言うなら、これらの遊びや関りを
「感覚統合の目線」でとらえて関わっている
ことくらい。

そして実は公園の遊具1つ1つにも
こうした感覚を育てるための機能
があって
頻繁に通うことで、
その分、感覚も育てられるんです。

また、いくつかの感覚で重なる遊びが
あったと思いますが(トランポリンなど)
1つの遊びでいくつもの感覚が育つものも
あります

こりゃー!!

これは叱りたくなりますが
触覚を獲得する作業だと
こちらが捉えれば、少し優しい目で見れます。

もちろん、この後
「食べ物だから遊んじゃ駄目よ」
と回収しましたが、
子どもの行動の裏側にある
生物として成長しようとする自然な動き
として見る視点も
ある意味で教育投資だと思います。


こうして、根拠をもって子どもを見ること
それだけで、子どもの自然な成長の手助けをしていることになると考えています。
それに、こうした視点があれば
いちいち注意したり指示したりせず
見守ることができるので、
関係もお互い精神衛生が健全です。
(とんでもないやんちゃ坊主にならないことを祈ります)

根拠なく見守るだけだと親も子も迷子になるので
そこは注意しています。

こうした視点で見守り続けて現状、
息子は笑顔が多く明るく育っています。
そして身をもってあれこれ経験しているので
少しずつ行動も望ましい方に(大人側から見て)
精査されているように思います。

また、失敗して痛い思いをして泣いてしまっても
割とすぐに気持ちが切り替わり
もう一度チャレンジしたり
時には違う方法に切り替えられたりしています。
(非認知能力!?)

情緒の安定と経験の獲得を担保できているので
今のところ自分たちの方針は
間違っていなかったと感じています。

この先に、次の段階である
学習や運動機能の高度化
に進んでいける気がしています。


つまりハサミを使ったり、点描画をしたり
文字や空間の認識力を高めたりするための
地盤固めを今しているんですね。

その地盤固めがしっかりしていれば
学習転移が起きやすく、
色んな領域でコツを掴みやすくなる
のです。

いきなり姿勢よくお座りさせて鉛筆の握り方を教えるよりも、
こうした感覚あそびで積み重ねていれば
自然に姿勢保持や鉛筆握りもうまくなる。


4、まとめ

感覚統合とは


・発達段階や脳の機能に焦点を当てて
 寄り添ったアプローチができる

・自分のカラダと
 環境からの感覚刺激を整理整頓し、
 環境の中でカラダを有効につかえるようにする

・子どもが求めている感覚遊びを見守ったり
 活動や環境を用意することで、感覚統合が
 促される

・発達の積み木が重なっていくと
 様々な学習転移が起き、コツを掴むのが上手になる

ということを話してきました。

これって実は、子育てだけでなく
私たち大人にも応用できる考えです。

例えばですが、
①移動中の電車で吊り革に捕まらず立つ練習

②スケボーに立つのが上手くなる

③サーフィンにチャレンジしたらあっさり立てた

みたいなことが起きてきます。
これは、前庭覚と固有覚が特に鍛えられて、
学習転移が起きた状態
です。

こういった視点でスポーツなどの習い事を
していくと、色んなことが上達していきます。

子どもがしたがっている感覚遊びは
脳が自然に成長しようとしていることのあらわれ

許容の範囲内で(もしくは許容の在り方を見直して)
子どもの伸び伸びとした感覚遊びを見守ったり
感覚遊びを促す環境を大人が作ったりして

その後の学習や運動の高度化
つなげていきたいところです。

そういった環境の中で
子どもは自分で探索し、自分で統合し
自分で課題解決力を高めて
いきます。
もちろん自己肯定感の向上につながります。

子どもにも優しくなれるし
自分の負担も減る。
子どもの非認知能力も育てられる
『感覚統合法』。
オススメです。

それでは、今日もありがとうございました。

*地方暮らしの実情や
人生100年に向けて考えていることなどを
話しています。
こちらもよかったら遊びに来てくださいね。


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