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2種類のオンライン授業を終えて

ありがたいことに、今年に入ってから2件、学校の先生から
「オンラインで授業をしてくれないか?」とお誘いいただく機会に恵まれました。

弊社で取り組んでいる木育事業の一環として「是非是非!」ということで
どんな方法でやろうか試行錯誤しながら、なんとか無事実施することができました!

このご時世、なかなか校外学習が難しいこともあって
少しずつ広まってきている「オンライン授業」ではありますが、
そのやり方は大きく違っていて大変興味深かったので、今回まとめてみました。


2種類のオンライン授業とは?

まず、取り組ませていただいた2種類のオンライン授業の概要を説明いたします。
(区分の名前については弊社独自で便宜上つけております)

(1)一般型:室内(会議室など)からオンライン接続する方法

教室から見た「一般型」の授業風景

よくある(といっても私のこどもの頃はありませんでしたが)イメージだと思われる、
発信者側(弊社)と受信者側(学校)がパソコンでオンライン接続して行う方法です。

この時は、地域学習の一環で「地球環境に対するバイオマス発電所と林業の取り組み」をテーマに、2社合同での授業をさせていただきました。


(2)体感型:林業現場からオンライン接続する方法

教室から見た「体感型」の授業風景

一方で、学校の方からの「山からオンラインで繋げませんか?」という熱い要望から生まれたのが
林業現場からスマホで接続し、受信者側(学校)はパソコンでそれを受ける方法です。

こちらは「林業の仕事について」がテーマであり、実際に使っている道具や機械(重機)の紹介、どんな思いで林業をしているのかについてお話させていただきました。


この2種類のオンライン授業の方法についてまとめると、次の表のようになります。

表.2種類のオンライン授業の違い まとめ

それぞれ詳しくみていきましょう。


(1)一般型:室内(会議室など)からオンライン接続する方法

集中して聞いてくれている!

特徴

説明や進行は基本的にはパワーポイント(以下、パワポ)がベースになります。
特に2社で別々のところから接続となると、パワポも分断して画面共有するほうが、設定の回数も減り効率が良いです。
そのため、話の構成や担当の割り振り、切替を行うタイミングなどを打ち合わせておくことが聞きやすさに直結するかと思います。

メリット

なんといっても、(体感型と比べて格段に)オンライン接続の環境や外部環境への配慮がいらない点です(体感型のデメリットに詳しく書きます)。
これは、発表側として「大丈夫だろうか?途中で接続が乱れたりしないか?」といった不安がないことも大きなメリットとなります。

また、「話していること=画面に映っていること」なので、
発表者側も参加者側も「どこを話しているのか?」が一致する効果もあります。

さらに、使用したい写真や図、文字での説明を自由に選択できることで、表現の幅も広く伝わりやすさもコントロールできます。

デメリット

パワポを画面共有をしているため、画面が小さく教室の雰囲気や生徒の様子(手を挙げているなど)がわかりにくいです。
そのため、発表中に意見や反応を求めるのは難しいと思います。
その対策として、〇✕問題や三択問題など手を挙げて参加できる形式で反応を求めることはとても有効に思いました。

また、パワポに書いてある文字が右端に寄りすぎると、顔出しの映像と被ってしまいます。
これ、私もやらかしてしまいました…

こどもたちの感想
「木がどれぐらい大切なのか知れて家族にも話してみようと思いました」
「林業についてとても分かりやすくおしえてくれて、ぼくもやりたくなってきました。」
「イラストや写真でわかりやすくおしえてくれたので、いっぱい知れました」

お礼の感想文より引用させていただきました


(2)体感型:林業現場からオンライン接続する方法

土場の丸太の前で

特徴

説明や進行は基本的には口頭での説明がベースになります。
概念的な部分(今回でいうところの林業の仕事全般について)は口頭で説明しつつ、
重機や道具の紹介はその場にある実物を使って実演したり
用語の説明は携帯型のホワイトボードを使ったり
など、実際に見て、聞いて、感じることができるよう工夫しました。

メリット

なんといってもリアルな森林の今を感じてもらえるところです。
写真や動画ではなかなか伝わらない、「実際の現場」をリアルタイムで説明を加えつつ進行できるのは、興味をひけているという実感もありました。

また、口頭での説明になるので、「ここまでで質問がある人?」など適宜質問の時間を設けつつ進行できるため、生徒の興味も薄れにくい印象を受けました。

デメリット

やはりといいますか、外部環境に大きく左右されます。
山の天候は変わりやすいので雨が降ったらもちろん実施はできませんし、
晴れていても時間帯やその日の雲によっては明るさも全然違います。
また、現場の作業音といったコントロールできる音だけでなく、虫・鳥・風などなど様々な音による聞きにくさもうまれます。
中でも重要なのは、「見ているものが一緒とは限らないこと」です。

例えば、お話の中で「森林を見てみましょう」として画面を固定して林業現場の森林のみを映す時間を少し取ったときのことです。
私としては、スギの木の太さやまっすぐさに注目してもらいたかったのですが、
 ある子は、動物や虫がいないか探している
 ある子は、木の切り株を見ている
など、映しているものは同じでも見ているものは違うということです。

興味を持つものがそれぞれ違うし、それがおもしろさでもあり、
「森林の良さを感じてもらう」という目的としては大成功!
ですが、どうしても何かに注目してほしい時はそれを明確にする必要があると感じました。

こどもたちの感想
「もっと林業がしたくなりました。木をきるチェーンソーがすごくしてみたくなりました。」
「木の役割は建物や物をつくることだけではなく動物のすみかの役割もあるんだとわかりました。」
「山に遊びに行くきかいを増やしたいです」

お礼の感想文より引用させていただきました


2種類やってみて思ったこと

この度の2種類のオンライン授業をやってみて感じたことは大きく2つあります。

(1)先生の話をよく聞くこと

その授業でのテーマを決めるにあたって
 〇依頼した先生の思い・・・・・授業の趣旨、指導内容、生徒に伝えたいこと
 〇授業を受ける生徒の思い・・・授業で得た知識の理解度、興味分野など
 〇授業をする側の思い・・・・・伝えたいこと、知ってほしいこと
この3者の思いがマッチする方法を探るのが重要だと思います。

担当いただく先生方とはよく話し合って、
 ・どういう目的の授業なのか
  (林業学習でも、仕事紹介・環境問題・地域学習では話をする趣旨が大きくが異なる)
 ・事前学習はなにを勉強したのか
 ・どんなことに興味のあるクラス、学年なのか
などを盛り込めるとより良い授業となります。


(2)事前の準備が重要

資料や話す内容を考えておくことはもちろんですが、
意外と軽視しがちなのが、「オンラインで繋いでみる」こと。
双方のスケジュール調整が面倒ではありますが、
 ①実際につながるのか
 ②電波状況やカメラ、マイクの接続は正常か
 ③カメラの位置や外部環境(特に顔にあたる照明の角度や明るさ)は問題ないか
 ④進行の流れや使用する資料は適切か
特に、④については学年やクラスによって授業の理解度が違うので、
「話したい内容が伝わるのか?」を担当先生の目線からもチェックしていただくのは重要だと思いました。


(3)どちらのやり方でも伝わる!

2種類のやり方、どちらであっても「伝えたいこと」は伝わることがわかりました。
林業のことを知っていただくことで、将来の夢として「林業」を選んでいただけるきっかけとなるに少しでも貢献できたのであれば、とてもうれしいです。


以上がこれまでに少しですがオンライン授業を行って感じたことになります。
「どっち?」とは書きましたが、どちらがより優れているではなく、
どちらもメリット・デメリットがあるので、
授業の目的に応じて使い分けることが大事だと思いました。


最後になりましたが、
今回お声掛けいただいた2校様、お忙しい中にもかかわらずお時間をいただいた上に授業風景の写真撮影・提供、感想文のご送付など、誠にありがとうございました!

今後も「森林のこと・林業のこと・木のこと」がこどもたちに伝わるよう精進してまいります!


著者:おおだいら



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